SFAツール「eセールスマネージャー」を提供するソフトブレーンは、自社のメールまわりの課題を解決するためにGoogle Appsを導入するとともに、eセールスマネージャーとGoogleカレンダーの連携も実現させた。Google Appsの活用幅をより広げる開発を行ったソフトブレーン自身も、Google Appsを柔軟に使いこなしている。

より効率的で使いやすいメールシステムを求めてリプレースを検討

ソフトブレーンは、営業担当者個人の資質や手法に頼らず、組織的営業力を向上させることを目的とした営業支援システム「eセールスマネージャー」の開発、販売を手がけていることで知られている企業だ。しかし、ツールとしてeセールスマネージャーを提供するだけではない。営業の手法を標準化して質を高めるトレーニングや、業務分解・定義といったコンサルティング、タブレットやスマートフォンを活用しての営業に関するコンサルティングといったサービスも展開。ツールとコンサルティングサービスの両方によって、営業課題を解決する企業なのだ。

効率化や質の向上を強く意識するソフトブレーンが、ホスティングサービスを利用してOutlookでメールを送受信するというシステムをリプレースしようと動きはじめたのは、2012年4月のことだった。年末に旧メールシステムの契約期限切れを迎えるにあたって、新システムへスムーズに乗り換えるための準備をしたいというのが直接の動機だったが、コストや運用について問題は感じていたという。

ソフトブレーン 取締役 木下鉄平氏

「ログは取得していましたが、実際に過去のメールを取り出して活用するという意味では使いづらい方式でした。また添付ファイル送付時には、暗号付きで圧縮してから別のメールでパスワードを送信することになっていましたが、これも面倒でしたね。漠然と誤送信も問題なのではないかと感じていましたし、なによりこのシステムは、今となっては割高なのではないかとも感じています」と語るのは、ソフトブレーン 取締役の木下鉄平氏だ。

旧システムの契約切れから逆算して導入を実施

本格的な乗り換えを検討するなかで、新システムに必要な機能が見えてきた。たとえばスマートデバイスを活用した働き方が当たり前となっている今、外出先でもデータ閲覧ができるようなシステムが求められていた。また、社内で情報共有のためにポータルを構築していたが、更新のしづらさなどから実質的には使われておらず、もっと使いやすいものが必要だった。

前述の課題と合わせてこれらを解決できそうなのが、Google AppsとHDEの提供するクラウドメールセキュリティ製品「HDE one」を組み合わせる手法だったという。

「モバイル対応については当初MCM(Mobile Contents Management)の導入も検討しましたが、これはGoogleドライブで十分だと考えました。ポータルはGoogleサイトで対応可能です。そして、お客様からのGoogleカレンダー連携のニーズが強く、自社で実際に使ってみる必要性も感じていました」と木下氏は語る。

検討から決定までは2カ月程度で完了した。その後、メールの本番運用開始から旧システムの契約期限終了の間に1カ月程度の猶予があるように逆算。実際に構築を開始したのは10月頃だったという。

メールを主体にさまざまな業務にGoogle Appsを活用

「現在は、メール主体の利用になっており、他の機能は付いてきているから使っているという感じのライトな使い方になっています」と木下氏は語る。

Googleドライブに関しては、当初共有ファイルの置き場として活用する予定だったが、アップロードする手間がかかるということで見直しが行われた。その結果、iPadから直接ファイルサーバを利用できるようにしたという。では、Googleドライブを使っていないのかといえば、そうではない。

「閲覧権限が設定できるという特徴を活かして、たとえば採用活動で、役員や採用に関わるスタッフだけに閲覧権限を付与し、採用情報を共有するといったような使い方をしています。最初の計画とは異なる使い方ですが、本を見たり思いついたものを試したりしながら活用しています」と木下氏。フォーム機能を利用した社内アンケートも実施しているという。

Googleサイトを利用した社内ポータルの作成は当初の予定どおりに行われ、以前よりもずっと使いやすい環境を手に入れるなど、当初の予定にあったことにもなかったことにも上手く活用しているようだ。

「Google Appsを導入したことでメールの一元化ができ、添付ファイルを手軽かつ安全に送りたいという希望もかないました。誤送信防止については、実際に運用してみると以前把握していたよりも途中で削除される件数が多く、問題視されないレベルのミスまで含めるとかなり誤送信があったということに気づきました」と木下氏は導入の手応えを語る。現場スタッフからも、使いやすくなったと好評だ。

導入にあたってサポートを受けたベンダーから、途中でサテライトオフィスに乗り換えたという経緯があるが、利用しているのは主にシステム管理系のツールで、エンドユーザーが使うアドオンは、上記のように誤送信防止機能や社内ポータルなどで採用しているという。

「弊社のお客様でもあるミサワホーム様からの紹介でした。とても親切でレスポンスもよく、コスト的にも安価だと聞き、乗り換えたのです。ActiveDirectoryとの連携や、シングルサインオン機能はとてもよいと感じています」と木下氏は今後のサポートにも期待しているという。

「eセールスマネージャー」とGoogle Appsを連携

自社製品であるeセールスマネージャーとGoogle Appsの連携も実現した。Googleカレンダーとeセールスマネージャーのスケジュール機能を連携させることで、eセールスマネージャーのアカウントを持っていないユーザーでも社内での情報共有が行いやすくなったのだ。

「実はもともと、eセールスマネージャーにもスケジュールのみを利用する安価なアカウントが存在します。それでも、最近はGoogleカレンダーを使い慣れているため、そちらから利用したいという意見が多かったのです。実際にやってみると開発しやすく、スムーズに対応できました」と木下氏。

特殊な追加モジュール等で対応するのではなく、通常利用しているeセールスマネージャーと一般的なGoogle Appsとを連携させられるため、実際にどれだけのユーザーが利用しているのかまではわからないが、好評だという。地図から住所を入力したり、現在地から周辺のお客様を探したりといったGoogleマップとの連携機能も、Googleつながりということで開発された。

「実際に私も連携機能を使っているのですが、かなり便利です。おもしろい使い方もあって、たとえば乗換案内アプリで検索した結果をGoogleカレンダーに登録する、という機能を経由してeセールスマネージャーの予定表にも反映できます。Googleというメジャーなサービスと連携したことで、出来ることの範囲が広がりました」と木下氏。

Google Appsを導入していながらSFAを必要としている企業にはeセールスマネージャーが、eセールスマネージャーをより効率的に使いたい企業にはGoogle Appsが、組み合わせる先として便利だという環境ができあがった。

木下氏は「ぜひ組み合わせてお得に使っていただきたいですね。Google Appsの導入や利用の作業自体は簡単です。大切なのは乗り換えのタイミングを睨んで、早めに検討を始めることです」と導入のコツを語った。