2016年3月、それまで春秋の行楽シーズンのみ運行された京橋~七条間ノンストップの快速特急「洛楽」が、土休日ダイヤにおいて定期列車となった。2017年2月から平日にも定期列車が設定され、現在は平日2往復・土休日5往復の陣容となっている。平日・土休日ともに午前は京都方面へ、午後は大阪方面へ運行される。

快速特急「洛楽」は今年2月から使用車両が3000系に変更された(行楽シーズンは除く)。9月には3000系の前面デザインが変更され、液晶ディスプレイに「洛楽」と表示し、窓下の装飾灯も使用されるようになった

快速特急「洛楽」の停車駅は、大阪市内の淀屋橋駅・北浜駅・天満橋駅・京橋駅と、京都市内の七条駅・祇園四条駅・三条駅・出町柳駅。これは2000年に中書島駅・丹波橋駅が終日停車駅に加わるまで、京阪特急に見られた京橋~七条間ノンストップの列車と同じ停車駅である。それゆえに「洛楽」がデビューした際、「かつての京阪特急が復活した」と思った人も多いだろう。もちろん筆者もその1人。今回はかつての京阪ノンストップ特急を知る立場から、快速特急「洛楽」をレポートしたい。

「洛楽」が停車しない京橋~七条間の駅へ「京阪らしい」フォローも

平日ダイヤを見ると、快速特急「洛楽」は淀屋橋~三条間を47分、淀屋橋~出町柳間を50分で結んでいる。手元にある1987(昭和62)年の時刻表を見ると、当時の京阪特急は淀屋橋~三条間を46分で結んでいた。当時、七条~三条間は地上を走っていた(1987年6月に地下化。鴨東線三条~出町柳間は1989年開業)ため、単純比較はできないが、現在の「洛楽」はかつての京阪特急と遜色ないダイヤといえる。なお、現在の京阪特急は淀屋橋~三条間を52分、淀屋橋~出町柳間を55分(いずれも平日日中ダイヤ)で結んでいる。

筆者は平日の淀屋橋駅9時40分発、出町柳行の「洛楽」に乗車した。9時20分に淀屋橋駅ホームに着き、ホームにある案内表示板を見たところで「あれ?」と思った。「洛楽」の前に9時33分発の急行出町柳行が表示されていたのだ。現在、昼間時間帯の京阪本線は特急・準急・普通の3本立てとなっており、急行が運行されることは珍しい。この急行は快速特急「洛楽」を補完するために設定されたという。「洛楽」の発車直後にも、淀屋橋駅9時43分発の急行樟葉行が設定されている。「洛楽」が通過する特急停車駅などもきちんとフォローするあたりが「京阪らしいな」と思った。

快速特急「洛楽」に使われる車両は、2008年の中之島線開業に合わせて登場した3000系だ。その外観は京阪電車の特急車両とも通勤車両とも大きく異なり、車体の上半分に濃紺を採用している。2009年には鉄道友の会ローレル賞を受賞した。9月16日から3000系の前面デザインが変更され、特急では液晶ディスプレイに「鳩マーク」が表示されるようになり、筆者が利用した日も堂々とした美しい「鳩マーク」の3000系特急を見られた。

前面デザインが変更された3000系。特急に「鳩マーク」が表示される

今年2月、3000系による運行となった直後の「洛楽」。副標が掲げられていた

一方、3000系の快速特急「洛楽」では、液晶ディスプレイに「洛楽」の文字とマークが表示され、窓下の装飾灯は雲をイメージさせるデザインとなっている。

3000系の車内に入ると、濃紺をベースとした横3列(1列+2列)の転換クロスシートが並んでいる。ねずみ色のシートを採用した8000系と比べると軽やかな印象だ。もちろん3000系のクロスシートも座り心地は抜群。8000系と比べても遜色ない。

淀屋橋駅を出発した快速特急「洛楽」は、北浜駅・天満橋駅と小刻みに停車する。京橋駅到着時には、「枚方市、樟葉、中書島、丹波橋には止まらないのでお気をつけください」という内容の自動放送が流れた。やはり「洛楽」の停車駅に戸惑う人がいるのかもしれない……、そう思いながら京橋駅のホームを観察したが、戸惑う人は見られなかった。それだけ「洛楽」が定着しているということか。ひょっとしたら、かつてのノンストップ京阪特急の"記憶"が生かされているのかもしれない。

乗車日は平日ということもあり、「洛楽」の車内は半分ほどの座席が埋まっている。筆者の予想以上に京都へ向かうビジネスパーソンや一般客が多い印象だった。これも「洛楽」が京阪ユーザーにある程度根づいている証拠だろう。京都へ行くと思われる観光客の姿もあり、訪日外国人旅行者も乗車している様子だった。

京橋駅を9時47分に発車すると、「洛楽」は複々線区間を一気に突っ走る。隣を走る普通電車を次々に追い抜いていった。全国には「ノンストップ」といいながら、実際には先行列車に追い付かないようにゆっくり走るイレギュラーな列車も存在するが、「洛楽」に関してはそのような心配をする必要はなさそうだ。10時に枚方市駅を通過し、先行していた急行(淀屋橋駅9時33分発)を抜かす。その後も「洛楽」は快調に走り、ゆっくり走ったのは待避駅である淀駅・深草駅の手前のみだった。

10時22分、京都市内の最初の停車駅、七条駅に停車した。その後、祇園四条駅・三条駅に止まり、その度に乗客が下車していく。10時30分、叡山電鉄と接続する終点の出町柳駅に到着。意外に出町柳駅まで乗り通した乗客が多いことに驚いた。改札前に観光地図があり、大変見やすく観光客からも「わかりやすい」という声が聞かれる。駅構内のトイレも美しい。車両だけでなく細かな部分にも配慮が行き届いている印象を受けた。

快速特急「洛楽」の速達性は競合他社とも勝負できる?

ところで、快速特急「洛楽」のメリットは何だろうか。筆者が思うに、1つ目は大阪のビジネス街から京都の中心地へスムーズにアクセスできることが挙げられる。

京阪電車は大阪市内に梅田駅・難波駅のような大規模ターミナルを持たないが、淀屋橋駅で市内の大動脈といえる地下鉄御堂筋線と接続し、北浜駅・天満橋駅・京橋駅でも地下鉄に乗り換えられる。京橋駅はJR大阪環状線やJR東西線・学研都市線(片町線)との接続駅でもある。京都市内においては、祇園四条駅が繁華街に最も近い。「洛楽」は淀屋橋駅から45分で祇園四条駅に着く。この所要時間(平日9時台)は、祇園四条駅から徒歩数分の場所に河原町駅がある阪急京都線の特急(梅⽥~河原町間)とそれほど変わらない。

2つ目のメリットは運賃が比較的安いことだ。JRで大阪~京都間を移動すると、運賃は560円。京都駅から市街地へ地下鉄に乗り換える必要もある。一方、京阪電車を使えば、淀屋橋~祇園四条間の運賃は410円だ。ただし、阪急京都線梅田~河原町間よりは10円高い。

大阪~京都間において、競合他社との比較で「速達性に劣る」といわれることもある京阪電車だが、快速特急「洛楽」は速達性でも十分勝負できる列車といえるだろう。