今回ご紹介するのは都立中央図書館。以前、都立多摩図書館のそのスゴさを取り上げましたが 、たいへん反響をいただきました。「スゴさ」つながりで今度は中央図書館というわけですが、図書館のイメージを飛び越えたサービスがいろいろと用意されてます。同館のサイトでもうたわれているように、ここはまさに「都会のセカンドオフィス」。ビジネスにも大いに活用できるのです!

都立中央図書館の外観。周囲は緑の木々に囲まれていて、天気のいい日にはピクニック気分でランチを楽しむ人の姿も多い

広尾のオフィス感覚で使っています

ワタクシごとですが、都立中央図書館にはもう10年以上お世話になっています。地下鉄日比谷線広尾駅から徒歩10分弱ほどなので、住んでいる(もしくは働いている)場所によっては、ちょっと不便と感じる人もいるかもしれませんが、足を延ばす価値はあります。

緑豊かな有栖川宮記念公園を歩き、外国人の子どもたちが大勢遊んでる広場を抜けていくと、それだけでも気分転換になりそう。夕方まで調べものや仕事をして、広尾の銭湯でふわーっとなって、すぐ近くの英語やフランス語が飛び交うパブでギネスを味わい、もっとふわーっと気分がよくなって、またすぐ近くの人気の中華料理屋で食事をして帰る……、と、勝手に広尾のオフィスみたいな感覚で利用することもしばしばです。

カフェテリアからは六本木の景色が眺められる

入口を入ると受付があり、その奥にロッカールームがある

季節や時間帯によっては混み合うものの、閲覧席は900席あるので、これまで席がなかったということはありません。まわりは緑に囲まれていて、とても落ち着いた環境。5階のカフェテリアからは六本木ヒルズが間近に眺められ、これからの季節、木々の葉が落ちれば東京タワーも眺められます。

リニューアルして、ますます便利に

中央図書館は昨年リニューアルして、より使いやすくなりました。図書館に入ると、まずは受付で入館証を受け取り、荷物はコインロッカーへ。この入館証にはバーコードがあり、書籍を検索する際、これを機械で読み取るだけで閉架資料の請求が以前より簡単にできるようになりました。

資料が準備されると館内に設置された画面に入館証の番号が掲示され、1階のカウンターで受け取る際に入館証をホルダーから外して預けるシステムです。今年の5月現在で、資料は図書が約166万冊、うち開架が約35万冊、雑誌約7,000種、新聞約1,000紙と、さすがの充実ぶり。貸出しは行っていませんが、コピーはできます。資料によっては、自分でコピーできるものもあるので、カウンターで確認しましょう。係りの人にコピーを依頼した場合は、終了するとこちらも画面に入館証の番号が掲示されます。

こちらが入館証。首からぶら下げられるタイプとなっている

検索システムがならんだ1階はとても広々としている。奥にはさまざまな事典類もそろっている

手前にある読み取り機を入館証のバーコードにかざせば、閉架書籍の申し込みができる

2階から見下ろすとこんな眺め。検索システムのほかに、オンラインデータベース、インターネットなども利用できる

公立図書館では初のビジネス支援サービス

さて。ここまでは、いわば普通の図書館の話。都立中央図書館がスゴイのは、それ以外のサービスも充実している点です。中でも、日本の公立図書館で最初に始められたビジネス支援サービスは充実しています。1階にあるビジネス情報コーナーでは、さまざまな会社情報や業界情報を得ることができ、CD-ROMやオンラインデータベースなども用意されています。

利用者層は20代から30代が比較的多いとのこと。起業を目指している人も多いようです。多くの利用者は自分で調べているそうですが、もちろん利用方法などについては職員に気軽に相談できますし、サイト上のQ&Aなども役に立ちます。

最近では就職活動セミナーも開催されていて、9月24日には、中小企業診断士によるセミナー「自分にピッタリの企業を探そう!」が、39歳以下の人を対象に行われます。参加費は無料ですが、定員50名で予約制となっているので、詳細は同館サイトの「ビジネス情報」欄を確認してください。

また、今年の6月から2010年3月まで、計17回、無料で中小企業診断士に相談できる「ビジネス・起業創業相談会」も開かれています。こちらは都内在住・在勤の人を対象としており、1日4組まで各1時間の相談ができるもので、すでに10月までは予約が終了、11月もすでに予約が入り始めているほど人気が高いそうです。(こちらも同館サイト「ビジネス情報」をご参照)

1階には都市・東京情報コーナーもあり、東京をはじめとした国内外都市に関する資料がそろっている

申し込んだ書籍やコピーの準備が整うと、この画面に表示が出る。各階やカフェテリアでも同様の画面を確認することが可能

複写の受付。開架の書籍などは、左手にあるコピーコーナーにて自分でコピーすることもできる

1階のビジネス情報、法律情報コーナーは、都立中央図書館ならではの人気コーナー

もちろん各種新聞が閲覧できる場所もある。こちらも多くの人が利用している

閲覧席は充分なスペースがとられていて使いやすい。パソコンが利用できる場所もある

最近は法律情報への関心も高まる

ビジネス情報とならんで利用者が多いのが法律情報コーナー。法律相談や弁護士の紹介などは行っていませんが、情報や資料の提供についての相談にはのってもらえます。最近は裁判員制度が開始されたことも影響しているのか、判例などに興味を持つ人も増えてきているそうです。

10月1日には「身近な法律」と題して法律情報サービス講演会も開催されます。今回は相続・成年後見、そして離婚がテーマ。個別の法律相談はできないものの質問の時間は用意されます。参加無料で定員は80名。申し込み先着順なので、ご興味のある方はサイトで確認の上、お早めにお申し込みを。

都立中央図書館には、そのほかにも東京情報コーナーや音声・映像資料室、江戸時代から明治にかけての和書や漢書を収集している特別文庫室などがあり、さまざまな利用価値がありますし、館内の相談カウンターだけではなく、電話やメールなどでのレファレンスサービスも行っています。「図書館探検ツアー」も実施されているので、都立中央図書館の裏側をのぞいてみるのもおもしろそう。とにかく、これだけのサービス、利用しないとソン、ですよ。