JR大阪環状線が、文字通りの「環状線」として本当にぐるぐると環状運転を始めて、50年以上が経つのだそうです。いや、じつはもっと歴史が古いと思ってました。もっとこう、戦前とかからなのではないかな……なんて、とくに根拠はないんですけど、筆者自身はそんな風に思い込んでたんですね。

大阪環状線玉造駅に出現した「巨大103系」。その横を本物の103系が駆け抜ける

内回り・外回りのどちらに乗っても「素の大阪」を味わえる

その理由はきっと、駅とかの施設やら沿線風景やらがじつに懐かしい味わいを醸し出しているからでは? と思ってるんですが。もっとも、完全に「輪」としてつながって、電車がぐるぐる回るようになってからが50年以上、ということであって。実際のところ、大阪環状線の大部分の区間ができたのはもっと古いんですね。

大阪環状線の電車で大阪駅から天王寺駅へ向かう場合、内回りに乗っても外回りに乗っても、ほぼ時間は同じです。しかし、沿線の景色はずいぶんと違います。住宅地や港に近い街の景色が広がる内回り(西九条経由)に対し、グランシャトーでおなじみの京橋、「ホームに降り立つと焼き肉のにおいがする」鶴橋など、繁華な街中を走り抜ける外回り。どちらも趣深い、素の大阪を堪能できます。

西側の区間は住宅地や港町の景色が広がる。沿線の桜が美しかった

早朝の朝日を受けて大阪環状線の電車が走る

筆者はいまから10年ほど前まで、天満駅近くの職場に通っていました。大阪駅から外回りに乗って1駅です。

当時、東京から朝イチの「ドリーム号」で帰ってきて、そのまま出勤! なんていうこともありました。そんなとき、まだ時間が早いな……と思った場合に、あえて大阪環状線の内回りに乗ることがありました。いわゆる「大回り乗車」。暑くも寒くもなく、ちゃんとした座席に座れる場所で、およそ40分の時間調整ができるので、かなり重宝していました。早朝の安治川付近や、春の季節の桜ノ宮など、すばらしい沿線の景色も楽しめました。

まあ、真面目に通勤してる人たちにとっては、少なくとも筆者1人分余計に混雑するわけで、迷惑をおかけしてしまっていたのですが。

通常の103系の約3倍!? 常識を覆す掟破りな外観に驚き

さて、いま大阪環状線では、「大阪環状線改造プロジェクト」というのが進められています。駅やその周辺がいろいろと整備されたり、沿線に新しいものができたりするらしいです。将来的には、新型車両を投入する予定もあるとか。

その一環で、玉造駅に「巨大103系」が出現! という話を聞いたので、見に行くことにしました。駅を降りると、そいつはいきなりいました。

「巨大103系」の正体は商業施設「ビエラ玉造」。3月18日にオープンした

で、でかいです……。ざっと見たところ、通常の103系の3倍近く横幅があります。こいつがもし本当に大阪環状線を走ったとしたら、すべての駅のホームが、「ガリゴリガリゴリ」と2m以上削られてしまうでしょう。もしそこが島式ホームだったとしたら、それこそ昔の春日野道駅(※阪神電車の春日野道駅はかつて、島式ホームの横幅が2.6mしかなく、日本一幅の狭いホームで有名だった)のような「惨状」になってしまうでしょう。

「巨大103系」の最後部には階段が

この「巨大103系」、中はどうやら保育所になっているみたいです。台車にあたる部分は飲食店になっているし、「103系界の常識」(!?)を覆す、掟破りなやつです。そして最後部は……、普通に階段になっていました。ちょっと詰めが甘いですね(笑)。しかしこの「ビエラ玉造」、なかなか侮れません。

そういえば、こないだ地下鉄に乗ったとき、ホームの柱に「列車風(れっしゃふう)にご注意」というポスターが貼られてありました。そのときはピンと来なかったんですが、あれはきっと、普通の電車に混じって、こういう「列車風のなにか別のやつ」が走ってくるから注意しましょう、という意味だったんですね。納得しました。

皆さん、気をつけましょうね。