複数のオンラインサービスを利用していると、「それぞれの優れたところを組み合わせて利用できればもっと便利なのに」と思うことがしばしばあります。今回は新しくなった「はてなブックマーク2.0」を紹介しながら、メタツールの必要性について考えてみましょう。

よくある問題:サービスどうしのイイトコドリができれば

情報整理サービスに限ったことではありませんが、サービスAとサービスBのイイトコドリができれば、と思うことは非常によくあります。

例えば私は、長い間の一太郎ユーザーです。一太郎のことは、けっこう詳しく知っているつもりです(もちろん、一般ユーザーというレベルでの話です)。その一太郎のいくつかの機能と、Wordのいくつかの機能が組合わさっていれば、と思うことが非常によくあります。

あるいは、MacintoshとWindows。私は今、両者のユーザーのため、悶々とすることがとても多いのです。もちろん昔に比べれば、互換性の融通は天地の開きです。しかしそれでもまだ、非常に細かなところでつまずきます。例えば今これを書いているエディタは、Macintoshでしか使えないScrivernerというエディタなのですが、これで作ったファイルを、Windowsで直接読むことはできません。この辺は、非常に不便です。

そして、情報整理サービス。このコラムでも紹介した、EVERENOTE・Diigo・Femo・はてなブックマーク。変則的ながら、Thunderbirdでの情報整理。紙copi。他に例えば、deliciousやグーグルのブックマークやノートブックなど。どれもすばらしいサービスで、使いたくなるような独特の機能を備えていますが、残念ながらそれらは、「独特の」機能であるため、それでなければ使えなくなります。

もちろんある意味では、これが健全な競争状態ということなのでしょう。とはいえ、ユーザーとしてはある方法が可能であるならば、可能な方法はすべて使いたいものです。たとえばDiigoのマーカーという機能はすばらしいものですが、日本語の検索機能はもうひとつです。はてなブックマークの検索はほぼ十分ですが、マーカーなどはできません。

しかし、というかしかも、オンラインのサービスは、日が経つにつれて強化されていきます。更新されていくわけです。だから、ある時点では特定の機能が使えなかったからといって使用をやめると、後ほどその機能を引っさげて登場して来ることもあるのです。こうなるとますます、どのサービスを使うか、あるいは乗り換えるかは、後悔と時間的損失を伴った、ギャンブルということに他なりません。

ライフハック:はてなブックマーク2(ベータ版)

その「はてなブックマーク」が、今回、バージョンアップされましたので、さっそく使ってみました。まだβ版ですが、見た目ひとつとっても、見やすく、わかりやすくなっています。

はてなブックマーク2

こうしたものは、機能であって見た目ではない、ということもできますが、表示されている内容がすべて「情報」という情報管理サービスでは、見やすいということがそのまま、管理しやすいということになります。実は、見過ごすことのできないポイントです。

もともと、「はてなブックマーク」は、タグ付け、タグの統廃合などの点で、完成度の高いサービスだったと思います。国産ということもあって、タグも含めて日本語が通りやすかったことも、大きなメリットでした。

はてなブックマークのタグ

そして、何といっても今回目新しかったのは、検索機能が強化されたところです。インクリメントサーチができ、しかも気持ちよくなるくらいに高速です。タグがきちんとしていて、この機能がついているというだけでも、「はてなブックマーク2」を使う価値はあると思います。

インクリメントサーチ

以上とは反対に、残念だったのは、やはり「コメント」の文字制限が100字だという点です。ネガティブブックマークの問題など、いろいろと制約があったことは、十分に理解できます。しかし、100字というのは、驚くほど少なく、ブックマークしたサイトからの引用を取っておく意味でも、少なすぎるでしょう。

Diigoのようなサービスとは異なり、部分的に選択してスクラップするといった使い方ではない「はてなブックマーク」だからこそ、覚え書きを残しておきたくなるものです。コメントについてもきっちり検索機能が働いているだけに、余計その気持ちが強くなります。コメントとして残すことに問題があるなら、公開できない「メモ」などが付けられるとありがたいと思います。

それからもうひとつ。やはりサイトのプレビュー機能が欲しいというのが率直なところ。これは、本来使い方が異なるのかもしれません。検索機能がかなり強いということからすると、むしろ「はてなブックマーク」はデータベース的に、あらゆるサイトをため込んでおいて使う、という発想なのでしょう。

いずれにしても、まだβ版でインポートやエクスポートもできません。新しいサービスだけに、使う場合には「移行する」という使い方をする人が多いでしょうから、これらの機能についても、楽しみです。

このように、オンラインツールがバージョンアップされていくのは、ユーザーにとっての大きな楽しみと希望になるわけですが、やはり、機能がどんどん追加されていく状況で、ひとつのツールに絞って使うのは、ある種の理不尽を感じてしまうのです。しかし、この種のサービスは基本的に、ひとつだけを使うように作られています。イメージするのは難しいものの、いくつかのサービスを束ねて使うことができるような、メタツールが現れてくれないかと、思ってしまうこともあります。