【連載】
独立したトータルソリューションプロバイダーであるエイコーは、主に次の3つのソリューションを主軸にしている。オフィスで作成・伝達される膨大な量の文書や情報を一元管理し、必要な情報を瞬時に検索可能にするドキュメントソリューション、サーバの仮想化システムや安全なネットワーク構築を提案するICTソリューション、そして環境に優しい省エネ照明、太陽光発電システムなど地球環境保全に関するコンサルティングを含めた環境ソリューションだ。
同社では、2010年に業務効率向上を目的に、ワークスタイルを変えるためのプロジェクトを立ち上げた。プロジェクトでは、社外からでも社内と同じ環境で情報共有が可能なITインフラの仮想化を目指した。デスクトップ仮想化の基盤としては、シトリックス・システムズ・ジャパンが提供している「Citrix XenDesktop」を採用。2011年1月にプロジェクトメンバー20名にiPadを配布し、試験運用を開始した。
プロジェクトを推進していく中で、フィードテイラーが開発したファイル共有システムの「SYNCNEL」をクラウドサービスとして導入した。SYNCNELは、マニュアルを確認しなくても簡単に利用できるサービスであり、セキュリティも確保できることから導入に至ったという。操作が簡単であることは、導入後も管理者に負荷がかからないため、運用上利便性が高い。SYNCNELにより、営業ツールやプレゼンテーションツール、情報共有支援などすべてのファイルが共有できるため、外出先からiPadでいつでも確認することが可能になった。
iPadの試験運用時には、ほかのタブレット型携帯端末も検証したという。その結果セキュリティの問題、OSバージョンアップに対する各アプリの対応状況、XenDesktopの技術的問題を考慮して、試験運用から3カ月後にiPadを105台追加導入し、2011年12月には営業担当やSEを中心にiPadを合計280台配布した。
iPad導入前の状況について、同社のコーポレートデザイン本部 IT経営推進室 リーダー 古良田耕司氏は次のように語る。
「導入前の営業担当やSEは、社外にノートパソコンを持ち出すことがセキュリティ上禁止されていたため、外出先から社内システムにアクセスし情報を入手する手段がありませんでした。そのため、顧客への提案に必要な情報の確認のために、会社の事務スタッフへ電話連絡を入れる頻度が多く、さらにわざわざ会社に戻り資料を準備し営業に出直すという課題がありました。これでは営業効率が悪く、社内の事務スタッフも問い合わせに関する事務作業に時間を費やすことが多いため、業務効率は上がりませんでした。顧客訪問時にさまざまなサービスや商品について聞かれることは多いのですが、すべてのパンフレットやカタログを持ち歩くことは不可能でした」
iPad導入後は、営業担当のワークスタイルが大きく変わったという。業務で使用する資料は、SINCNELで管理し更新することで情報を最新の状態にできるうえ、顧客先において必要な時に必要な情報を確認し提案することが実現した。
コーポレートデザイン本部 IT経営推進室 石田和久氏は、iPad導入後について次のように語る。
「営業担当は外出先から会社に戻る回数が減少し、顧客先で必要な資料をお客さまへ提案することが可能になりました。従来、資料検索や資料作成のために会社に戻り出直すまでに2時間前後を費やしていたのですが、導入後はその時間を有効に利用できています。iPadを配布した社員向けのアンケート結果からは、訪問件数が従来に比べ27%増加し、顧客に対する対応が31%早くなりました。さらに70%の営業担当は顧客先へ向かう移動時間を有効に使えるようになったと回答しています」
導入後は営業担当やSEから利便性が高くなったとの声が多いという。
iPadの主な用途は顧客への提案に活用するほか、会社のパソコンと連携した電子メールの確認だ。外出先でも届いたメールに優先順位をつけることが可能になり、顧客からのメールに対して迅速な対応が可能になった。さらに、インターネット検索や閲覧も多く活用している。
「営業担当者は、顧客先で多くの紙資料を必要とせずiPadでプレゼンテーションをしています。顧客から突然カタログを見せて欲しいと要望を受けたときにも、共有されているデータファイルからカタログを開くことが可能になりましたので、顧客からの印象が良くなりました。iPadには当社の会社案内やサービス内容を動画として入れてあるため、具体的なイメージがわきやすく、訴求力も上がっていると思っています」(古良田氏)
同社は地球環境保全に関するコンサルティングを含めた環境ソリューションを提案しているが、iPadを活用していることで自社のペーパーレス効果も出ているという。それは57%の営業担当が携行する資料が減少し、印刷物が削減できたと回答している。
同社は今後、東北地方や中国地方、さらには海外にも拠点を展開し事業を拡大していく計画だ。2011年度の売上高はおよそ112億円であったが、2012年度は160億円を目標にし、創業から50周年を迎える2022年度には500億円を目指していく。今後も「顧客創り」「人創り」「幸せ創り」という経営方針のもと、企業の課題を解決するために最適なソリューションを提供していくという。
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