【コラム】

ストリートインタビュー

189 事務所は再利用された廃校舎教室、第1世代から出発した人気VJ(4)

    山田久美  [2005/08/09]
    ID:101
    氏名:丸野優
    年齢:29歳
    職業:クリエイティブディレクター/アートディレクター
    場所:世田谷区
    携帯電話:NTTドコモ「FOMA SH901iC」
    1カ月の携帯電話使用料金:約15,000円

    TVと携帯電話に関して"それぞれに合ったコンテンツ"というと、丸野さんご自身はどういった違いがあると思われていますか。また、実際にコンテンツを制作される際、どういったことを意識されていますか。

    「TV以外にも、ケータイやデジタルカメラ、PSPなどのゲーム機、ポータブルMPEGプレーヤー、ポータブルデジタルオーディオプレーヤーなど、映像を再生して視聴できる媒体は増えてきています。そして、僕自身の仕事の醍醐味は、"それぞれの媒体の特徴に最適なコンテンツを作る"ということに尽きると思っています。

    ケータイ向けのコンテンツ制作と映像配信は約1年前からやっています。ケータイの場合、映像を見る機会というのは、現在のところ着信時が最も多いので、そのシチュエーションに特化した魅力的な映像を色々と考えているところです。具体的には、メールが送られてきた、もしくは電話がかかってきた相手が誰かを知った瞬間に"自分がどう感じるか"が重要ではないかと考え、その気持ちを表現できる映像を考えています。

    ケータイって、パブリックな場所で持ち歩くものである一方、着信メールを読んだり電話に出たりする時って、すごくプライベートな時間であり空間です。つまり、すごく嬉しくても素直に喜べなかったり、悲しくても悲しめなかったりするわけです。ですから、そういった感情を自分の代わりに映像で表現できたら面白いのではないかと思っているのです。大好きな彼女から電話がかかってきたら、着信映像でアバターが自分に代わって踊ってくれたり、出たくない相手でも勇気を出して出なければいけないときに、映像が自分を応援してくれたら嬉しいのではないかと思うのです。例えば、喧嘩中の彼女からだったら、やっぱりツライと思うし、相手が無理難題を押し付けてくるクライアントだったら、嫌だなと思うじゃないですか。そんなときに、アバターが三三七拍子で応援してくれたら勇気が湧くかなと。逆に、出たくても出られない時に、相手にその状況を映像で知らせるといったことも面白いのではないかと考えています。

    つまり、"ポジティブなコミュニケーション"を支援してくれることが重要な役割としてあるのかなと思っているのです。さらに、ケータイというプライベートな機器が自分の行動パターンなどに合わせて"成長"してくれて、自分の気持ちを汲んでくれたり、代弁してくれるようになると良いですよね。

    一方、TVの役割もどんどん変わっていくと思っています。今は、"ながら見"が主流で、そのために何となくつけておけるような番組が多いのではないでしょうか。例えば、ひとり暮らしの人や、日中家族が家を出ていて、お昼ご飯や夕飯をひとりで食べなければいけない人が、TVをつけていた方が何となく安心するために、取りあえずつけておくということです。でも、最近は大画面TVが多くなってきていて、さらに、ホームシアターも一般的になりつつあります。数年後には、建売住宅でリビングルームにホームシアターが予め設置されている、ということが当たり前になっているかも知れません。他には、プロジェクタが内蔵されていて、壁一面に映像が映せるものや、壁にカーテンがついていて、カーテンを開けると、壁一面が映像モニターになっているものが出ている可能性もあると思います。150インチの大画面もそう珍しいことではなくなるのではないでしょうか。そういった時代になった時のことを想像すると、"ながら見"なんて減るのかもしれない。TVをつけて、150インチの超・大画面で「みのもんた」がまくし立てていたら、落ち着いて食事なんてできないのではないかと思うんですよ(笑)。そうなると、これからはご飯をおいしく食べられる映像を作ることができる人が重要になっていくのかもしれません(笑)。

    つまり、TVが大画面になることで、ライフスタイルの在り方が変化するのではないかと思われます。そして、それに連動してコンテンツも変わっていくはずなのです。極端な話、カーテンの柄を選ぶとか、部屋の模様替えをするとか、そういったことに近くなるのかもしれないと思っています。例えば、森の風景を壁一面に映すことで、都心にいながら森の中でのバーべキューを楽しんだ気分になれるとか、バーやホテルのラウンジの風景を映すことで、わざわざその場所に行かなくても、家にいながらにして、恋人とバーでのデートを楽しむ気分を味わえるようになるかもしれません。つまり、家の中で、色々なシチュエーションを楽しむことができるようになるのです。宇宙空間を映しても楽しいでしょう。

    そういえば、以前、サウンドアーティストの小野誠彦(おのせいげん)さんという方が、5.1chのサラウンドスピーカーを家の食卓に配置して、上海のレストランで録音した音を実際に再生しながら中華料理を食べるという実験をやったところ、より美味しく感じたと言っています。音と組み合わせることで、より面白いことができるようになるかもしれません。

    (インタビュアー=山田久美)

    *次回に続きます。

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