フリーフライト飛行機、とは、いわゆる紙飛行機やゴム動力で飛ぶ飛行機のこと。秋葉原の飛行機玩具専門店「十字屋」には、昔懐かしい飛行機や、最先端の紙飛行機などが、ずらりと並びます。でも、紙飛行機といっても、その世界はなんだかスゴイことになっていて……。

上には、いろいろな紙飛行機がぶら下がっている「十字屋」の店内

紙飛行機は、大人の遊び??

「十字屋」さんの社長は3代目。ラジコンなども取り扱っていますが、紙飛行機をメインにし始めたのは3年ほど前のことだそうです。紙飛行機といっても、ペーパーグライダーと呼ばれる本格的なものが目立ちます。

ほかには、世界一軽い木材バルサを使ったバルサグライダー、竹ひごを使ったライトプレーンなどが並び、懐かしいもの、見慣れないもの、さまざま。でも、あったー!! 昔、夢中で遊んだアレ。正式にはソフトグライダーと呼ぶらしい。知りませんでした。

かつて、紙を折ってつくる紙飛行機に限界(?)を感じた子ども(男子)は、この戦闘機柄のソフトグライダーの飛行能力に魅せられ、飛びついたのです。昔と変わらぬ姿のままで売られていて、感激。やっぱり、客の大部分は子どもたち、かと思ったら……。

「ほとんど、50代以上の男性ですね」と社長のひと言。さすがに、ソフトグライダーではないものの、ペーパーグライダーやライトプレーンは、熟年男性の独壇場とのこと。えっ、なんで?

これが、アレ。昔と変わらないソフトグライダー

ちょっと進歩した宙返りするグライダー。ひとつ105円!!

ペーパーグライダーの入門者用の定番とされる「ホワイトウイングス・スカイカブⅢ」

「ホワイトウイングス」にもさまざまな種類があり、競技大会で使われている

目指すは、全日本紙飛行機選手権大会

さまざまな理由がありますが、まずは、子どもたちが遊ばなくなったとのこと。都会では、飛行機を飛ばす場所がなく、実際、紙飛行機を飛ばすのが禁止されたりしている場所もあるそうです。なんだか、切ない話。

それと、紙飛行機界(?)の目標は、全日本紙飛行機選手権大会となっていて、なんだかものすごいレベルの高い世界となっているらしいのです。もちろん、子どもの参加者もいるのですが、やはり決勝は大人の対決になる。当たり前ですけど。

ちなみに、今年で第17回目となる大会は、日本紙飛行機協会主催で、後援は文部科学省や米国スミソニアン航空宇宙博物館(!)など。大会会長の工学博士・二宮康明氏は紙飛行機設計の世界的権威です。予選(9月11日まで)はすでに始まっていて、決勝は11月6日に武蔵野市の中央公園で開催されます。

ライトプレーンについても、航空力学とかの知識が必要だったりして、ずいぶんと専門的。やはり、客層は熟年層の男性が圧倒的に多いそうです。

ゴムの動力で飛ぶライトプレーン。競技会では3分以上飛ばす人もふつうにたくさんいるらしい

ゴム動力飛行機の専門書。こういった本が出版されたのは、ごく最近のこと

「飛ばす」のは、気持ちいい!

さらに、上級者になると、部品やゴムなどへのこだわりも強く、実際、いろいろな製品があって、本格的な職人の世界を感じさせます。説明書は……門外漢には理解不能。ほとんど工学部のテキストみたいです。

でも、やはり紙飛行機は飛ばすヨロコビを体感するもの。突き詰めていけば、かなりディープな世界になるものの、初心者への入口だって広く開かれています。「十字屋」には、紙飛行機に関する「すべて」がそろっていると言えるので、ちょっとでも興味を持ったなら、足を運んでみましょう。紙飛行機界から遠ざかっていたオトナも、ググッと何かに引っかかるはずです。

都市部だと、飛ばす場所が少ないのも確か。それでも、まったくないわけではありません。紙飛行機を飛ばすために、ちょっと遠出してもいいじゃないですか。武蔵野中央公園は紙飛行機界の「聖地」らしいです。地方を目指すのも、あり、では?

今年の5月5日、日本紙飛行機協会は、岩手県陸前高田市で紙飛行機教室を開催しました。その様子は同協会HPで見られます。ペーパーグライダーは、ゴムを引っかけて上に向けて飛ばすのですが、子どもたち、みんなとっても楽しそう。

やっぱり、紙飛行機を大空へ飛ばすのは、とーっても気持ちいいんです!

工作好き男子にとっては定番中の定番だったバルサ板。懐かしいっ

飛行機の羽に欠かせない竹ひご。曲げるのがたいへんだったが、今は曲がった竹ひごが売られている

プロペラの動力となるゴムは、アメリカFAIの高性能糸ゴムが定番。ゴムをケアする商品もある

もちろん、ブロペラもいろいろ。こちらには韓国製の製品が多かった

初心者向けからそろっているライトプレーンのキット

ごくごくシンプルな「キッズフライヤー」というシリーズも。幼い子どもにぴったり

韓国では徴兵制もあるため、航空工学と関係の深いライトプレーンなどの人気が高い

こんな紙飛行機も。とにかく、いろいろなタイプの飛行機があって、驚くことばかりだ