情報がたくさんあっても、そこから勝手にアイデアが生まれてくるわけではありません。しかし、アイデアを生むきっかけは、情報の中に見つけることができます。情報から発想を生むためのハックスを紹介しましょう。

よくある問題:情報を整理してもアイデア発想にはならない

何かこれといったアイデアを得るために、あてもなくネットブラウジングをしてしまう、ということが時々あります。これ自体は、決してよいことだとは思えないので、極力控えるようにしていますが、ちょっとした依存症でやめがたいのです。

言うのも恥ずかしいくらい言われ尽くしていることですが、「ネットには情報が詰まって」います。これは確かにそうです。そして「ネットにはたくさんのアイデアが転がって」います。これまたそうだと思います。

けれども、ネット上にあがってきている情報もアイデアも、そのほとんどは自分自身のものではなく、しかもすでに公開されているからこそ、私などにも、苦もなくアクセスできるわけです。そうした情報を勝手に自分のネタにしてしまったり、そのまま自分が考え出したような顔をするのは、明らかに問題です。

ですから、私のような職業の人間が、「アイデアを求めてネットブラウジングしている」というのは、色々なアイデアに触発されて、よい発想に思い当たることを求めている、という意味になります。

そういうことはもちろん起こるわけですが、検索窓から「欲しい情報を得られるように」検索をかけても、うまくいくことは希です。というのも、たとえば、

「ライフハックについてよく読まれ、よく売れる本を書くためのアイデア」

を求めて情報を検索してみたところで、そのままピタリの情報が見つかることはまずないし、そのままピタリの情報が仮に見つかったとしても、私が勝手に使うわけにはいかないからです。

ライフハック:みんなの意見は「意外と」アテになる

こういう悩みに行き着いたとき、私が頻繁に使っているライフハックスのひとつは、「はてなブックマーク」でタグ検索をかけることです。

はてなブックマークには、タグという機能があります。特に説明は不要かと思いますが、URLをブックマークする際、それが何についてのサイトであるかの指標として、「タグ」をつけることができるわけです。

このタグですが、公開され、共有されているのもご存じの通りです。しかし、最初の頃私は、この公開・共有機能をほとんど意識していませんでした。というのも、人がつけた「タグ」と、自分でつける「タグ」には、たいていなぜか距離があって、人の「タグ」をうまく利用することなど、まず不可能と思えたからです。

けれども最近、「同じ言葉の意味について、このズレはいったい何なのだろう?」と疑問に思うようになりました。たとえば、他の人が「これはライフハック的」とカテゴライズしているサイトについて、自分ではあまり「ライフハック的」と思えないとしたらなぜなのか?

そう思って、「ライフハック」というタグを検索します。そして、ブックマークがたくさんつけられているサイトから表示してみるのです。この例ですと、今現在の最多ブックマークは1228。かなりのブックマーク数です。それを筆頭にしたリストを読んでいくうちに、「ああなるほど。こういうのがライフハック的情報というものなのか!」と感じ入るようになってきます。

「ライフハック」とタグ付けされたはてなブックマーク数上位のエントリ

つまり、「みんなの意見は案外正しい」わけですが、「でもこうしたサイトがないのは、なぜなんだろう?」という満たされない感じが、多少は必ず残ります。自分が多少でも携わっている情報についてなら、残ると思います。

これがアイデアの原型になるわけです。 つまり、「こうしたものがあって欲しいな」と本屋さんなりCDショップに探し求めたとき、そうしたものがないのなら、それは明らかに「アイデア」です。探し方が悪いだけということもあるでしょうが、「簡単には見つからないところに、自分が欲しいものが置かれている」という事実さえも、発想のヒントとなりうるでしょう。

というのも、よほど自分自身がユニークな存在と信じていたとしても、日本中に自分のような人間が、自分以外に誰一人いない、などと信じる理由はまったくありません。自分がそれほど欲しいものであれば、他にも同じものを欲しがる人はきっといるはずですし、自分が欲しいものを見つけにくいと感じているなら、同じように感じる人はきっといるはずです。

そうであれば、自分が置いて欲しいものを作ろうとしたり、自分が探しにくいものを探しやすくする方法を考えたりすることは、無意味なことではないはずです。

まとめ

はてなブックマークのタグを利用して、ホットエントリリストに「ないもの」を探して考えるというのは、私が一番よく実践しているライフハックですが、同じようなことは、テクノラティのようなサービスを使うことでも、もちろん可能なはずです。

私がはてなブックマークを使っているのは、ただ単に慣れているからといっても過言ではありません。ただし、はてなブックマークというのは、ブックマーク数が細かいところまでカウントされるという意味で、使い勝手がいいと感じます。