【連載】

だから、私はモテない

9 「新聞ってなんか難しくね? 」という男

    広田忍  [2009/11/20]

    イケメンショップスタッフに、携帯番号を書いた紙切れを渡した前回。拍子抜けだった。だって2時間後に電話がかかってきたんだもん。恋愛は若干の駆け引き要素もあったりするので、こうなると、一気にボルテージ下がってしまうのだが、「いやいや、これこれからだよ」と奮起し、デートの待ち合わせ場所へと向かった。

    学んだ結果習得した「追い込み型恋愛」

    ……恋愛。あの頃は、単純に「好き」という気持ちだけで恋愛をしていた。好きな人の言動に一喜一憂していた。彼が笑ってくれると嬉かった。彼が「好きだよ」といってくれれば、それを全面的に信用していた。

    しかーし。その彼に浮気され、さらにフラれた後、私の恋愛に対する考え方が若干変わってしまったような気がする。信頼していた人は、私に「好き」といっていた裏で、他の子にも「好き」といっていたのだから。言葉なんて、いくらでも偽れるのだ。いかに自分だけを見させるようにするか、言葉でも偽れない状況に追い込むかが大切なのである。実際は自分が好きになって始まった恋も、相手に自分を追いかけさせることが重要なのだ。

    だから、連絡先を渡してたった2時間で電話をしてきたイケメンショップスタッフには、少しがっかりしてしまったのだ。だって。もう私の思いのままだから。

    そして、実際にデート。待ち合わせ場所に行くと、さすがアパレル系のショップスタッフ、ファッションセンスも抜群だし、某芸能人に似ているだけあって、カッコイイ。私は彼にオススメされた服で全身をコーディネート。そんな私の姿を見て、「やっぱ、似合ってんじゃん」と嬉しそうな彼。

    で、向かったところが激安居酒屋。「なんで?? 」と思っていると、「ごめん、給料日前でさ」と彼。なんかもう、その台詞、聞き飽きたんですけど

    で、そのやっすーい、汚い居酒屋に行くと、さらにうんざりする出来事のオンパレードだった。「オレの会社、超スゲーんだ」「全国各地に保養所あんだぜ」「会社には薬タダでもらえる診療所があってさ」「オレの先輩なんていまではバイヤーになってて」……etc.

    つまり、会社 & 先輩自慢ばかりをするのだ。それも、私が零細企業勤務と分かった瞬間、である。超ウザい。

    「保養所とか診療所とか、マジどーでもいいんですけど。ってか、お前自身に誇れるポイントはないのか」とムカムカしながら、このとてつもなくつまらない話の方向を少しでも変えようと、「ところで、新聞って何読んでるの? 」と聞くと、「えっ、新聞って、なんか難しくね? 」と返してきた。

    「毒舌」と書いて、なんと読むか

    バカ丸出し。一気に萎えてしまった。いくらかっこよくても、バカでアホで、空っぽな男はごめんだ。ついでに、紙切れに「毒舌」と書き、「私、この読み方わかんなくてぇ~」といってみた。そうするとヤツは「ばっかだなー、『どくじた』じゃん」。

    「うげーうげー、お前がバカだよ」と思いつつ、「すごーい、かっこいいだけじゃなくて、頭もいいんだね♪」なんて思ってもいないことを言い続け、とりあえず激安居酒屋にもかかわらず飲みまくり、食べまくりで飲食代2万円。

    「えっ、私零細企業勤務だし。保養所も診療所もある大きな会社ならもちろん払ってくれるよね? 」と目をウルウルさせながら、とりあえずヤツに全部払わせた。

    帰り道。「被害総額0円。でも勝ちじゃないよな~」とビミョーな心境になりつつ、「面食い」な自分に若干の疑問を抱くのであった。

    イラスト: こざき亜衣

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