【コラム】
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| ID:089 |
| 氏名:クワクボリョウタ |
| 年齢:32歳 |
| 職業:デバイスアーチスト |
| 場所:六本木ヒルズ |
| NTTドコモ「NM207」 |
| 1カ月の携帯電話使用料金:5,500円前後 |
これまでの作家活動について、もう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。「大学から大学院にかけては、現代美術を勉強していました。大学院卒業後は、美術の世界からは一旦離れて、マイコンのプログラマーになりました。美術の勉強をしても、それを活かす場所と言えば、作家になるか学芸員になるかぐらいしか選択肢がありません。作家になることは諦めていたので、食い扶ちを確保するために、プログラマーの仕事を選んだのです。とはいえ、元々コンピュータには興味はあり、小学生の頃とかは、趣味でマイコンを作ったりしていたんです。ですので、就職の際には、昔の趣味を活かして、こういった仕事も良いかなと思ったんですよね。
具体的には、電子機器の試作機を作る仕事を2年間ほどしていました。その機器に実装される前の30cm角の試作用の基板を作っていたのです。さらに、その基板の中のほんの1cm角の世界を作っていたんです(笑)。でも、そのためには、回路図も読めないといけませんし、プログラムを実際に動かして、電圧がどう出ているかといったことも調べなければいけませんでした。今思えば、あの2年間は非常に内容が濃かったですね。学校とは全然スピードが違うのでかなり勉強になりました。お陰で、自分でも回路が作れるようになりまして、そんな中、仕事をしながら、回路を使った作品を作り始めたのです」
現在のクワクボさんの作品の原点ですね。「やはり、作品を作りたかったんですよね。学生時代とは違って、アトリエも工房もないので大きな作品は作れませんでしたが、電子回路なら、小さい場所でも作ることが可能です。そこで、作ってみたのが「Bitman」です。Bitmanは元々、今とは全然違う形のものだったのですが、大学院の先輩である明和電機の土佐さんに見せて、コンセプトを話したら、"面白いので、是非一緒にやりましょう"ということになり、アレンジを加えていった結果、ああいう形になったのです。
Bitmanのテーマは小さくてピカピカ光るものです。当時、ポケットゲームが流行っていたのですが、みな液晶画面でした。でも、液晶ではなく、もっと派手なLEDで直接光る可愛いものが作りたかったんです。それをベースに、色々と考えていたら、小さい画面に何かが出てきて踊りまくるのが良いのでは?という発想が浮かび、Bitmanになったのです。
Bitmanには2タイプあって、1つは手作りバージョン、もうひとつは、おもちゃメーカーさんが作った市販用の量産バージョンです。手作りバージョンの方は、外装を明和電機が、基板を僕が担当しました。
手作りバージョンの方はインタラクティブ性がないのですが、市販用の量産バージョンの方はスイッチや傾きセンサーを搭載していて、本体を振ったら、画面上のBitmanが激しく踊るといったインタラクティブな機能を持っています。ただ、電池寿命が短いのが弱点で、単4電池2本で約5時間しか持ちません。
市販化に関しては、おもちゃメーカーも、過去にあまりこのようなものは使ったことがないということで、製品化するまでに2年間もかかりました」
2年間もかかるものなんですか。2年も経つと、技術もどんどん進化してしまいますし、発想にも新鮮味が欠けてくるのではないのでしょうか。「最先端技術を目指すと痛いんですけど(笑)、Bitman自体は、LEDなどすでに昔からある技術を使っているので、時間的なギャップという点では問題ありませんでした。僕は、実はYMO世代で、小学生の頃、富士写真フイルムの製品の景品に、YMOのテクノバッジというものがあったんです。バッジにLEDが8個くらい付いていて、ルーレットになっているんです。それがすごく欲しかったんです。でも、買えるわけもなく、それに対する憧れの記憶が、Bitmanの原型になっているんです。そして、そのテクノバッジの基板を作ったのが、メディアアーチストの藤幡正樹さんなんですが、Bitmanが市販されたときに藤幡さんとお会いして、なんと、子供の頃からの憧れだったテクノバッジとBitmanを交換させてもらったんですよ」
すごい話しですね! それにしても、クワクボさんにとっては、Bitmanがテクノとアートが合体した初めての作品なんですね。「テクノ的なアート作品を作る人は数多くいますが、その多くがソフト系です。なぜかと言うと、ソフトの方が制作環境を整えやすいからです。また、流通もしやすいなどハードよりも有利な面をたくさん持っています。でも、その分、逆に競合も多いんです。僕の場合、競合が多い分野は全部外して、ニッチな分野を追求していったので、きっと、多少、注目を集めたのだと思います。
ついでに、ひとつご報告なんですが、Bitmanに続き、昨年8月開催の「デジタルアートフェスティバル東京2003」に出展した、TVのビデオ端子に挿すと映像が再生される作品「VideoBulb」」が今月、おもちゃメーカーから発売されることになりました」
(インタビュアー=山田久美 k-yamada@pc.mycom.co.jp)
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