前回に引き続き、2つのお店をご紹介しましょう。郊外型店舗と都心の遊び場のタイプのまったく異なるお店で、もはや漫画喫茶、という分類ではないのかもしれません。

一方は、フィットネスで体を動かした後に、漫画やネット、そして食事を楽しんだり、子ども連れで時間を過ごしたりする空間。もう一方は、80年代色に染まった卓球バー。どちらも漫画喫茶の枠を超えています。

中年男子のパラダイス 西麻布レジャーセンター

西麻布交差点から六本木通りを、渋谷方面に3分ほど歩いた右手にあるビルの11階。ドアを開けるとお洒落なバー、が……、と思ったら、ちょっと雰囲気違うなぁ。よく見れば、昔のゲームセンターにあったようなビデオゲームが並んでいます。その隣には卓球台が置かれた部屋。いわば卓球バーといったところでしょうか。BGMは、マッチ(近藤真彦のこと、念のため)をはじめ、懐かしの80年代ヒット曲。お客が自由に選曲できます(もちろん、80年代以外もOK)。

西麻布の夜景を背景に個室で卓球が楽しめる

卓球ルームの窓の外には西麻布の夜景が広がります。本棚には『稲中』をはじめとする漫画や書籍、と一緒にインスタント焼きそば、酸素缶がありました。焼きそばは食べ放題とのこと。そのほか懐かしの駄菓子も好きなだけ食べていいそうです。酸素は35歳以上には0円。やさしい……。

部屋の片隅にはファミコンを楽しめるエリアがあります。レアなファミコンも結構あるようで、オーナーがあちこちから集めてくるようですが、お客さんが持ってきてくれることもあるのだとか。

この年齢になると、やはりこういうものも必要となってくる、のか

卓球ルームの一角は、まるで自宅の部屋のような空間になっている

さらにこのエリアの端っこに『GORO』がっ! 中森明菜と伊藤麻衣子の表紙に、河愛かずみ、畑中葉子という名前。うわーっとテンション急に上がりって、ここまで読めばわかるでしょうが、このお店、完全に80年代に少年時代を過ごした男性の趣味でできています。なので、30代から40代にかけてのサラリーマンにとっては、ストライクゾーンのド真ん中。感涙ものです。

中年世代からは「うわー」とか「おー」とか歓声があがるはず

隠れ家のような雰囲気も漂う。仕事が終わり、ここへ「帰る」感覚になるかも

西麻布レジャーセンター、「西レ」のオープンは21時から午前3時。日曜祝日はお休みです。バーカウンターの後ろには、ウイスキーから本格焼酎まで幅広い取り揃え。もちろんビールもありますし、シャンパンまで用意されています。ふつうのバーのようにお酒を楽しめるだけではなく、11枚つづり5万円のチケットもあり、1枚5000円のチケットで時間無制限の飲み放題となるお得なサービスも用意されています。

ミラーボールきらめく下で、懐かしのビデオゲームに興じたり、漫画を読んだり……。お酒が楽しめる大人のための「高級漫画喫茶」、あるいは「ゲーセン」といった感じですが、「ひと味違うビジネスミーティング」への活用も、お店はすすめています。

飲み放題でいいの? と思ってしまうラインナップ

「昭和」が染み込んだゲームには、思わずはまってしまう

お客さんは、当然ながら圧倒的に男性が多いとのことですが、若い女性を連れてくる上司というパターンもあるそうです。そんな話を聞いていると、流れていたプロレスのビデオに目が釘付け。今まさに、長州力が藤波にサソリ固めをっ! と興奮している姿に、お店の飯野さんも、ややあきれ気味。

「男性のお客さんは盛り上がっていても、一緒に来た女の子はまったくわからないということはよくありますね」

昔懐かしいビデオはいろいろあるとのこと。これも楽しみのひとつだ

20代の飯野さんにとっても、お店は「わからない」世界。もっぱら若い女の子は卓球で盛り上がるようです。もし若い女の子と一緒に行くのなら、「西レ」世代の男子は懐かしさにはしゃいでばかりいないで、ちゃんと女の子の相手も忘れないように。

