よくある問題 世界中と「つながる」ことは出来ていても…

iPhone発売日の「熱狂」が報道されていました。その様子をあるニュースキャスターが、「世界中とつながることを考えるより、となりの人とのつながりを考えた方が…と私は思ってしまう」という意味のことを述べていました。

私はそれを聞いて、ちょっと違和感を覚えました。『iPhoneで「世界中とつながる」事ができる?』ということは、私もすでに「ネットを通じて世界中とつながることができている?」ということだが、とてもそう思えないのはなぜなのだろう、と。

その答えは簡単で、多くの場合、日本語サイトばかりを検索している私の「ネット世界」は、少しも「全世界」を網羅していないからです。かろうじて、専門分野と大好きなサイトだけは英語でもチェックしますが、その他の言語のサイトはノーチェック。

言葉の壁は極めて高く、世界とつながるツールをもっていることと、それで世界中の情報を得られることとは、全く別問題です。歯がゆいと言えば歯がゆい情勢です。今、この瞬間にも、「世界中」とつながることができている人のことを想像して、慌てて英語サイトに飛んでみたりするものの、フォントは小さいし、読むのに時間はかかる。結局、すぐまた「狭い世界」に戻ってしまいます。

その「狭い世界」にしても、極めて広大ではあるのですが。

ライフハック popInを使ってみる

とはいえ、今は「翻訳サイト」も優れたものが無料で使える時代です。さらに、未知の英単語にマウスを重ねれば訳語がポップアップされるサービスも用意されています。

雑誌ネイチャーのオンライン記事をGoogle翻訳にかけてみた。翻訳が変なところは、マウスポインタを重ねるだけで、原文を確認できる。

英語サイトを日常的に使えるのと使えないのとでは、得られる情報の質と量は変化してきます。「情報整理」と銘打ちながら、この連載で繰り返し述べていることは、情報をストックして整理しようとせず、間口を広く取って検索すること。

その意味で、英語サイトも検索対象に含めつつ、検索キーとしても英単語を使えるようになれば、それに越したことはありません。そう思いながらも気がつけば、英語サイトなど全くブラウザせず、そのわりにネットブラウザには必要以上の時間を割いている自分がいます。

そうした悩みは日々尽きないわけですが、最近面白いサービスを見つけました。popInです。

一見したところこのサービスは、ただマウスを重ねただけで訳語が出るサービスに比べ、未知の単語を選択した上に、マウスクリックまでしなければならないという意味で、手間の多いサービスに見えます。

しかし、秀逸なのは、新しくタブやウィンドウが開いたりすることなく、そのページの中に訳出結果を出力してくれるところです。このおかげで、次々に未知の単語を引いても、文章を読む連続性が失われることはあまりありません。

単語「deal」の意味を調べようとしているところ。反転させるだけで、メニューアイコンが現れる。「英日・日英辞典」は右から四番目のアイコン。そのほか、「検索」「ユーチューブ」「地図検索」「ウィキペディア」などがそろっている。

検索結果が段落のすぐ下に表示される。

全訳して、日本語ページとして出力してくれるサービスや、訳語だけがポップアップするサービスの方がいいようにも思えますが、全訳で十分なほどには、まだ翻訳エンジンの精度は高くありません。また、ポップアップするサービスの問題は、マウスを単語に重ねておかなければ訳語が消えてしまう点にあります。

英文サイトを読むときは、どのみち「じっくり」取り組まなければならないので、必要な情報だけをそのページの中に、安定して出してくれた方が何か安心して読めるのです。

まとめ

最近、英文を読む場合にはまずディスプレイのコントラストを弱くしてから、Safariで読むようにしています。そうすることで少しでも、目の疲れを少なくするためです。

いうまでもなく、日本語ならば、少々読みにくい環境でも読むことができるのは、時間がかからないからです。英語ですと、目をこらして画面を見つめるため、長文ではすぐに疲れてしまいます。

この問題は、紙に打ち出すことで解消はできますが、そうするとpopIn等の恩恵は受けられなくなります。それにそもそも、ブラウザ上で作業している最中に何かを読むときは、ブラウザの中で連続して作業したいものです。

印刷して「読む」となると、不連続性が強く意識され、そのうち読まなくなってしまうことが多いものです。むろん、どうしても読みたいものや、本を書くために資料を読み込む際には別ですが、そのやり方ですといつまでも、「英語サイトを日常的に読む」段階に移行できません。少しでも英語サイトと「近しい関係」を築くには、popInのようなサービスは重宝します。