【連載】

Google世代の整理術「デジタル情報整理ハックス」

28 IT時代の記憶術

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「記憶」は、コンピュータが最も得意とする能力です。ネットを使えば、膨大な「記憶」にアクセスすることができます。それでは、人間の「記憶」をネットで有効に使うためにはどうすればよいのでしょうか。今回は、「記憶」と「検索」についてのライフハックスを紹介します。

よくある問題:固有名詞が分からない!

このコラムでも、似たようなことを何度か述べてきましたが、Googleのようなサービスが無料で提供される時代にあって、とりあえず覚えておきたい情報とは「固有名詞」です。 固有名詞さえ分かれば、それを検索窓に打ち込むだけです。その固有名詞が分からないから、固有名詞を含むであろうページを探すべく、「ひっかかりそうなキーワード」を考案する羽目になっているのです。

この連載での、「 ぼんやりした記憶を頼りに検索する」でのテーマは、まさにこれでした。このときには、「固有名詞が分からなくても、リファレンスサイトから探り当てることができる」という内容で書きましたが、そもそも「ミ・ファミリア」という映画のタイトルさえ覚えておけば、何も問題はない話なのです。  にもかかわらず、

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などというキーワードを考案して、ああでもないこうでもないと試行錯誤した結果タイトルに行き着くというのは、それはそれで必要な試みだとは思いますが、無駄が多いといえば無駄の多いやり方です。もちろん、将来には「概念検索」という検索方式が実現するかもしれません。しかし現段階では、固有名詞を検索する方がはるかに話が早いのです。

いうまでもなく、これは昔も同じでした。百科事典というものが存在した以後の時代は、固有名詞が分かれば、何とか調べのつくことが多くなっていたでしょう。それでも、インターネットとGoogleがある今とは、比べものにもなりません。そもそも百科事典ですら、ポケットサイズの電子辞書におさまってしまっているのです。

ライフハックス:日本語の単語帳を作る

つまり、覚えておくべきは固有名詞なのです。ところが私は、この固有名詞というものを覚えておくのがとても苦手です。おそらくはちゃんと読めていない。あるいは、いいかげんに読んでしまうのです。日本語にもかかわらず、あるいは日本語だからかもしれません。

 最近になって、テレビを見ていても芸能人の名前が覚えられないため、会話がうまく弾まない原因になっていることが分かりました。また、地図を見ても建物や地名が記憶に残らないために、道に迷いやすいことも分かりました。空間記憶のテストをアメリカで受けたとき、平均点を下回っていましたから、風景を頼りにしても迷子になりやすくはあるのですが、何にせよ都合が悪いことは確かです。

心理学には各種「記憶術」が用意されているので、あれこれ試みたりもしているのですが、今ひとつ効果が上がりません。一定の効果が上がるのは、「位置法」という道順にかこつけていろいろな物事を記憶に残すやり方ですが、けっこう時間がかかるし、疲れるのです。しかし、自分の記憶力のなさは、インターネットで調べ物ができる時代であっても不便だし、日常生活でも不便なので、最近一念発起して、奇怪な試みを開始しています。日本語の単語帳を作るのです。

これは、ベストセラー『村上式シンプル英語勉強法』(村上憲郎著、ダイヤモンド社)の英単語を覚えるやり方に触発されて実行中なのですが、要するに、ただひたすら単語の意味を毎日大量に確認する、というものです。ただそれだけです。

私は日本語の単語帳を、マイクロソフトのデータベースソフト、アクセスで自作しました。ここにどんどん単語を増やしていって、毎朝上から順にざーっと読んでいくのです。ただそれだけです。入力は、覚えたい固有名詞に出くわしたら、その都度です。外出中であれば、携帯からメールを送り、後ほどアクセスに加えます。やる前は馬鹿げた方法だと思っていたのですが、やってみると意外に頭に残るので、便利で楽しいです。つい先日も、渋谷駅の「宮益坂」という固有名詞を覚えていたため、道に迷わずに済みました。

