社内外を問わず、日々の業務で作成する書類はかなりの数に及ぶ。企業からすると、こうした細かな作業のスピードアップが全体の業務効率化につながってくるものだ。そこで今回は、書類作成の効率化に役立つウェブ クリップボード機能、そして複数アカウントを使い分けられるマルチログイン機能を紹介しよう。

ウェブ クリップボード機能をフル活用

書類を作成していると、定位置に企業や製品のロゴを挿入したり、署名などの定型文を入れたりすることは多い。しかし、画像はフォルダからのドラッグ&ドロップや「画像を挿入」をクリックしてのファイル選択、文章の場合は別途テキストファイルを開いてのコピー&ペーストといった作業が、毎回発生するのは面倒だろう。そんな時に便利なのが、Googleドキュメントに用意された「ウェブ クリップボード」機能だ。

一般的に使われるローカルのクリップボードは、対象を指定して「Ctrl+C」もしくは右クリックメニューから「コピー」を選んだ際、共有メモリ領域にデータが保持される。ただし、特殊ツールなどの使用時を除き、情報が常に上書きされてしまうのが難点だ。

一方、Googleドキュメントのウェブ クリップボードは、コピーしたデータをサーバ上に保存するのが特徴。ローカルのクリップボードのように電源を切っても消えることがないため、例えば、会社と外出先など、異なるPC環境で作業する際に重宝する。また、ウェブ クリップボードには複数データを保存しておけるので、用途に応じて異なるデータを簡単に貼り付けられるのもポイントと言える。

それでは、Googleドキュメントの文書を用いてウェブ クリップボードの使い方を見てみよう。まず、ウェブ クリップボードへのデータの保存は、通常と同じくコピーしたい文章や画像を選択して、ツールバーにある「ウェブ クリップボード」のアイコンをクリックする。「選択範囲をウェブ クリップボードにコピー」を選ぶと、任意の文章や画像がサーバ上にコピーされる。

続いて、貼り付けたい場所にカーソルを合わせたら再び「ウェブ クリップボード」のアイコンをクリックしよう。先ほど保存したデータが並んでいるので、そこから「リッチテキストとして貼り付け」もしくは「HTMLとして貼り付け」を選ぶと貼り付けが完了する。

さらに、ウェブ クリップボードは文書だけでなく、スプレッドシートや図形描画などGoogleドキュメントのサービス間をまたいで利用できるのだ。例えば、図形描画の「図形描画全体をウェブ クリップボードにコピー」で保存したデータを文書に貼り付ける、といったことが可能だ。ただし、プレゼンテーションは現在のところ、ウェブ クリップボードを使った通常のテキストや画像の貼り付けに対応しておらず、1枚のスライド単位となっている。この辺りは今後の機能拡張を待ちたいところだ。

そのほか、スプレッドシートでは「表形式のデータとして貼り付け」と「プレーンテキストとして貼り付け」の2種類が選べるが、コピー元に第5回(http://journal.mycom.co.jp/series/googledoc/005/index.html)で解説した「名前付き範囲の定義」などを用いている場合、表形式を選ぶと定義が解除された形での貼り付けとなる。スプレッドシートの内容を貼り付ける際は、データの作りによってこうした事態が発生することも頭に入れておこう。

コピーしたい文章や画像を選択後、ツールバーにある「ウェブ クリップボード」のアイコンをクリックし「選択範囲をウェブ クリップボードにコピー」を選ぶ

貼り付けたい場所にカーソルを合わせたら「ウェブ クリップボード」のアイコンをクリック。保存したデータにカーソルを合わせると、下部にサムネイルが表示されるのも見やすい

Googleドキュメントの文書上に貼り付けた画像についても、同じ方法でウェブ クリップボードへ保存できる

画像と文章をまとめて保存することも可能。たとえば社内回覧用の定型文と押印枠、FAX送付状の企業ロゴと送信元などを保存しておけば、フォーマットがない状態からの書類作成も簡単に行える

Googleドキュメントでは文書だけでなく、スプレッドシートや図形描画でもウェブ クリップボードを使用できる

図形描画で作成した図版を文書へ貼り付けるなど、サービス間をまたぐ連携も可能

複数アカウントを使い分けるマルチログイン

企業によっては業務分野やブランドごとにドメインを分けたり、社内と顧客向けなどで複数のアカウントを使い分けたりする機会は多い。しかし、そのたびに別アカウントでログインし直したり、複数ブラウザで作業したりするのは面倒だ。そんな人にお勧めしたいのがマルチログイン機能である。

GoogleAppsでは、公式の機能としてマルチログインをサポートしている。これにより、例えば社内用アカウントで書類を作成しつつ、同一ブラウザの別タブで社外クライアント用のアンケートフォームを作成・集計するといった作業も簡単に行える。

複数アカウントでのログイン方法は、まず右上のユーザー名をクリックして「アカウント設定」を選択する。そこから「マルチログイン」の「編集」をクリックすると設定画面が表示されるので、「有効 - 同じウェブブラウザ内で複数の Google アカウントを使用します。」にチェックを入れよう。

準備が整ったら、あとは右上のユーザー名から「アカウントの切り替え」→「別のアカウントでログイン」を選び、別アカウントのメールアドレスとパスワードを入力すればOKだ。

右上のユーザー名をクリックして「アカウント設定」を選択する

「マルチログイン」部分の「編集」をクリック

「有効 - 同じウェブブラウザ内で複数の Google アカウントを使用します。」にチェックを入れ、最下部の「保存」をクリック

再び右上のユーザー名をクリックし「アカウントの切り替え」→「別のアカウントでログイン」を選択。あとは別アカウントのメールアドレスとパスワードを入力すればマルチログインが可能となる

今回は、業務効率化につながるウェブ クリップボードとマルチログイン機能の使い方を説明した。いずれも実際に使ってみると驚くほど便利な機能なので、ぜひ日々の業務で活用いただきたい。

参考になるWebサイト


Google ドキュメントのテンプレート集
http://www.sateraito.jp/Google_Docs_Spreadsheets.html

 

Google ドキュメントの使い方テクニック
 http://www.sateraito.jp/google_apps_learning.html