さて。いよいよ総選挙です! 連日騒がれていますが、果たして日本はどうなるんでしょうかねぇ……、などとノンキに言ってはいられません。こんなときは少しでも臨場感(?)を感じたい。ならば現場へ。「そうだ、国会議事堂へ行こう!」そんなわけで訪ねました、参議院。「え? なぜに参議院?」と引っかかった人はわかってます。今回、解散したのは衆議院。というか、参議院に解散はありません。では、なにゆえ参議院なのか。

気軽に見学できる参議院

もちろん、気軽にとはいえ、「ちょいと見せてもらいますよ」「はい、寄ってっておくれ」というわけではありません。落語じゃないんだから。でも、平日であれば個人の場合予約なしで、見学ツアーに参加できますし、無料(詳細については公式サイトをご参照)。

衆議院も見学はできるのですが、9.11のテロ以降、安全対策のため衆議院議員の紹介が必要となっています。なので、衆議院議員にお知り合いがいない限り、参議院の見学ツアーに参加するのがベスト。というか、やはりフツーは参議院を見学することになるわけです。

ところで、学校で習ったはずの衆議院と参議院の違い。はっきり説明できますか? 見学に行くのなら、事前にちょっと確認しておきましょう。もちろん、ツアーでも説明されるしパンフレットももらえますが、公式サイトなどで予習しておくと大人の常識力がアップします。子どもと一緒なら、「パパ / ママすごい」って尊敬される、かも。

参議院見学ツアーは、衛視(えいし)と呼ばれる国会の警備担当職員が案内してくれます。所要時間はだいたい1時間ほど。今回は広報担当の方にも同行いただき、一般のツアーで訪ねる場所を写真撮影しながら巡ることに。ちなみに、実際のツアーでは国会内部の写真撮影は禁止されていますので、念のため。

細部も見事な議場のおごそかな雰囲気

参議院の見学受付窓口で申し込みをし、手荷物検査を済ませて、まずは参観ロビーへ。ここには参議院の歴史などがわかりやすく展示されています。体験・情報コーナーでは、実際に参議院議場の議席に座ることもできます。名札を立てると投票用の押しボタンがありました。

広々とした参観ロビー。国会の開会式の様子など、テレビではごく一部しか放送されないものも、ここでは全体の流れをビデオで見ることができる

国会の仕事の解説。左奥にあるのは21年度一般会計予算。ぶ厚いっ!

議事堂の模型。参議院は右手で、参観ロビーは裏手側にある

国会、そして国会議事堂について説明を受けた後は、いよいよ国会議事堂内部へ、最初に見学するのは、いきなりのクライマックス(!)、参議院議場です。傍聴席から眺める議場は厳粛な雰囲気とともに、芸術的な装飾が目に留まります。唐草模様のステンドグラスが施された天窓はやわらかな光を含んでいて、けやきを使った柱や壁は細かな彫刻で飾られています。この彫刻は反響防止の効果もあるとのこと。美と用を兼ね備えたその見事さは、じっくりと鑑賞する価値ありです。

傍聴席から見た参議院議場。議員になれば、あの下へ入ることができます

天窓、傍聴席も入れるとこのような眺めに。ステンドグラスはとても落ち着いた風情

壁や柱、天井などは大部分が木造。細部にはさまざまな彫刻が施されている

なお、国会の開会式はこの参議院議場で行われ、ここに衆議院と参議院の両議員が集まります。開会式では、議長席と事務総長席が取り除かれ、奥に天皇陛下が臨席されるお席が置かれます。9月中には、実際にその光景が見られるというわけです。

天皇陛下がお休みになる場所

廊下を歩いて議事堂の中央後ろ側へ向かうと、御休所(ごきゅうしょ)があります。ここは開会式当日、天皇陛下が到着すると、まず入られる場所。御休所だけで、議事堂の総工費の1割が投じられたそうで、その内部は当然ながら豪華です。が、(これも当然ですが)中には入ることができません。

御休所前の広間も見事なつくりとなっています。壁も床も大理石のモザイクとなっていて、御休所の入口は、ひとつの大理石を彫りぬいたという貴重なもの。天窓が設けられ、ドーム型になった天井や壁の彫刻など、この広間も議場に負けないすばらしさ。国会議事堂にどれだけの国力と情熱が注がれたかが、よくわかるのではないでしょうか。

御休所はヒノキが用いられ、本漆塗りとなっている。当時の建築・工芸の粋が集められた見事さ(写真提供 : 参議院事務局)

御休所前の広間も見応えがある。入口を見れば、どれだけ巨大な大理石だったかがわかる

中央広間のスケールに圧倒される

国会議事堂の象徴ともいえる中央塔の真下にある中央広間。天皇陛下を迎えるときや、選挙後、議員が初めて登院するとき、外国の国賓を招いたときにしか使われない、「あかずの扉」と呼ばれる中央玄関から、御休所へ通じる中央階段へと通じる広間で、天井までの高さは約32,6メートル。法隆寺の五重塔が入る高さです。

通常の見学では広間に下りることはありませんが、特別に案内していただきました。床には、10数種類の大理石を使ったモザイクが施され、その数は100万個にも及ぶとのこと。柱や壁は沖縄で採れた珊瑚石灰岩でできています。巻貝などの化石が数多く見られます。

中央広間で必ず紹介されるのは、角に置かれた銅像。議会政治に功労のあった板垣退助、大隈重信、伊藤博文の3人の像がありますが、4隅のもうひとつには台座しかありません。これには諸説あり、4人目が選べなかったとも、政治には完成はなく未完の象徴ともいわれています。

9月上旬には、どのような顔ぶれの新議員たちがこの中央広間にやってくるのか。その姿、ちゃんと見ておきたいものです。

中央広間の上には、ステンドグラス、彫刻のほかに、春夏秋冬を描いた油絵も見られる

中央広間を見下ろした眺め。左が大隈重信、右が板垣退助の像。手前右に伊藤博文の像も立っている

真紅のじゅうたんが敷かれた中央階段。この上に御休所がある

真銅像が置かれていない4つめの台座。像が立っていない真相は何だろうか

ある意味"レア"な議事堂の姿

最後に、前庭に出て、議事堂をバックに記念撮影、となるわけですが、外に出てびっくり! 議事堂が……、隠れている。そう、現在、国会議事堂は外壁の洗浄修復中。大部分がシートに包まれてしまっています。

けれども、これはなかなか見られない姿でもあるわけで、そういう意味ではラッキー、なのかも。車寄せの部分はすでに作業を終わり真っ白になっています。全体の外壁もこのようになるのだとか。と、すると……、作業が終了する秋には、今より白い国会議事堂が現れることに。今から、楽しみですっ。

シートに包まれた8月現在の国会議事堂

本来の国会議事堂。この秋、どのような姿に生まれ変わるか楽しみだ(写真提供 : 参議院事務局)