こんにちは。住宅デザイナーのタブチキヨシです。今回はキッチンの配置と収納計画について紹介します。キッチンはその性質上、どうしても生活感が出てしまうことが避けられない空間ですが、工夫すれば生活感を隠しながら料理の作業効率を上げることもできます。

"家事効率"と"生活感のカバー"はどう両立する?(画像は、今回紹介するキッチンの間取り)

配置を工夫して生活感を目隠し

「キッチンから、リビングやダイニングにいる家族が見えるようにしたい」という要望は多いですが、キッチンからリビングやダイニングが見えるということは、逆にリビングやダイニングからもキッチンが丸見えになる、ということでもあります。

では、キッチンからの視界を確保しつつ、冷蔵庫や電子レンジ、ゴミ箱など生活感のある部分を隠すためにはどうすればいいのか。私が手がけた事例をもとに紹介します。

今回紹介する事例は、対面型のキッチンです。対面型ではありますが、キッチンに立つ人の足元がリビングやダイニングからは見えないようにすることで、キッチンマットやゴミ箱などを目隠しできる設計となっています。なおかつ、シンクの前に立てばリビングやダイニングを見渡すことも可能です。

リビング側から見たキッチン

コンロがある場所(間取り画像上では「A」)は、ダイニング側から見れば壁になっていて調理の様子が見えません。そのさらに奥に冷蔵庫(間取り画像上では「B」)と電子レンジ(間取り画像上では「C」)を配置することで、冷蔵庫や電子レンジの扉を開いてもダイニング側からそれが見えないように工夫しています。また、冷蔵庫や電子レンジなどとコンロの位置が近いことで、料理の作業効率も上がる配置となっています。

冷蔵庫や電子レンジはキッチンの奥に

キッチンの収納で住む人の個性を

次は、キッチンの壁面収納に注目してみましょう。最もスペースの大きい部分(間取り画像上では「D」)には食器棚を置いてもいいですし、カウンターにしてもいいと思います。入り口に一番近い扉付きの収納(間取り画像上では「E」)は中身が見えないので、例えば食器・鍋セット・焼肉プレートなどをしまうのに適しています。

キッチンの壁面収納

冷蔵庫や電子レンジは奥に置き場所がありますし、「E」の収納に大きな調理器具や食器などを入れられるので、一番奥の、電子レンジの上に位置する食器棚(間取り画像上では「C」)では自由に"見せる収納"を楽しんだり、+αで必要になるものを入れたりといった使い方が可能です。この「C」の収納でその人らしさを演出できると、"ワクワクキャー"な住まいになりそうですね。

クロークと"ウヒヒカウンター"で家事をハッピーに

クロークと"ウヒヒカウンター"

台所を出たところにあるスペース(間取り画像上では「F」)についても説明します。写真のようにオシャレなチェストを置いてもいいですし、即席ラーメンや調味料、お菓子などを収納するパントリーを設置してもいいです。リビングで使う文房具屋や薬などを収納したり、洗面洗濯室で使用する洗剤のストックや洗濯バサミなどを収納したりといった使い方も便利ですね。ライフスタイルに合わせて用途を変えられる、使い勝手のいい空間です。

また、その隣にあるカウンターテーブル(間取り画像上では「G」)もポイント。この空間を筆者は"ウヒヒカウンター"と呼んでおり、家事をする人がホッと落ち着ける場所として位置づけています。洗濯が終わるまでコーヒーを飲んだり、料理の煮込みが終わるまで携帯をいじっていたりといった使い方が可能です。

ほかにも、このフロアは、キッチンから洗面洗濯室に入り、洗面洗濯室から勝手口を通って庭に出ることができるようになっています。さらに、洗面洗濯室には雨の日にも洗濯ができるよう、天井部に電動物干し竿を取り付けています。料理だけでなく、洗濯の家事効率も考えた動線設計となっています。

いかがでしたでしょうか。生活感のあるものは単に隠すのではなく、家事効率や動線を考えた配置で上手に隠すことが重要です。また、家事の合間にホッとできる場所も用意することで、息の詰まらない幸せな家時間をすごせるのではないでしょうか。

著者プロフィール: タブチキヨシ

日本中にハッピーな家をたくさん建てる事を夢見る住宅のプロ。
Instagramでは2万4,000人(2016年4月時点)のフォロワーがいるカリスマ住宅デザイナー。
attract style・house stageの代表取締役を務めながら可愛すぎずカッコよすぎないデザインを追求し、ワクワクキャーな家を提供している。
インテリアショップ「THE WOW」も経営し、家具販売も手掛けている。
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