「sweet」11月号

秋冬のファッションは「ジェンダーレス」が流行

この秋冬はジェンダーレスなファッションが流行するそうです。ジェンダーレスファッションとは、男女の境界のないファッションのこと。大きなコートやスタジャン、黒を基調にしたコーディネートを女性誌でよく見るのは、この流行が関係していたのですね。では、各雑誌は、ジェンダーレスファッションをどのように特集しているのでしょうか。

「男っぽいアイテムを効かせて女を際立たせたい」

まず、その名の通りスウィートで女の子らしいファッションが特徴の「sweet」は、意外にもジェンダーレスファッションを扱ったのも早く、2013年8月号の時点で既に梨花さんが黒のスタジャンを来て表紙に登場していました。最新号の11月号でも、ジェンダーレス路線を走っています。

ただ、sweetらしいのは、メンズなアイテムを着て男の子っぽくなるのではなく、「メンズなアイテムで女っぽさ(はーと)逆に上昇!」という特集タイトルが意味するように、辛口なアウターを着ることで女っぽさを増したり、かっちりしたコートを着ることで「いい女」度があがることを提唱していて、男っぽいアイテムを効かせることで、逆に女の部分を際立たせたいということのようです。

さりげないおそろい感「彼カジ」現象

では、「JJ」の11月号はというと、直接、メンズライクアイテムを取り入れようという特集ではありませんが、「秋、『彼カジ』現象がとまらない」というページがあります。これは、この秋冬のジェンダーレスファッションの人気と関係がありそうです。

記事を見ていると、JJの『彼カジ』は、男性が着ることが多いカモフラージュ柄やブルーのアイテム、チェックのシャツなどを、彼女の側が取り入れて、さりげないおそろい感を楽しみたいということのようです。また、ウィリアム王子とキャサリン妃が色やテイストをリンクさせているとのことで、セレブな人々も『彼カジ』を取り入れていることを挙げたうえで、「彼と並んで歩くときはやっぱり2人でおしゃれに見える服がうれしい!」という方向に。

そういえば、つい最近までは、カップルのペアルックは恥ずかしい……なんて言われていた気がしますが、最近はその気分もやわらいだのかなと記事を読んでいて感じられました。

平成25年度版厚生労働白書で恋人や異性の友人がいないと答えた人が男性で62.2%、女性で51.6%いたというデータもあるそうです。そんな現在では、恋人がいるときは、その喜びを全力で味わいたいというカップルも現れたのかもしれません(もしかしたら、さりげないおそろいは、どちらかはノリノリでどちらかは仕方なくつきあってるということもあるかもしれませんが)。

「男と女 ときどき真ん中」な人々と社会の変化が生み出した流行

さて、この秋冬のジェンダーレスファッションの、「ジェンダーレス」という部分に、ファッションからだけではなく、思想からもアプローチしているのが「GINZA」の10月号。テーマは「男と女 ときどき真ん中 マニッシュでジェンダーレスな秋の気持ち」です。

最初、真ん中に踊る「男と女」という文字だけが目に入ってきたので、男とは、女とは、とその差異を語る特集なのかと思っていましたが、そうではなく、特集のトップのページに「男の子は男らしく女の子は女らしく育っていれば間違いなかった時代は、実にシンプルでわかりやすかった。でも今の時代は、多くの人がそこから逸脱したり超越したりして、ジェンダーにとらわれない自由な価値観で生きています」とありますので、なんだかほかの女性誌とは違うアプローチが見られそうです。

ただ、「真ん中」という部分に関する記事は少し控えめで、恋愛の著書が多数あるぐっどうぃる博士による普遍的な男女の違いとについての解説と、それに対して著述家の湯山玲子さんのやりとりなどのページが楽しめました。たとえば、「女は常に尽くして気遣いたい」ということに対して、湯山さんは「残念ながら2013年秋、対象は男性ではなく、もっぱらお犬様お猫様に向かっている」と答えるなど、確かに、最近はそういう傾向があるかもしれない!と膝を打つ記述がたくさん見られました。

今回は、ジェンダーレスファッションというテーマで雑誌を見てきましたが、GINZA風に言うならば、「男と女 そして真ん中」な人々と、それを取り囲む社会の変化がこの流行を生み出したのかなと思えてきました。そして、雑誌のカラーによって、「男と女 そして真ん中」はかくあるべしというそれぞれの考え方も見えてくるようでした。

<著者プロフィール>
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。