【連載】

人と植物をつなげる"ハーブのきもち"

1 人と植物は心を通わせられるのか?

もしも植物のきもちが見えたなら

本連載のタイトルにもなっている「ハーブのきもち」は、植物たちのきもちが知りたい、という思いからはじまりました。

窓辺に置いている観葉植物。春先までは青々とした葉が元気そうに生えていますが、夏になり、少し目を離すと、あっという間に元気がなくなります。

そんな時、「もし、植物たちのきもちが目に見えたら」と思ったんです。「植物が、自分のきもちを人に教えてくれたらいいのにな。例えば、水が欲しいときに"みずがほしいよぅ"って知らせてくれるような」といったように、そうやって、人と植物がコミュニケーションをとれたらいいな、という想いが湧きました。

これから、「育てる、鑑賞する、インテリアにする、収穫するとか、人と物のような関係ではなくて、人と対等に植物があるような、そういう関係を感じられるものがあればいいな」という想いを実現するまでの道のりを紹介したいと思います。

石田かずみです。高校時代からデザインの勉強をしており、これまでは主に映像作品(アニメーション)を制作していました。しかし、大学に入ったことで今まで知らなかった分野がまだまだあることを知り、この製作を通して新たな芸術の可能性に挑戦したいと思っています!

まずはわたしの自己紹介。筑波大学で芸術(デザイン)を専攻している石田かずみと申します。人とは違うものと話せたら、といったことを常日頃から何となく思っていたのですが、それを実現させるような技術も何もなかったわたしには、これは単なるアイデアにしかすぎませんでした。

そんな時、センサなどの電子部品を使ってアート作品を作る「メディアアート」という分野があることを知りました。光センサや距離センサなど、さまざまなセンサを使い、組み合わせることで新しいアート作品が作れるということを知り、興味を抱き、これなら、植物が水を欲しがっているかどうか、教えてくれる装置も作れるのではないか、そう思ったのです。

しかし、わたしは電子部品のことも回路のこともまったく分かりません。そこで、趣味で電子工作をしている、同じ筑波大学の情報学群の伊藤剛浩君に相談してみることにしました。

電子工作と釣りが趣味の伊藤です。今回は植物とコミュニケーションを取るということだけではなく、それをアートという観点からも考えていくこの作品。電子工作の新たな可能性を発見していきたいです!

伊藤君は、筑波大学の情報科学類でプロセッサについて勉強していて、より高速に処理するためにはどうすれば良いのかの研究をしていますが、その研究とは別に趣味で電子工作をしており、時計を作ったり電子ピアノを作ったりもしています。以下が伊藤君に相談したときの様子です。

石田:最近、思ったんだけど、観葉植物の土の水分を測って、植物が水をほしがってるかどうかを調べることってできるのかな。電子部品にはいろいろなセンサがあるみたいだから、そうしたのがあれば良いのだけど 伊藤:植物の状態を知る…そんなこと考えもしなかったけどできるかな

石田:やっぱり難しいかな?

伊藤:とりあえず、土の抵抗値を測ってみよう。部屋にある観葉植物の土にテスタを挿して、水がある時とない時の抵抗値を見ると、土に水がある時と、ない時ではけっこう差が出てるから、案外いけるのかもしれない

土の水の含み具合をテスタで測ってみた様子

石田:本当にできるの?、そんなものが作れたら、観葉植物の世話も楽になるとね

伊藤:きっと作れるよ。面白いアイデアだと思うし、例えば、基板が直接、土に挿し込まれていたりしたら、結構見た目も面白いいんじゃないかな

石田:基板を直接挿すって、そんなことして大丈夫なの?

伊藤:基板の種類とか表面処理をしっかりと選べば問題ないはずだよ

石田:そうなんだ。なら、その基板もデザインできれば、いかにも実験って感じなものが植物の横にあるのは避けられる?

伊藤:それなら、やはりユニバーサル基板よりも、プリント基板を作るしかないね。プリント基板なら外形を自由に決めることも、基板の色もある程度選べて、シルク印刷もできるから自由度は高くなるし

左がユニバーサル基板による"ハーブのきもち"、右がプリント基板で作られた"ハーブのきもち"。プリント基板なら、形も自由にできるので、こんな外観にも収めることができるようになる

こうして、目標が決まり、土の水分量・温度・時間という観点からハーブが感じていることをLEDの光り方の違いで人間に伝える装置「ハーブのきもち」が作られました。

次回以降では、この「ハーブのきもち」がどのようにして作られてきたか、その過程をお話しします。

■株式会社インフロー

株式会社インフローは、国内初のプリント基板ネット通販サイト「P板.com(ピ ーバンドットコム)」を運営しています。 P板.comは、プリント基板の製造工程を徹底的に効率化し、高額な初期費用 を、完全に無料化しました。 これにより、高品質なのに低価格の基板を提供出来るようになりました。 「電気・電子エンジニアの製品開発環境をイノベーションする」を 合言葉に、P板.comは『国内ものづくり産業の推進』を応援します。

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