前回の対談では、「目を高速に動かすことで、情報処理の速度を上げる」ことによって、1000+の未読であっても、短時間で既読にしてしまうテクニックを紹介しました。

今回は、「短時間で一気に読み下す」にしても、少し時間をかけて読みたい大事な情報と、時間がなければ読まなくてもいい情報とを選り分けるライフハックを、考えてみます。

すべての情報をただ上から下へと眺めていくのか?

佐々木 1タイトル0.5秒で読んでしまう、という方法をうかがってから、「RSSリーダー」もやり方次第では、インプットできる情報量がまったく変わってくる、ということがわかりました。しかし、たとえ1000+を10分で読むにしても、そこには大事な記事もあれば、どうでもいいような情報もあります。その分類は全くやらないのですか?

たとえ短時間で済ませるにしても、あまりにたくさんの情報をただひたすら追っていくのはとても疲れる

 その分類のために、RSSリーダーの分類機能を使います。

佐々木 なるほど。堀さんは、RSSリーダーとして、何をお使いなのですか?

 RSSリーダーは、Googleリーダーを使っています。

佐々木 なにか、特別なメリットがありますか?

 あります。Googleリーダーは、1つ1つのRSSフィードを、複数のフォルダに同時に振り分けられる(Must read というフォルダと、Lifehack というフォルダに同時に存在しうる)ので、内容別にフォルダ分けするのは、皆さんすでにおやりでしょうが、力を入れて読むかどうかも、フォルダで分けておきます。つまり、

A. は必ず読む
B. は目を通す
C. はたるいときは全部消去

という具合です。

情報の選別は自分が情報源を活用しているかどうかで決める

佐々木 つまりそうしておけば、あらゆる記事に全力を注がなくてもすむと。やはり、1記事のタイトルと概要を0.5秒で読んでいても、その数は減らしておきたいものなのですね。

 そうですね。しかも、記事の厳選は頻繁に行います。Googleリーダーの Trend機能を使えば自分がどのRSS をどの程度の割合で読んでいるか、どの程度を読み飛ばしているか、いくつスターを付けたかという情報が一目瞭然になります。たとえ有名なニュースサイトでも自分にとって雑音でしかないサイトは格付けが下がっていきます。よく読み飛ばしているRSSは降格したりするのです。たとえ一流ニュースサイトでも、雑音の多いところは格が下になっていきます。

堀のGoogleリーダーのフォルダ

佐々木 その比率はどのようになっているのですか? つまり、「必ず読む」というのはRSSリーダーに登録しているうちの、何%くらいですか?

 私は、おおむね次のような基準を意識しています。重要な5%、参考になる 20%、流しておけばいい75%。

佐々木 さきほどうかがったことの繰り返しになるかもしれませんが、その分別をする際の、具体的なやり方を教えてもらえますでしょうか? どうやって「重要」なブログか、それとも「流しておけばいい」かを厳密に判別していますか?

 自分がそこで足を止めた回数です。ブログで2回以上扱ったことがある場所は「重要」。1回だけなら「参考になる」。0回なら「流しておく」。自分がそこで足をとめて、ある程度時間を使って読み、ブログの記事にまでしてしまうということは、そのRSSは自分にとって良い情報を提供してくれているわけです。

佐々木 自分のブログで、どれくらいアウトプットの材料としたかを、情報選別の基準とするわけですね。これも簡単にできそうですが、すぐ効果が出そうでいい方法ですね。来週以降、その辺りをさらに詳しくうかがおうと思います。堀さん、どうもありがとうございました。

佐々木正悟の心理学ノート

Googleリーダーを使っている方はたくさんいらっしゃると思いますが、Googleトレンドとなると、あまり見たこともない、という人も少なくないでしょう。しかし、これは必ず使う価値のある機能です。情報に関する情報を、「メタ情報」といいますが、自分がある情報をどれくらい重視しているのかを、Googleトレンドは客観的に教えてくれます。自分の記憶でも、どのブログをよく見ているか、あるいは見ていないかなど、簡単に判断できると思うかもしれませんが、意外に記憶はゆがめられているもの。トレンドを見ると、驚かされることが多いのです。

対談後記

第1回は溢れる情報を速読してフォロアーアップする方法。今回は、大事な記事に注意を払うための簡単な分類方法を紹介しました。しかしどちらの回も、ニュースサイトからの情報や、ブログからの情報収集術が中心でした。次回は、情報発信してくれる「人」から直接やってくる情報を、上手にフォローするライフハックについて、話を進めたいと思います。

佐々木 正悟(ささき しょうご)
心理学ジャーナリスト

「ハック」ブームの仕掛け人の一人。専門は認知心理学。 1973年北海道旭川市生まれ。97年獨協大学卒業後、ドコモサービスで働く。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。 著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほかに『ブレインハックス』(毎日コミュニケーションズ) 『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などある。

ブログ「ライフハックス心理学」を主催

堀 E. 正岳(ほり まさたけ)
ブロガー・気候学者

1973 年アメリカ・イリノイ州エヴァンストン生まれ。筑波大学地球科学研究科(単位取得退学)。理学博士。地球温暖化の影響評価と気候モデル解析を中心として研究活動を続けている。その一方でアメリカでライフハックが誕生したころからその流行を追い続け、最新のハックやツール、仕事術や自己啓発に至る幅広いテーマをブログ Lifehacking.jp で紹介している。 著書に、「情報ダイエット仕事術」(大和書房)、「英語ハックス」 (日本実業出版社、佐々木正悟氏との共著)、Lifehacks PRESS vol2 (技術評論社、共著)がある。