よくある問題 結局目の前においてしまう

情報の「容れ物」を用意しなさいというアドバイスは、至る所に見られます。それが「スターを付けてアーカイブ」であれ、リメンバー・ザ・ミルクであれ、EVERNOTEであれ、RSSリーダーであれ、とにかく「そこを見れば全部ある」状態にするのが最善だというわけです。

しかし、これを実現するのは容易ではないのです。一番「そこ」に入れたくないのが、実は「今大切な情報やタスク」なのです。つまり、最も緊急性が高く、重要性も高い情報やタスクです。

そうしたものはどこに置かれるのでしょう?

たとえばデスクトップであり、たとえば付箋に書いてディスプレイに貼るのです。要は、目につくところです。なぜなら、別のところに入れてしまうと、「忘れてしまうのではないかと不安になるから」なのです。

しかし、この「二元化」は多くの人が、罪悪感や不安感を持ちながらやっているようです。もちろんこうすると、せっかく用意している「整理箱」や「整理のためのシステム」にはムダな情報ばかりになり、大事なものはなにやら雑然としたところに放置されているようで怖いのです。

だからこそ、雑誌などの特集で頻繁に「デスクトップを一掃する」などといった記事が掲載されていて、何度繰り返されても結構人気を博しているのでしょう。

ライフハック 理想的ではないけれど「受信トレイ」で手を打つ

まず、優等生的な答えとしては、「タスク」は小さなものであろうと、緊急性が高かろうと、本来収める場所に収めましょう。一元化するのが望ましいのです。

こうした答えにはもちろん、「それができないから苦労している」という反論があります。しかし、面白くもないことを承知で繰り返すと、「それができない」というのはそれほど当然のことではありません。

付箋をディスプレイに貼る手間と、タスクリストに書き込む手間は、手間だけで比較するならそれほど変わらないはずです。どんなツールを使っていようと、「一元化」は今やそこまで困難だとは思えません。

「埋もれて忘れるのが怖い」という事情の方が、手間や面倒よりも深刻です。この不安はもっともですし、こうした不安心理からどうしても「目につくところ」へ出してしまうということであれば、やむを得ないのでGmailの受信トレイなどに、「喫緊のタスク」だけは置きます。

私の受信トレイに「トスアップ」されたタスクの例

とにかく私たちは、メールのチェックだけはこまめにやります。だから、他にどんなツールを「見なくなった」としても、受信トレイだけは見ます。ここに「喫緊のタスク」や「どうしてもチェックしたい情報」だけを置くのは、最善策ではありませんが、次善の策にはなり得ます。

ただし、この方法を実践するに当たっては、どうしても習慣にしておきたいルーチンワークがあります。それは、朝か夜に30分を確保して「受信トレイを空にする」努力をしてみるのです。

Gmailであれば、スターをつけてアーカイブすれば事足ります。大事なメールは、「名前」と「所属先」をラベルしておけば万全でしょう。むろん、ここで不要なメールはゴミ箱へ。

こうすると、「どうしても今はアーカイブできないメール」だけは、受信トレイに残ることになります。これが、「トスアップされるメール」なのです。あたかもジャグリングのように、大事なメールは何度も受信トレイで目にし、何度もその「処理」について心を悩ませる必要があるわけです。

まとめ

このようにして、受信トレイに数日間残り続ける「情報」は、必ずしも「タスク」とは限りません。とにかく数日間、目にし続けていたい「心得」のようなものかもしれません。これらはタスクとは異なり、「目の前からなくすべき」とは言い切れないものです。

これらのメールには、「心得」などのラベルを貼っておくのも良いでしょう。そしてすぐにアーカイブすべきだというわけでもありません。気の済むまで毎日受信トレイに置き続け、気が済んだら「アーカイブ」すればいいのです。それでも「心得」として保存されます。

私はこのように、必ずしもタスクではなく、さりとて「返信が必要」というわけでもないような、何とも類別しづらい「目にしておきたい情報」を、「トスアップ」し続けるようにしています。タスクでも何でもないだけに、一度「落として」しまうと、深い情報の下に埋もれてしまって、再び取り出す機会を失うからです。

「検索すればいい」と言われるかもしれませんが、検索とは、検索する動機があってこそするものです。検索する理由が頭に浮かばなければ、情報が勝手に浮かび上がってくることはありません。

一度見失った後には、検索すらかける気にならない情報なのに、大事な情報だなどということがあるのかと問われると、ちょっと答えに詰まります。しかし、そうした類の情報も、やはりあると思うのです。それが私の受信トレイには今日も、「トスアップ」されています。