アクセスで作成した日本語の単語帳

まとめ

このデータベースで管理しようと思っているのは、固有名詞であれば、何でもです。本のタイトル、著者名、地名、製品名、人名、会社名、曲のタイトル等々。それを毎朝眺めて、ちょっと意味が不明だったら、すかさずGoogleで調べて「あ、そうだった!」と確認します。まさに単語帳の使い方です。

これは自作なので、ちょっとした仕掛けが施してあります。超整理法方式で、並べ変わるのです。チェックボックスにチェックを入れると、自動的に日時が現在日時に更新され、最上位に上がってきます。つまり、記憶があやふやであったり、そのときに確実に覚えておきたいものを、抽出できる仕組みになっています。

また、読みのふりがなも自動入力です。私自身の経験で、英語でもそうですが、覚えられない単語というものは、多くが読めない単語なのです。先ほどあげた宮益坂ですが、私は長いこと、いいかげんに読んでいました。「みやえきさか」などです。そういう勝手な読み方を頭の中で繰り返していると、友人や駅員さんが「みやますさか」と口にしたとき、頭がスルーしていたのでしょう。そのため、単語に脳が反応する回数が、自然と減っていたのだと思います。そういうことが私の場合、たぶん多い方なので、それを矯正する意味でも、こうした単語帳を自作して、「固有名詞で検索」を試みている次第です。

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インデックス

連載目次
第54回 書評をコツコツ書き貯める
第53回 ブラウザで進捗管理
第52回 スキャンした雑誌・書籍の全文検索
第51回 異なる環境で同じブックマークを使う
第50回 電車の乗り換え情報をアレンジする
第49回 ブラウザのタブを整理する
第48回 電子ファイリングで雑誌をデジタル化する
第47回 DailyFeedでまとめてしまう
第46回 そこで忘れずにこれをする
第45回 タスク情報を整理する
第44回 Twitterの情報を整理する
第43回 情報と情報源
第42回 メールの整理を難しくする「心理」を納得させるテクニック
第41回 「Googleデスクトップ」でEVERNOTEのデータも検索してしまう
第40回 すぐに未読であふれるRSSリーダーをどうするか
第39回 EVERNOTEの階層式タグを使う
第38回 Webサイトの記事を一気に読む
第37回 情報整理と文書作成をひとつのツールで
第36回 EVERNOTEとGmailを組み合わせて強力な検索機能を使う
第35回 異なるブラウザでブックマークを同期する
第34回 フォルダ+タグの使い方の一例
第33回 紙copiNetで一気に大量にチェックする
第32回 PDFファイルは開きたくない
第31回 「情報ノート」をタスクリストとしても使いたい
第30回 あれとあれが一緒になれば
第29回 本で得た知識をまとめたい
第28回 IT時代の記憶術
第27回 中途でやめたサービスのデータは…
第26回 情報からアイデアを発想する
第25回 活用したいと思った情報を必ず活用する方法
第24回 ぼんやりした記憶を頼りに検索する
第23回 「とりあえずとって」おきたくなる原因
第22回 書籍もタグで管理する
第21回 「どうしてもとっておきたいエントリ」はどうするか?
第20回 よくある問題 ブックマークはもちろんしています
第19回 大事な情報に限って出てこない
第18回 連絡先情報をどうするか?
第17回 よくある問題 取っておいても読むチャンスがない
第16回 文字情報をとにかく貯めておく
第15回 英語サイトから情報を!
第14回 分類のされかたを研究する
第13回 ネットで気になる情報。とりあえずどうする?
第12回 タグ自体はどう整理する?
第11回 趣味で文具を買っていませんか?
第10回 情報は回遊させる
第9回 大事な情報はトスアップする
第8回 情報の一元化は超難題
第7回 よくある問題 メールの整理ができない!
第6回 ブックマークを同期する
第5回 よくある問題 RSSリーダーの中の大事な情報
第4回 「仕事用資料」の埋没を防ぐには
第3回 よくある問題 情報のタスク化
第2回 よくある問題 [あとで読む]でも読まなくなる
第1回 よくある問題「タグ」を扱う難しさ

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