漫画喫茶、と言えば、安い料金で漫画読んだり、ネットゲームしたり……、終電逃したときは朝まで休んだり、という場所。「ネットカフェ難民」なんて言葉があるように社会的な問題も浮き彫りになっているのも事実ですが、ここ数年は、高級感を漂わせるお店も出てきています。

そこで、今回は高級漫画喫茶(正確?には、複合カフェと呼ぶとのこと)をご紹介、するのですが、従来の「漫画喫茶」というイメージとは異なる店舗も登場。休息に、食事に、ビジネスに、そして遊びに。進化する漫画喫茶は、いろいろな利用法がありそうです。

シート180席&漫画5万冊! グランサイバーカフェバグース 渋谷店

文化村通りに面したビルの6、7階は、照明をトーンダウンした別世界のような空間。サービスカウンターには、次々とお客さんが出入りします。1日平均の利用者数は1,000人ほどとのこと。さすが渋谷、若者ばかり、なんでしょうか?

「いえ。年齢層は結構高いですね。サラリーマンの方を中心に、30代、40代のお客様も多いです。男性は6割ほどを占めています」。同店支配人栢内(かやうち)さんの答えはちょっと意外でした。渋谷センター街店はもう少し年齢層が低いとのことです。

東急文化村にほど近い場所のビルに店舗を構えている

バグースは高校生もしくは18歳未満は22時以降は利用不可。会員制ではありません。通常料金は初めの1時間が420円、以後15分単位で100円という設定ですが、デイパック(3時間。5時~23時受付)980円、ナイトパック(23時~翌朝8時のうちの6時間)などコースはさまざまです。

2006年に拡大オープンした渋谷店の特徴は、何よりもその規模。シートは180席でバグースの店舗(都内には11店)の中でも最大です。漫画は5万冊をそろえているほか、雑誌500冊、写真集100冊という充実ぶり。パソコンはシートと同じく180台。DVD・プレイステーション2の無料貸出しソフトは200タイトルに及びます。フリードリンクも80種類は用意されています。

ビジネスマンたちにとっては、つかの間の休息の場所

迫力さえ感じられる漫画の棚の列がずっと先まで続く

取材に訪れたのは平日の午後3時過ぎでしたが、満席に近い状態。ただし、昼間は利用時間が短いので回転率が高いようです。何しろ180席ありますし……。それでも夕方から本格的に混み始め、夜9時頃にはシングルシートは満席になるケースが多いとのこと。土日の利用時間は少し長く、終日、2~3時間利用のパターンが増えます。

受付サービスカウンターはお客が絶えることはありませんが、ブースエリアは静寂そのもの。明りのトーンもほどよく落とされているので、店内は落ち着いた雰囲気が漂っています。6階の奥にはレディースシートもあります。もちろん、完全分煙となっています。

最新機能つきのマッサージシートは、一度体験したらやめられない?

受付サービスカウンター横には、DVDやスナックなどが並ぶ

コミック検索システムがあるだけではなく、漫画本にもナンバーが付けられているのは珍しいかもしれません。冊数が膨大なだけに利用者だけではなく、お店側にとっても必要なのではないかと思いました。

人気が高いのは、マッサージシート。最新の機種が6台用意されています。「背中のラインを自動検出する3Dポイントナビシステム」が備わっていて、500種類以上(!)の多彩なマッサージが可能なのだそうです。こちらの体験を狙ってみるのもいいかもしれません。

フリードリンクの中には、各地のミネラルウォーターも

棚だけではなく、漫画本そのものにもナンバーが打たれている

グランサイバーカフェバグース 渋谷店
住所 東京都渋谷区宇多川町28-6 三善ビル6F
営業時間 24時間
料金 通常料金 ※初めの1時間420円 その他各種パックあり

女性にうれしい アプレシオ銀座店

銀座7丁目交差点のビルに店舗は入っている

銀座7丁目の交差点に建つモンブランGINZAビルの5階、エレベーターの扉が開くと、清潔感漂う受付エリアが現れます。その横には明るいスペースがあり、喫茶店の一角のような印象。さほど広くはないものの、一面ガラス張りで開放感にあふれています。よくよく考えれば、ふつうの漫画喫茶って窓がないイメージが……。

「女性がひとりでも利用できる上質な新感覚ブランドとして、『アプレシオ』の新宿店がオープンしたのは5年前。銀座店は2年前にオープンしました」

それまでの漫画喫茶とは差別化を図り、女性向けの高級感のある店舗を目指したと、経営戦略室の松尾室長は話します。確かにシロウト目に見ても、漫画喫茶は飽和状態。何を「売り」にするのかが、これからは重要のようです。

入会には、運転免許証本人であることができる書類が必要

受付横にあるオープン席。ビジネスでも活用できそうだ

雑誌コーナーはビジネス誌のほか、女性誌も充実している

コミックライブラリーは受付階の奥に設けられている

アプレシオは会員制で年会費は300円。銀座店の場合、基本料金が15分で200円のほか、2時間パック(1,400円)、3時間パック(2,000円)、5時間パック(3,000円)などなどの設定となっています。都内には現在、14店舗ありますが、銀座店の大きな特徴は、利用客の55%が20~30代女性ということ。

「平日の昼間に1時間から1時間半ほど休憩されるお客様が多いというのも、当店ならではでしょうね。終電後に利用される女性の方も少なくありません」

建物の4階は女性専用のフロアとなっていて、炭盤浴(たんばんよく)エリアも。(ちなみに、「岩」盤浴ではなく、「炭」盤浴。炭の遠赤外線効果でからだの芯からぽかぽか温まるそうです)なるほど、それなら女性ひとりでも安心して休めるというわけですね。

6階は完全分煙(4、5階は禁煙)。それぞれ12のブースがある

炭盤浴は120分4,000円。レディースデー(毎週水曜日)は半額に

(c)アプレシオ銀座店

男性利用客も場所柄、30~40代のサラリーマンが多いとのこと。そのためビジネス誌、そして女性誌を多く取り揃えていて、漫画の需要は案外少ないのだとか。もちろん、そうは言っても、コミックライブラリーは充実しています。コミックの検索システムもあり、読みたい漫画の場所はすぐにわかります。

料理のメニューもレストランに負けていません。スナック、おにぎりから、パスタ、カレーなどまで揃い、それらは店で調理をしています。人気なのはランチパック(11時30分~15時)。パスタ、カレーなどが800円、数量限定の豚丼が1,000円などと、お手頃価格で本格料理がゆっくりと楽しめます。ランチ目当ての利用者が多いというのも納得です。なお、メニューは変更されることがありますので、詳しいことはご確認を。

「今後は、より女性に特化したサービスを考えたい」と松尾室長。女性にはうれしい限りですが、男性にも利用価値が大きいのは変わりないでしょう。炭盤浴も体験してみたいなぁ、と思いましたが……。

アプレシオ銀座店
住所 東京都中央区銀座7-9-11 モンブランGINZA Bldg.5F
営業時間 24時間
料金 年会費 300円 ※基本料金15分200円 その他各種パックあり