今回から始まるこの連載では、基本的に「情報収集・整理をしない」考え方に基づきながら、それでも必要な情報にたどり着く方法や、「一時的に情報をためながら処理する」方法を探っていきたいと思います。

「タグ付け」といえども万能ではない

Web2.0という言葉が流行するのとほぼ同時期、フォークソノミーという分類方法も流行しました。一般には、情報に「タグが付けられ、整理や分類を共有できる」ということになります。

これは「フォルダ分類」の欠点を補ってくれたという意味で、大きな功績がありました。「お気に入り」をはじめ、長らくPCの世界では「フォルダで分類できる」ということが「分類も整理もできる」という意味になっていましたが、そう簡単にいかないことは多くの人が知っているとおりです。

フォルダによる分類

とっておきたいWebページを「フォルダ分け」しようとすれば、その限界にあっという間に行き当たります。「このページはあとでもう一度見たいから」ということを意味する「あとでフォルダ」と、「このページはブログのデザインに参考になるから」ということで「デザイン参考フォルダ」を作れば、「あとで読みたいデザイン参考のページ」はどちらへ入れるのかという問題が発生するでしょう。

「タグ付け」は情報に複数属性を持たせるという方法で、この問題を解決してくれました。しかし、「タグ付け」といえども万能ではありませんでした。

真っ先にぶつかる問題は、表現揺れの問題です。ある情報には「ライフハック」というタグを付け、別の情報には同じ意味で「ライフハックス」というタグを付けるということが発生してしまうわけです。

緑色の単語が「タグ」。lifehackとLifehacksが別々の「タグ」として認識されている

これは「気をつける」とか、「一覧表をチェックする」とか、あらかじめ「単語登録しておく」といった方法で解決することができますが、もっと厄介な問題もあります。「意味の表現揺れ」問題です。

つまり、ある情報には「ライフハック」というタグを、別の情報には「仕事術」というタグを付けてしまうと、その2つの情報は本当は統合されるべきなのか、それとも別々にしておくべきなのか、わからなくなってしまうということです。

「タグが付けられる」機能のレベルを知っておく

以上のような問題を含んでいることを承知しつつ、それでも「タグ機能」は便利なので使うことになるでしょう。私自身は次のような基準をもとに、情報整理ツールを使うかどうか検討します。

(1)タグの名前を変えることも、統合もできる。該当記事がなくなれば、タグも一緒に消える。
(2)タグは付けられるが、一度付けたら名前は変えられないし、統合もできない。ただし、該当タグがついている記事がなくなれば、タグはなくなる。
(3) タグが付けられるだけで、前は変えられず、統合もできないし、該当記事がゼロになってもそのまま残る。

いうまでもなく、(1)が一番よく、(3)がもっともよくありません。そして細かくいうと、(1) (2) (3)のそれぞれを、さらに3段階くらいに分けられるでしょう。

たとえば(1)ですが、単に名前を変えたり統合できるだけではなく、入力時にタグがリストアップされるとより使いやすくなります。これは今現在、「はてなブックマーク」では可能ですが、同じはてなのサービスでも「はてなダイアリー」ではできません。

はてなブックマークの「タグの編集」機能。タグの置換や削除が容易にできる

また、タグの並び替えができるかどうかといったことも、意外に重要なポイントです。タグが少ない間はまったく気にならないでしょうが、多くなってくると、あるタグがあったかどうかを探すだけでも一苦労です。

このように「タグ機能が使える」といっても、それにはさまざまなレベルがあるわけです。特に、後々名前を変えたくなったり、1つのタグを2つに分割したくなったり、2つのタグを1つに統一したくなったりした時、それができるかどうかは大きな問題になります。

それが自動でできなければ、あきらめるのが妥当です。手動でやるとなると、登録した情報ひとつひとつを「編集」するなど、コストパフォーマンス的にはとうてい見合わない苦労を強いられることになるからです。

Movable Typeとはてなブックマーク

現在、ブログの「タグ付け」で以上のような条件を全部満たすものとなると、Movable Typeのバージョン4.0以上しか思い当たりません。Movable Typeの「カテゴリ」であれば、タグを階層化できる上に、名称変更、統合まで可能です。

MovableType4のカテゴリ編集画面。カテゴリは階層式で管理できる。複数属性を記事ごとに持たせることも可能

しかし反面、それほど動作が軽快とは言えません。

ソーシャル・ブックマークならば、有名なはてなブックマークでも、タグの操作は自由自在です。これはdel・icio・usでも可能なのですが、日本語が入ってくると、時々おかしな結果になるので要注意です。タグで、英語だけを使う方ならば問題ないでしょう。

このように、分類するのは良いけれど、一度分類してしまうと後から簡単に分類し直すことができないのが、ネットで情報整理することの大きな問題です。タグ付けとは結局のところ、情報を個人ユースにするためのデータベース化ですから、これにどれほどのエネルギーを費やすか、どれほどの時間をかける価値があるかは、慎重に考えてみる必要があるでしょう。

自分で情報をまとめる行為が、とても有意義に思えるのは事実です。私もそうした気持ちを強く持ちます。しかし、大量にはてなブックマークに保存してあっても、いざ情報を探す時には、Googleで検索してヒットさせることがとても多いのです。