【コラム】

ストリートインタビュー

183 日本初の有人宇宙飛行を目差す宇宙機エンジニア(3)

    山田久美  [2005/06/28]
    ID:100
    氏名:野田篤司
    年齢:45歳
    職業:宇宙機エンジニア
    場所:柏
    携帯電話:ウィルコム「feel H" Panasonic KX-HS100」
    1カ月の携帯電話使用料金:約4,000円

    「オリジナルの"惑星間航行用の軌道計算プログラム"というものも自分で作りました。見た目は数字の羅列なのであまり面白くないかも知れませんが、機能を説明しますね。例えば、"木星に行きたい"といった場合、目的地を木星にセットして軌道計算を行います。木星に行くのに、一番遅い軌道だと往復6.05年かかります。また、最速の軌道だと5.2カ月で往復できます。このように、目的の惑星を入力して地球から航行する軌道を計算し、往復に必要な日数とロケットの規模の概算をします。目的地が惑星ではなく、小惑星や彗星でも計算できるようになっています。

    プログラムは通勤の電車の中で作ることが多いですね。僕は家から職場のある筑波まで、毎日往復3時間以上かけて通勤しているのですが、そのうちの2時間以上は電車の中なので、その間、ザウルスを使ってプログラミングしていることが多いです。特に、職場では色々と難しいことを考えることが多いので、帰宅の電車の中でリラックスした時や緊張の糸が切れた瞬間にアイデアが浮かぶことが多いですね。

    開発環境はこのSDカードです。プログラミングに必要なものがこの中に全部入っています。これをSDカードスロットに挿入してザウルスを起動すると、いつでもプログラミングができる状態になっているんです。

    惑星間航行のソフトウェアは自作

    SDカードに開発環境が入っている

    また、家の中では、パソコンやザウルスはすべて無線LANで接続しています。自分で作ったプログラムを使って、玄人指向玄箱と双方向でシンクロさせて、常に最新データの状態にしてあるのです。僕以外の家族がパソコンに書き込むこともあるので、それらのデータを24時間監視して、時系列に並べた上で、最新データをマージして、更新しているのです」

    現在、PDA市場は冷え込んでしまっていますが、野田さんはその点に関してはどう思われていますか? 「現実問題として、PDAに関しては、大きな危機感を持っています。ソニーも今年7月末でCLIEの生産を終了していますし、そうなると、国内のメジャーどころでいえばシャープくらいしか残りませんからね。もちろんWindows CE系の機種はありますが、法人向けがメインという印象が強いですよね。

    その原因は、多分、今までのPDAにポリシーや哲学といったものがないからではないでしょうか。システム手帳の場合、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』といった名著があるじゃないですか。人生哲学も含めた上で、どうやって自己管理を行うかというところまで入り込んでいるわけですよね。ところが、今までのPDAにはそういった発想がまったくありませんでした。ひとりのPDA・モバイル機器のファンとして、僕は今までPDAに哲学がなかったことを残念に思ってきました。PDAでできることと言えば、せいぜい800円で買えるスケジュール帳と同程度だったわけで、それでは、何万円もかけてPDAを買う意味はありませんよね。どんなに頑張っても、今のままでは紙のシステム手帳には勝てないと思っていますから、何とかPDAには、最も基本的な機能であるスケジュール管理について、PDAにしかできないようなやり方を模索して欲しいですね。小手先のツールを揃えるだけではもう限界だと思うので、一度、根本からPDAの在り方を考えなおさないと、このままではPDAはなくなってしまうのではないでしょうか。

    愛用中のシャープのザウルス「SL-C760」

    野田氏が考える「理想のPDA」

    僕自身も、PDAの哲学というものを一度、掘り下げてみたいと思っていました。僕がブログで、"理想のPDA"といった連載を行っているのも、実はそういったことに関する警鐘を込めているんですよ。もちろん、7つの習慣ほどのすばらしいことが言えるわけではないのだけれども、もう少し、PDAの流れを把握した上で、まとめていきたいと思っています。現時点ではまだまだですが、今、一生懸命、掘り下げようとしているところです。

    例えば、"PMBOK"といって、米国プロジェクトマネジメント協会が提唱するプロジェクトマネジメントのための標準的なフレームワークがあります。プロジェクトをタイムスケジュールやコスト管理といった5つのタクス群と9つの知識エリアで管理するためのガイドラインを謳ったものです。まぁ、PMBOKほど細かいことをPDAで管理する必要はないのかも知れませんが、つまりは、PMBOKよりも簡単で、しかも今よりもっとしっかりとした管理ができるPDAはできないものかということを考えているのです。実際、こういったものをフォローしてくれるものでないと、これから先、PDAは生き残ることができないと思っています。

    実は、僕はシステム手帳も併用していまして、では、なぜ、ザウルスを愛用しているにも関わらずシステム手帳を持ち歩いているのかと言いますと、システム手帳はページをばらして、並べて見比べるという使い方ができるからなんです。カード的な使い方ですね。だったら、液晶がたくさんついているPDAがあってもいいじゃないかということで、思い付いたのが、液晶画面のたくさんあるPDAです。デュアルもしくはトリプルモニターですね。ザウルスに、単純な液晶モニターと簡単な駆動装置だけつけておくだけでも十分なのではないかと思っています。

    また、残念なことに、何か思い付いた時、忘れないうちに書き留めておこうと思うと、どうしても紙よりもザウルスの方が遅いので、紙にまず書いておいてあとでザウルスに入力するといったことも多いです。本来、紙と同じスピードで書けるのであればザウルスに書くのでしょうが……。逆にザウルスに残すのは、一元管理ができて検索も可能なので、後で見直したいと思った時に便利ですから」

    PDAに必要な機能を現在、模索中

    システム手帳を併用している理由にページをばらして並べて比較できる点がある。それをPDAで実現するとデュアルモニターかトリプルモニターになる?

    (インタビュアー=山田久美)

    *次回に続きます。

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン