【コラム】

ストリートインタビュー

135 新しいコミュニケーションを作る道具を生み出すメディアアーチスト(5)

    山田久美  [2004/03/29]
    ID:089
    氏名:クワクボリョウタ
    年齢:32歳
    職業:デバイスアーチスト
    場所:六本木ヒルズ
    NTTドコモ「NM207」
    1カ月の携帯電話使用料金:5,500円前後

    ところで、技術の進化に伴い、携帯電話などのデバイスもどんどん多機能になってきていますが、そんな中、クワクボさんの発想も広がってきたりしていますか?「僕の場合、他のメディアアーチストに比べて、技術的な進歩についていかれていないところがありますね(笑)。最先端のメディアアーチストは、RFIDとかユビキタスとかに目を向けているのではないかと思うのですが、僕はまだそこに行っていません。どちらかというと、そういったものがある程度浸透してから、その状況や風景を観察し、考え始めたり発想したりする、わびさびタイプなんです(笑)」

    これからも面白い作品を作り続けて下さい!

    では、クワクボさんご愛用のモバイルグッズを紹介して下さい。「まずは、アイデアなどを書き溜めるためのメモ帳です。型番はS161です(笑)。いや、以前は、Palmを使って、アイデアをメモしたり、スケジュール管理をしたりしていたんですが、使わなくなってしまいましたね。PDAって、きっちりと用途別に使い込まないとダメじゃないですか。テキストはテキストエディタ、スケジュールはスケジュール帳、電話はアドレス帳といった具合に……。さらに、パソコンとシンクロさせたりとか……。そんなこと、やっていられないし、そんなきちんとした生活は送っていなかったので、結局、自分にはPalmは向いていなかったんですよね。それに比べると、やはり紙ってすごいですよ。万能で、応用性は最高です。絵も描けるし、文字も描けるし、ガムを包んで捨てることもできるし、切り取って人にあげられるし、紙飛行機にもなるし……。今後、電子ペーパーが普及するようになれば、それはそれで新たなインタフェースとなるのでしょうが、今の紙程度のコストになるには当分時間がかかりそうですよね」

    愛用のメモ帳にはクワクボさんのユニークなアイデアが満載


    NTTドコモの「NM207」。以前はPalmと赤外線通信していた。実は取材後、auの「A5404S」に機種変更したとのこと。「メールは全部フォワードして、外出先でもチェックできるようになり、便利に使っています。画面表示などには不満が残りますが、ヒンジが見えないというデザインが斬新でした」(クワクボ氏)

    携帯電話は何をお使いですか?「NTTドコモの「NM207」です。以前Palmを持っていた頃に、Palmと赤外線通信ができるということで、組み合わせて使っていました。でも、電波がよく入らないので、一度は503iに替えたのですが、iアプリを見て、あと1、2年は待とうかなと思い、結局NM207に戻っちゃいました。今はiアプリもずっと良くなっているようですが、当時は自分には不要かなといった印象を受けました。容量も限られていましたし、契約料や通信費も結構かかるので、こういったことにお金を費やすのは惜しい気がしたんです。ですので現在は、ケータイは通話のみですね。基本的に仕事場は自宅なので、外でメールのチェックをするということはありません。高校生とか若い子たちは、あまり自分のパソコンを持っていないので、その代わりに、ケータイでメールをしたりiアプリを楽しんだりするんでしょうかね」

    クワクボさんの作品は、コンセプトの面白さもさることながら、デザインがシンプルでスマートなので、携帯電話などのデザインなども手掛けて欲しいなと個人的には思いますが、いかがでしょう。「今回、「六本木クロッシング」には、「INFOBAR」をデザインされた深澤直人さんの作品も展示されているのですが、KDDIは、INFOBARの製品化をよく実現できたなと思って、感動しました。ある新聞にINFOBARのことを、"機能よりも見た目重視"と書いてあったのですが、「わかっていないな~」と思いました(笑)。見た目も機能の一部だよ、と。またNTTドコモも、「FOMA 900i」シリーズはデザイン重視と言いながら、あそこまでの覚悟はまだないなと思いましたね。僕もケータイのデザインを任されるようになりたいですが、まだまだ夢の段階ですね」

    「パソコンは、チタニウム製の15インチの「PowerBook G4」と「ThinkPad 240Z」を使っています。Windowsマシンはマイコンのプログラム開発のためだけに使っていて、それ以外はすべてPowerBookです。PowerBookは2002年の暮れに買いました。PowerBookには作品のビジュアルも入れてあるので、作品のプレゼンテーションのときなどには持って出掛けます。

    愛用のチタニウム製の15インチの「PowerBook G4」。作品のプレゼンテーションのときなどにも活躍

    2000年に購入したThinkPad 240Zは、XGAモデルでシリアルポートが標準で付いている最後の機種です。シリアルポートは、色々なデバイスを取り付けてテストをするときに一番楽なので手放せません。B5サイズなので持ち運びにも便利です」

    「使っているデジカメは、2001年に購入したニコンの「COOLPIX 990」です。広角レンズが使えるのでこの機種を選びました。広角で撮影しないと作品が立派に見えないもので(笑)。持ち運ぶには大きくて重いのですが、最初から作品の撮影という用途に限って購入したので、携帯性は二の次でした。ですので、普段はほとんど持ち歩くことはありません。家にはEXILIMもあるのですが、単焦点なので、作品の撮影には使えません。ただ、液晶画面が大きいのは良いなと思います。デジカメって撮るためだけのものではないじゃないですか。その場で見ることができるのもデジカメの大きなメリットのひとつなので、液晶が大きいことは重要だと思いますね」

    2000年に購入した「ThinPad 240Z」。XGAモデルでシリアルポートが標準で付いている最後の機種。マイコンのプログラム開発専用

    「COOLPIX 990」は作品の撮影用に購入。広角レンズが使えるということでこの機種を選択。「広角で撮影しないと作品が立派に見えないもので(笑)」


    Tektronix(テクトロニクス)のオシロスコープ「THS720A」は展覧会の必需品

    「Tektronix(テクトロニクス)のオシロスコープ「THS720A」は、波形を測定するための機械です。基板などの回路に電極を当てて、どういった電気が流れているかをグラフで見るんです。展覧会で作品をセッティングする際には必ず必要で、持ち歩いています。電気はこの機械がないと見えないので、展覧会を行う際の必需品なんです」

    色々と興味深いお話しをたくさんしていただき、どうもありがとうございました! デジタル系のアーチストさんなので、最新のデジタル機器をガンガンに使い倒しているのかと思いきや、そのマイペースさに逆に新鮮さを感じました。今後のご活躍、期待しています。では、また次回です。


    デバイスアーチストのクワクボリョウタさん

    (インタビュアー=山田久美 k-yamada@pc.mycom.co.jp)

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