本格的な料理やスイーツ、こだわりの紅茶を味わいながら、世界の絵本をこころゆくまで楽しめるカフェが、2008年11月11日、銀座にオープンしました。普通の絵本もさることながら、ここに集められているのはさまざまな「仕掛け絵本」。「飛び出す絵本」とも呼ばれるものです。その想像を超える楽しさ、芸術性にとりこになってしまう人が続出! さっそくご紹介しましょう。

絵本に囲まれた店内。木の温もりも感じられる

ヨーロッパの城館を思わせる店内

フランス語で「わたしのお気に入り」といった意味のお店は、昭和通りに面したビルの3階にあります。一歩足を踏み入れると、ヨーロッパの城館の一室に迷い込んだかのよう。店員さんもメイドさんを思わせる装いで迎えてくれます。

個室も2室あり、週末にはすぐ満室になるほどの人気

「オープン当初は、若い女性客の来館が中心でしたが、すぐに年配の方も増えました。今では、年齢層は20代から60代までと幅広く、おひとりの方、お友だちと来られる方や、ご夫婦やカップルなどの姿も見られます。女性と男性の割合は7対3くらい。意外と男性の方もいらっしゃいますよ」

同店の宮本さんによれば、日中は年配の方が比較的多く、夕方からは仕事帰りの若い方が多いとのこと。たいていのお客さんが、1時間ほどかけてゆっくりと絵本を楽しむそうですが「なにより、これだけ数がありますから、リピーターになられる方も少なくありません」。

仕掛け絵本はおよそ1,000冊、その他の絵本も同数程度揃っているので、確かに「通う」というのも頷けます。落ち着いた空間で絵本に囲まれ童心に帰る、というのは、やはりこの上ない贅沢なのでしょう。ここをお気に入りの場所にしている人が増えているのは納得です。

絵本の仕掛けに思わず歓声も

ところで「仕掛け絵本」と聞いて、どのようなものをイメージしていますか? もちろん日本でもいろいろと制作されていますから、子どもの頃に手にしたことがあったり、お子さんのために買ったりして、ご存知の方も多いと思います。

しかし、世界の仕掛け絵本は「すごい」ですよ。子どものため、というより、むしろ大人が楽しむためのものなのでは……と思うほどのすばらしさです。そのアイデア、斬新さ、ユニークさ、巧みさ、デザインのすばらしさ、イラストのおもしろさ……。ページを開くと「何だこれは! 」と驚いたり、「うわっ」と思わず声をあげたり、「……」と予想外の展開に黙りこんだり。絵本から仕掛けが飛び出してきたとたん、一気にその世界へ引きこまれてしまいます。物語の世界が飛び出してくる絵本もあれば、紙の造形美とも言うべき芸術作品もあり、仕掛け絵本の魅力は尽きることがありません。

仕掛け絵本の第一人者ともされるアメリカのロバート・サブダの作品のひとつ。細かな作りと大胆な発想の動きが目を楽しませてくれる

アートを感じさせる仕掛け絵本もいろいろとあり、どれもなかなか刺激的

もちろん、その他の絵本もちょっと疲れた大人のこころをほぐしてくれるものばかりです。子どもの頃に読みふけった懐かしい日本や海外の作品をはじめとした数多くの絵本には、たくさんの"効能"があるのではないでしょうか。

これぞ定番、というべき懐かしの作品も数多い

数々の絵本の楽しさ、奥深さを教えてくれた宮本さん

メニューにより異なる滞在時間

さて、最後にお店のシステムについても簡単にご紹介しましょう。滞在できる時間は、どのメニューを選ぶかによって異なります。

最初のオーダーはセットとなっていて、ドリンクとチョコレートの「オズのティータイム」セットであれば、滞在時間は60分。アフタヌーンティーの「アリスのお茶会」セットでは120分。そのほか、デザートセット、パスタセットなどの場合も120分です。時間を延長する場合は単品の注文も可能。ワンオーダーにつき、延長60分となります。

オズのティータイムセット。ポットの孔雀は店のシンボルで、仕掛け絵本をイメージしている。

(c)マ・プレフェレ

ハーメルンの笛吹きセット。バニラ風味のチーズスフレケーキにヨーグルトシャーベットが添えられている。

(c)マ・プレフェレ

ラプンツェルセット。髪長姫とも呼ばれるグリム童話のラプンツェルをイメージした、なすとベーコンのパスタ。

(c)マ・プレフェレ

同店にはシェフとパティシエがいて、すべてのメニューが本格派。味に厳しいマダムたちに人気が高いのですから、そのレベルは保証済みですが、それだけではなく、それぞれのメニューには絵本に負けないアイデアと遊び心が盛り込まれています。こだわりのオーガニックティーも20種以上。贅沢なひとときを過ごせるのは間違いありません。