がっつり飲む、というわけではないけれど、ちょっとだけ日本酒を楽しみたい。しかも、できれば珍しい蔵元の名酒を……、という人にぴったりなのが「名酒センター」。浜松町にある、この蔵元のアンテナショップでは、うれしいことに昼間からお酒が飲めます。場所柄、おじさんたちの聖地かと思いきや、実は、若い人も多いのだとか。

日本各地の小さな蔵の逸品が

浜松町にある「名酒センター」の外観

浜松町の駅から増上寺方面へ。夕方からおじさんたち(だけではないですけど)で賑わう「秋田屋」の手前の通りを左へ入ると、少し先に「名酒センター」の看板が見えます。一見すると、酒屋さんかなとも思うかもしれませんが、日本各地の小さな蔵を中心とした40社の日本酒がそろい、味わうことができる日本酒好きには、たまらない場所です。

店内には、今まで見たことのない一升瓶がずらり。今まで結構日本酒を飲んできましたが、本当に知っている蔵がほとんどありません。60ミリリットルのグラスでテイスティングができ、1杯の値段はだいたいどれも200円。

3種類飲んだら100円引きとなっていて、みなさん、このパターンで楽しんでいるようです。例えば、200円のお酒を3種類飲んだ場合、計600円引く100円で500円に。たったこれだけで、ほかの店ではまず味わうことのできない日本酒を試してみることができるのです。

一升瓶がかっこいいって……!?

お客さんは、やはりおじさんが多いのかと思っていたら、「結構、20代くらいの男女も増えていますよ」と、スタッフの竹林ゆうこさん。1年前に店舗をリニューアルしたこともあり、若い人が少なくないとのことです。

また、わりと日本酒を飲んでいて、ある程度上の年齢層が、「日本酒といったら○○」などといったこだわり、というか固定観念を持っていることがよくあるのに比べ、まだお酒に詳しくない若い人たちは、先入観にとらわれることなく、いろいろな日本酒を楽しもうとしているようです。

「それと、一升瓶というものが珍しいらしくて……。一升瓶そのものがかっこいいという人も多いんですよ」。竹林さんの言葉に一瞬???? つまり、20代くらいの人たちは、一升瓶を知らないってわけ? うーん確かに、今、ご家庭に一升瓶はないのか。大学のサークルでは日本酒一升瓶が寸志だったけど……。(というか、寸志、も死語か?)

まぁ、とにかく、すっかりびっくりしてしまったのですが、当たり前に見えていた一升瓶ってものも、彼らにとっては、ダイヤル式の電話、みたいな「昭和なもの」なんですね。

店内には、カウンターとテーブルの立ち飲み席がある

カウンター奥の棚は、アートな感じで一升瓶が並んでいる

日本各地の蔵元の酒がずらり。何度も通ってすべてを試してみたい気分になる

適正価格の特別純米酒「越乃寒梅」

で、若い人にはわりとフルーティーな日本酒が最近は人気なのだとか。早速、オススメを味わってみることにしました。ただし、3種類のうちの1本は、特別純米酒「越乃寒梅」を選択。飲み屋では高値ですが、適正価格で本来の味を楽しんでもらいたいという蔵元の希望により、置いてあるとのこと。これは外せません。

前にいつ飲んだのか、まったく思い出せないまま、ひと口、またひと口。まさに日本酒といったすっきりとした味わいです。店によっては、高値ゆえに長いこと置かれたままで古くなってしまっている場合もあるとのこと。日本酒好きこそ、ベストの味を確かめてみるべきでしょう。

あと2種類は、東京都福生市の田村酒造場の特別限定品である「田むら」純米吟醸酒と、島根県大田市の一宮酒造の「石見銀山」特別純米酒。どちらも軽くてフルーティーな口当たりで、ほんのりとした甘さもかすかに感じられます。このタイプは若い人にも人気が高いようです。

これで500円。結構、ちゃんと「飲む」ことも楽しめます。お店では、おつまみもいくつか販売されているので、いい感じに日本酒を味わいたいという人も満足できるはず。「サマータイム導入で、今年の夏は仕事終わりが早い」という人は、飲み屋が開く前にぜひ立ち寄ってみましょう。もちろん、そうでない人も、夏のまだ明るい夕方(夜でもかまいませんが)、日本酒の奥深い世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

「名酒センター」オリジナルのデザイン「風雲剣鬼伝」も

蔵元名が書かれたTシャツのほか、石鹸や酒器なども販売されている

今回味わった3種類の日本酒。それぞれの個性をゆっくりと楽しめた

「名酒センター」のほか、全国の酒販店などで販売されている月刊誌「ビミー」

名酒センター
住所:東京都港区浜松町2-3-29-1F
営業時間:11時~21時(月曜~金曜) / 15時~20時(第1、第3、第5土曜)