【連載】

共働きでも小学校受験を諦めない!

6 「なぜできないの!? 」発言が子の自信を喪失させる

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前回は受験するにあたっての心の持ちようをお話ししました。今回は小学校受験の準備を始めたら誰もが陥るジレンマとぶつかる壁について解説します。

「なぜできないの!? 」と言っていませんか

思わず発した親の発言が子どもの自信喪失にも繋がる

勉強を始めてみると、日常生活ではあまり目につかなかったお子さんの得手不得手がよく見えてきます。記憶のいい子、目分量のできる子、お絵描きセンスのある子……。逆に「なんでこんなことがわからないの? 」と思ってしまうほど、感覚がつかめず苦しむ項目も出てきます。はじめから全部が得意な子などいないのですが、できないことにばかり目が留まってしまい、他の子と比べて「なぜできないの!? 」と躍起になってしまうのが親というもの。何度も説明をしているのに理解できていない様子を見ると、「わかろうとする気がないんでしょ!? 」とイライラしてきてしまうものです。

こんな時はうまくできないお子さんを責めるのではなく、教え方について考えてみてください。何度もしている説明、ずっと同じ言い方をしていませんか。もしそうだとしたら、その教え方がお子さんに合っていないのです。その言い方や切り口では理解できないのですから、他の教え方をしてみましょう。

もし自分の教え方で理解できない様子なら、違う大人が教えてみましょう。ちょっとした言い方の違いで驚くべき理解を示すお子さんがほとんどです。手間ではありますが、模型を作ったり実物を見せたり実際切ってみたりしてみると、スッと理解できることもよくあります。

また、子どもは頭の中も毎日少しずつ成長しているので、その成長が突然問題レベルに追いつき、昨日までできなかった問題が急に解けるようになるということはよくあります。試験では、当該年齢で解けないような問題は出てきません。受験では、常人離れした天才は求められません。ですから、投げ出しさえしなければ、焦らなくて大丈夫なのですよ。

できないことより恐れるべきは……

「今日、その問題ができない」ということより怖いのは、しかられ続けることでお子さんが勉強を嫌いになり、自信と勉強への意欲を失うことです。

勉強の時間なのに逃げようとしたり、ダラダラしたりしていることについてはしかっていいと思います。嫌でもやらなければならないことに一生懸命取り組むのは大切なことですから。

しかし、できるようになりたいと思っているし、必死に考えようとしているのにできないときは、絶対しかってはいけないと考えます。その問題が解けない理由は、お子さんは説明できません。「なんでできないの? 」「どうしてわかろうとしないの? 」「他の子はできているのに……」とできないことを責め続けていると、お子さんはどんどん自信を失い、ご両親に嫌われることを恐れるようになります。そうなってしまうと、すべてに尻込みして今まではできていたことができなくなってしまったり、失敗を恐れて取り組むこと自体を嫌になってしまったり。いいことは一つもありません。

一度失った自信を取り戻すのは、できない問題ができるようになるよりはるかに大変で時間を要します。すなわち、後れをとることにも繋がります。親が思わず発した「なぜできないの!? 」が、思わぬ回り道を強いることがあるのです。

ですから、くれぐれもお子さんの自信はくじかないであげてください。当たり前のようにできていることも、ささいな成功も大げさに褒めてあげてください。できないことに対しては、「今からできるように練習すればいいんだよ! 」とポジティブに挑戦させてあげてください。自信をもって挑戦できていれば、必ず克服できる日がやってきます。

調子の波があることを理解

ずっと頑張っているのだから少しずつでも成績は右肩上がりであってほしいものですが、残念ながらお子さんの調子には必ず波があります。

まず、夏バテ。暑さに体力を奪われる猛暑が始まると、集中力を欠きやすくなり、持続力もなくなるので、今まで通り頑張り続けることが難しくなります。これは持ち前の体力や暑さへの耐性により影響度合いは異なりますが、大人は総じて夏前のお子さんと比べてヤキモキします。

しかし、受験は10月から。きちんとペースを保って勉強をしていれば、涼しくなるにつれ調子は必ず戻ります。一時の不調に悩まず、粛々と勉強を続けましょう。大切なのは不調なときに盛り返すことではなく、本番にピークを持ってくることです。

本番に関して注意が必要なのは、運動会の練習疲れによる不調。幼稚園や保育園では、運動会は大概9月終盤から10月前半にかけて行います。夏休み明けから運動会の練習が始まり、普段以上に体を動かす時間が増えて体力が奪われ、受験準備に全力を注げる状態ではなくなる……ということもよくあります。

しかし、最後の運動会は子どもにとって大切な思い出であり、楽しみであり、自信を得る大切な機会です。受験生の親としては気が気ではないのですが、指示行動や集団行動のいい訓練だと思って見守ってあげてください。もちろん勉強のペースは保つ必要があるので、運動会が終わるまでは、疲れているにもかかわらず頑張って勉強していることを理解して、褒めてあげてください。

以上のように、つまずいたときは必死に克服しようとせず、少し深呼吸をしてみてください。勉強を進めるうちにまた同じ部類の問題には当たるはずですから、その時にまた一緒に挑戦してみましょう。そのうち、悩んだことが嘘のように、すんなりとできるようになる日がやってきます。  

ここまでお話してお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの障壁に打ち勝つ最大の武器は「体力」です。体力があれば勉強に集中して取り組める時間も長く、夏バテもせず、運動会の練習後に勉強もできるのです。

体力ばかりは一両日に手に入るものではなく、時間をかけて付けるしかありません。駅から歩く、荷物は自分で持つ等日常生活でできることはたくさんあります。付き合う親が大変ですが、「それが受験結果にも影響する」と思えば頑張りどころだと思いませんか。

次回は、幼児期に受けた教育がその後の人生にどう影響するかを解説したいと思います。

※画像は本文と関係ありません。

著者プロフィール

小学校受験向け幼児教室「クラリティー・キッズ」主宰
五島 真知子
自身が小学校受験を経験し、大学までの私立一貫校を卒業。
大学時代に縁あって小学校受験塾(クラリティー・キッズ前身)で4年間アルバイトとして従事。
大学卒業後は伊藤忠商事に総合職として約11年間勤務するも、結婚・出産・事故による負傷を経て退職。学生時代にアルバイトをした小学校受験塾の前オーナー引退に際して事業を継承し、現職。
何事にも果敢に挑戦する意欲を持ち、目標を達成する為の努力を楽しむ心意気を持った輝く子どもを育成するため、教材作成から指導まで広範囲の指導を行う。
※2015年度合格実績(順不同)
慶応義塾幼稚舎・慶応義塾横浜初等部・立教小学校・早稲田実業学校初等部・東洋英和女学院小学部・聖心女子学院初等科・東京女学館小学校・東京都市大学付属小学校・洗足学園小学校・カリタス小学校・精華小学校・目黒星美学園小学校・桐蔭学園小学部

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インデックス

連載目次
第10回 共働きで小学校受験に挑むには
第9回 家庭でできる受験準備は?
第8回 受験における「共働き家庭」であることのメリットは?
第7回 小学校受験はその後の人生に役立つのか
第6回 「なぜできないの!? 」発言が子の自信を喪失させる
第5回 一番大切なのはご両親の「やりきる覚悟」
第4回 志望校の決め方とその後にすべきこと
第3回 受験を決めるベストタイミングと塾の選び方
第2回 私立と公立、授業料の差は何の差?
第1回 小学校受験ってどんなもの?

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