タグを使った分類と検索のシステムは、ネット時代ならではの情報整理法を生み出したといえるでしょう。しかし、タグの数が増えるにつれて、タグ自体の整理がつかなくなるという問題も生まれています。今回は、タグの整理法についてのハックスを紹介します。

これはもう長いこと問題になっていることですが、はてなブックマークをはじめとするソーシャルブックマーキングでも、Gmailのようなメールサービスでも、タグが多くなりすぎて探しきれなくなるとか、何のタグだったかがわからなくなるという悩みがあります。

タグが多くなりすぎるとたとえば、探すとき一苦労です。たくさんのタグを一目見ても、特定のタグがあるかないかがわからない。あるいは、タグの命名を見ても、どんな意味でつけたタグなのか、今ひとつはっきりしない。

そして、つけるとき。新しいブログなどを見つけ、デザインが優れているから自分のブログの参考にしようと思っても、何というタグ名にするかという問題がとっさに発生します。「デザイン」にするか、「参考」にするか、「デザイン参考」にするか。前の自分は、同じようなブログをどこに分類したのか。

以上をまとめるために、改めて時間を用意すればいいのかもしれませんが、そんな時間はそうそう取れるものではありませんし、取れたとしても、完璧にタグを整えるには、膨大な時間がかかってしまいます。「アイデア」とするか「ネタ」とするか。「ライフハック」とするか「Tips」とするかなど、分類が難しいからこそ、「タグ」「ラベル」という方式をとっているわけですが、両方つけたとしてもそれで問題が解消されるわけではありません。言葉というものは元々曖昧なものですし、自分で考えたルールもすぐに忘れてしまうのです。

ライフハックス:階層式タグを活用する

以上の問題を、完全に解決できるわけではありませんが、かなり便利に解消してくれる方法があります。EVERNOTEの階層式タグを利用するのです。

階層式タグというのは私が勝手に考え出した名前ですが、要するに、タグをフォルダのように「上位タグ」と「下位タグ」として扱うということです。EVERNOTEはこの機能を備えていますから、ドラッグするだけで、好きなタグを「下位」に位置づけることができます。

たとえば、下の図では、この原稿のデータをまとめてある「情報ハック書きかけ」というタグが、間違って「取材」というタグのサブタグになってしまっています。これを、「情報整理ハック」にドラッグして移してみます。

EVERNOTEでは、タグをフォルダ分けするのと同じ要領で管理できる。このように、タグの仕分けも簡単に変更できる。

このように、簡単にタグの上位・下位間の移動ができてしまうのです。こういう風に整理できるのであれば、もはやタグが不適切な状態だったり、整理する先で悩む、ということはほとんどなくなります。また、どこを探せばいいかがわからなくなるというトラブルも、驚くほど少なくなります。その理由はおそらく、私たちの頭が、カテゴリに関する上位概念、下位概念というものを形成しやすくなっているからでしょう。

今のところわかっていることとして、たとえば上位下位の関係のあるなしにかかわらず、同名のタグをつけることはできません。具体的にいうと、「原稿執筆」の下位に「覚え書き」というタグを用意してしまったら、「日常生活」の下位に、同じ名前の「覚え書き」というタグを用意することはできない、という意味です。この理由から私は、「情報整理ハックのネタ」とか「自分のブログのネタ」という名前をつけているわけです。

また、私自身が試みている限りでは、3階層まではつくることができます。おそらくもっと下位のレベルでもできるでしょうが、実験してみてはいません。

さらに、画面はMac版のEVERNOTEですが、Windowsバージョンでもタグの階層化はできます。それによるバグなどについては、私の方では遭遇していません。

あと、これは利用している人が限られるかもしれませんが、iPhoneバージョンでも階層タグは利用できます。以前のバージョンとは違って、iPhoneでも許容できる程度の速度で動作するようになりましたから、これは大変重宝する機能です。たとえば、私は外出中の用事をチェックするために、EVERNOTEに「外出」というタグをもうけて、以下のように階層整理しています。

iPhoneやモバイルノートのユーザーであれば、出先で必要になりそうな情報にタグをつけ、さらに階層にまとめておくテクニックが非常に有効だ。

重要な点は、これはフォルダではないということです。つまり、「外で買う本」というタグがついているデータに、「ブログで紹介した本」というタグをつけることももちろん可能です。また、「ブログで紹介した本」を「ブログ」の下位概念として扱うこともできます。それがうっとうしくなったら、タグを捨ててしまえばいいのです。名前を変えることもできます。

また、詳しくは回を改めて追記したいところですが、タグとは別に「チェックリストが含まれているデータ」だけを抽出する機能がついています。これはすでに以前この連載で紹介しましたが、これを、「ノートブック」「サブタグ」「チェックリスト」でフィルタリングすると、ターゲットとなる仕事で未了のタスクが検索できて、とても便利です。EVERNOTEは今ではまちがいなく、「個人情報は1冊のデジタルノートに集中する」ことを、可能にしてくれるツールなのです。