【連載】

事例で学ぶiPhone/iPad活用術

63 iPhoneをiPadにリプレイスし、動画を活用した営業を展開

エースラッシュ  [2012/05/22]

コヴィディエン グループ ジャパンは、医療機器や医薬品、メディカルサプライなどを総合的に扱うヘルスケアカンパニー「コヴィディエン」の日本法人で、海外で開発された最新の医療機器を扱っている。医薬品や医療機器の営業担当者は医療機関で長時間過ごすことが多く、その業務をフォローするものとしてiPhoneが導入されたのは2010年8月のことだ。

情報サービス本部 システム管理部 部長永野信之氏

「2010年3月頃から検討を開始し、6月には部署を横断したチームを作って導入準備を進めました。8月には営業担当者を中心に全社展開し、900台を導入。その後1,000台まで数が増えました。基本的にカレンダやメールの連携をメインとしたインフラツールとしての導入です」と語るのは、情報サービス本部 システム管理部の部長であり、セキュリティオフィサーの永野信之氏だ。

外出が多い営業担当者は以前からノートPCを持ち歩いていたが、その重さや起動の遅さなどが問題視されていた。

「メールをいちいちPCを起動して見るのでは時間がかかってしまいます。iPhoneならすぐに見られますから、とても便利になりました」と、サージカル ソリューション営業企画部 プロジェクト推進マネージャーの松尾智子氏は現場の評価を語る。

サージカル ソリューション営業企画部 プロジェクト推進マネージャーの松尾智子氏

手術動画等をiPadで見せて効果的なアピールを実現

iPhone導入に成功した同社だが、次のステップとしてiPad 2導入の検討も始める。そして2011年8月、iPhoneを導入してからわずか1年という時期だったが、導入済みのiPhoneを一部入れ替える形で600台のiPad 2が導入された。

iPad 2の導入目的は、医師に対してよりグラフィカルなプレゼンテーションを行うことだ。医療機器を利用している動画を手軽に見せられれば、最先端医療機器の使い方もわかりやすく伝えることができる。従来はDVDを利用してノートPCやポータブルプレイヤーで動画を見せていたが、営業ツールとして利用するには、機動性や利便性の面で使いづらい部分があった。

「忙しい医師を相手に営業する場合、わずかな時間で商品のPRを行う必要があります。時には移動しながらエレベーターの中で見せることもあるほどです。DVDの場合さっと見せるというわけにもいかず、改めて時間を設けてもらわなければならないという問題がありました。最初はiPhoneで見せたりしたのですが、画面が小さく見づらいと言われていました」と、松尾氏はiPad 2導入の背景を説明する。

営業担当者と医師を対象に調査を行い、iPad 2ならば実用に耐えられそうだと判断。iPhone導入後2年に満たなかったが、思い切って端末の入れ替えを行った。

「医薬品分野ではモバイルデバイスの利用も進んでいるのですが、医療機器はそれほどではありません。まだ、iPad 2が珍しいと興味が持ってもらえましたし、高名な医師の手術動画が見られることなどから医師にも受け入れられました」と松尾氏は手応えを語る。

機器の使い方をイラストや動画で紹介

収録した動画コンテンツは、DVD用にすでに作られていたものを解像度を合わせて変換するなどして作成されたもので、グローバルで共有できるコンテンツを利用し、日本で特に多い胃ガンなどについては日本で独自に作成しているという。

各種アプリやツールを積極的に活用して効率化

社内には効率的な利用を提案する部署を横断したチームが活動を続けており、有用なアプリの情報交換を行っている。その中から出てきたものの1つが、スポーツの戦術分析に使われる「TacticsView」だ。

「動画や画像に対して書き込みができるので、内視鏡の挿入角度や挿入位置などを具体的に解説できます。書き込んだものを画像化して医師に送ったりするのも喜ばれます」と松尾氏。

必要に応じて情報を受け取った医師が後で再度参考にしたり、他の医師と共有するために、クラウド上にあるグローバルで開発したプレゼンテーション支援ツール「SA2」の共有機能を利用し、コンテンツのリンクを医師のメールに送付するという使い方もされているようだ。

iPad導入には、別の効果もあった。

「紙の削減も実現できました。半期ごとのキックオフ時に大量の資料配付があり、訂正があると都度連絡が回るのですが、以前は紙で配布されて自分で修正するように指示されていました。しかし、今はクラウドに新しい資料が配信され、iPadには常に最新の資料が入っています」(松尾氏)

リモートデスクトップやSharePointの導入も検討

現在はMDM(Mobile Device Management)で端末管理を行い、紛失/盗難時には迅速に対応できる態勢を整えている。しかし、厳しいアプリの制限等は行っていない状態だ。

「原則業務目的に限る、というルールを設けて運用していますが、自宅に持ち帰っての使用や、アプリインストールについては、ユーザーである社員の判断に委ねています。MDMでどの端末に何のアプリが入っているのかは管理していますから、万が一問題がある場合にはすぐ対処できます」と永野氏。

今後はシトリックスのソリューションを利用したリモートデスクトップを導入し、外出先からiPad 2経由でより業務を進めやすくすることも考えられている。セキュリティを確保するためのVPNアクセスやSharePointを利用して、社内の情報を外部でも閲覧できるようにすることも検討中だ。

「現在は、現場から上がってくる要望の半分くらいが実現できていますが、今後はセキュリティと使い勝手のバランスになるでしょう。セキュリティを確保しながら使いやすく、というところを目指したいと考えています」と永野氏は語った。

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