西麻布レジャーセンター
住所 東京都港区西麻布2-25-23 barbizon27ビル11F
営業時間 21時~3時
料金 5000円(飲み放題利用時)

地元住民の憩いの場 快活CLUB

東北から近畿にかけて110店舗を構える快活CLUB。ですが、都内には6店舗のみ。しかも、八王子や町田などで都心にはありません。いわゆる郊外型大型店と言えるでしょう。取材に訪れた横浜市都筑区の横浜北山田店は、快活フィットネスCLUBと一体型の唯一のお店で、「リラックス・デパート 快活SQUARE」と謳われています。

当然のことながら、大型駐車場も完備されている

話はちょっとずれますが、都筑区も便利になったものです(住んでたわけじゃありませんけど)。東横線日吉駅とJR横浜線中山駅を結ぶ市営地下鉄グリーンラインが今年3月に開通。北山田駅と日吉間はわずか10分ほど。渋谷までも30分ほどです。

北山田駅から地上へ出ると、広々とした郊外の住宅地。まだまだ開発は進みそうです。歩いて5分ほどでお店に着きましたが、予想外の大きさに驚きました。お店の入口には木造りの小屋みたいなものがあります。

「ガゼボというもので、インドネシアのバリ島で見られます。本当に現地の職人さんが造ったんですよ」

快活CLUBを運営する株式会社ヴァリックの広報室長杉浦さんによると、お店はバリ島の高級ホテルをイメージしているとのこと。店内にもバリ島を感じさせる装飾がいたるところに施されています。

入口には、バリ島のリゾート気分を漂わせるガゼボが

ガゼボの彫刻も職人の手彫り。じっくりと鑑賞してみよう

席数はオープンスペースのラウンジも含め、134席。漫画は3万冊以上用意されています。20~40代のサラリーマンやOLのほか、子どもを連れた主婦が多いのはこの店ならではのことでしょう。リピーターもかなり多いとのこと。北山田地区住民の憩いの場となっていることが容易に想像できます。混み合うのも昼から夕方にかけてです。

料金は最初の30分の基本料金が260円、延長は15分ごとに105円ですが、3時間パック(ブースの場合 月~金1000円、土日祝1100円)なども用意されています。いろいろあるブースの中でも、やはりマッサージチェアが置かれたブースは大人気。家族でくつろげるリビングルームも好評です。

受付前はオープンスペースのラウンジ席となっている

リビングタイプの個室は、家族連れなどに人気が高い

3階、4階の快活フィットネスCLUBも見せてもらいました。広々としたフロアが2つあり、トレーニングスペースのマシンも充実しています。スタジオでのプログラムは週に100以上もあるそうです。また、何よりも利用料金が魅力的。月会員は毎月5250円、時間会員は10分ごとに120円。しっかりと通う人にも、忙しい人にもうれしいシステムです。

ゆったりとしたフロア。天井が高いのもこの店の大きな特徴だ

バリ島を感じさせるオブジェ。こちらも職人の手作り

当然、汗を流した後に、下の快活CLUBでゆっくり休憩する人も少なくありません。料理のメニューが多いだけではなく、デザートもそろっています。さすがに「リラックス・デパート」というだけあって、リゾート地にいるかのような気分が味わえそうです。

メニューの中でも大人気の「プレミアム快カツカレー」

(c)快活CLUB

フィットネスのフロアにはさまざまなマシンがそろっている

(c)快活フィットネスCLUB

フィットネスと漫画喫茶の融合したユニークな横浜北山田店。こんなお店がうちの近くにもあればいいのに……、と思いました。

快活CLUB横浜北山田店(快活SQUARE1F)
住所 神奈川県横浜市都筑区北山田3-1-50
営業時間 24時間(快活フィットネスCLUBは8時~24時)
料金 基本料金 最初の30分260円 延長料金15分ごとに105円(ブース席の場合) その他各種パックあり