住宅ローンを借りている人の中には、一度借りたローンを同じ条件でずっと返していかなければならないと思い込んでいる人も多いかもしれません。でも、住宅ローンは途中で金利や返済方法、さらに借り入れ先も見直すことができるのです。今回は"究極の"住宅ローン見直し術とも言える借り換えについて考えてみましょう。

公庫からの借り換えで390万円のトクに

10年前にマンションを買ったAさん。当時は住宅金融公庫の金利が2.00%と過去最低水準だったため、全額を公庫融資で借り入れました。超低金利の恩恵にあずかって、少し金利の高い特別加算も含めた当初10年間の毎月返済額は10万5,000円弱です。

ところが公庫融資は11年目に金利がアップする段階金利となっており、今年12月からは4.00%に金利が急上昇してしまいます。その結果、毎月返済額は12万5,000円強とこれまでより2万円強も増えてしまうのです。

そこでAさんは思い切って公庫融資から民間金融機関の住宅ローンに借り換えることにしました。新しいローンの金利は3.00%と、これまでの公庫基本融資に比べると1%近く高いのですが、12月からの金利に比べると1%低くなっています。これにより、借り換え後の毎月返済額は11万2000円余りとなり、公庫を借り続けた場合より1万3,000円弱負担を軽くすることができました。35年間の総返済額では390万円近い差が出る計算です。

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民間ローンからの借り換えも有効

このように住宅ローンの借り換えは大きな効果を期待できる場合もあります。Aさんは公庫融資を利用した例でしたが、民間の住宅ローンを借りている人でも借り換えによってメリットを得られるケースは少なくありません。

例えば金利が高かった時期に固定金利の住宅ローンを借りた人は、今の低金利のローンに借り換えることによって負担を大幅に軽くできる可能性があります。固定金利は固定期間が長いほど金利が高くなるのが一般的なので、長期の固定金利で借りている人は、自分が何%の金利で借りているのかをもう一度確認してみるといいでしょう。

また、民間の住宅ローンでもAさんのように金利が急に上がってしまうケースがあります。キャンペーン金利で当初の固定期間だけ金利が大幅に優遇されているケースが典型的です。なかには1%程度の低金利で借りていたのに、3年後にキャンペーン期間が終了して金利が3%前後にアップしてしまう例もあります。同じ銀行内で別の金利に切り替えただけではキャンペーン金利は適用されないので、この場合も別の金融機関の住宅ローンに借り換えると負担の急増を抑えられる可能性があるのです。

金利差が大きいことが前提条件

メリットの大きい借り換えですが、だれでもトクできるわけではありません。というのも、住宅ローンの借り換えでは保証料や手数料、税金など、手続きに必要な費用が小さくないからです。借入額や返済期間にもよりますが、50万円以上の費用がかかるケースもあります。

では借り換えでトクするにはどんな条件を満たしていればよいかというと、まず借り換え前後の金利差が大きいことが前提として挙げられます。目安としては1%程度の差があればトクできる可能性が大きいでしょう。

もちろん借り換え後の金利が低くても、キャンペーン期間だけで数年後に金利が急上昇してしまってはあまり意味がありません。借り換えのメリットを十分に生かすには、長期間にわたって効果が持続するかどうかの見極めも重要です。

ローンの残高や返済期間もポイント

金利差が大きくても、借りている額が小さいと費用に比べて効果が限られてしまいます。住宅ローンの残高が数百万円しかなければ、費用をかけて借り換えるよりも繰り上げ返済などをしたほうが効率的でしょう。おおむね1,000万円以上のローンが残っているなら、借り換えを検討してよいと考えられます。複数の住宅ローンを借りている場合は、まとめて一つの金融機関に借り換えたほうがよいでしょう。

残りの返済期間も重要になります。というのも借り換え後の返済期間は、これまで借りていたローンの残りの返済期間よりも長くすることはできないのが原則だからです。たとえ借り換えによって毎月返済額を大幅に軽くできたとしても、返済期間が短ければトータルでトクできる金額は小さくなってしまいます。トクできる目安は、住宅ローンの返済期間が10年以上残っているケースです。

住宅ローンの借り換えでトクできる条件の目安をまとめると、以下のようになります。

こんなケースなら住宅ローンの借り換えでトクできそう

  • 借り換えると金利が1%以上低くなる
  • 住宅ローンの残高が1000万円以上残っている
  • 残りの返済期間が10年以上ある

この条件にすべて当てはまるなら、今すぐ借り換えを検討する価値はありそうです。次回は具体的な借り換えの方法や注意点を考えてみましょう。

執筆者紹介 : 大森広司氏(OIKOS代表)

主な略歴 : 住まい研究塾(sumaken.jp)主宰。『住宅情報マンションズ』、『住宅情報タウンズ』、『注文住宅』、『Good リフォーム』、オールアバウト「マンション入門」など情報誌やネットで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』『マンション購入 完全チェックリスト』(ともに日本実業出版社)、『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。

提供 : ソニー銀行

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