前職でGoogle Appsを使っていながら、創業時には一旦別のソリューションを導入したというシンクランド。改めてGoogle Appsを導入したのはどういう経緯なのか、Google Appsの何に価値を感じているのかについて聞いてみた。中小企業やスタートアップ段階の企業に特にGoogle Appsを勧めたいと語ってくれたのは、シンクランド代表取締役社長の宮地邦男氏だ。

わかりづらく遅いシステムからGoogle Appsへ転換

シンクランドは2014年2月に設立された、光学・電気技術を用いた医療機器や測定機器の製造販売を行う会社だ。神奈川県の創造的新技術研究開発事業計画に認定されており、現在は横浜企業経営支援財団が新技術開発や新事業展開を目指す中小企業向けに提供する横浜新技術創造館 リーディングベンチャープラザで業務を行っている。同施設に入居している新技術開発に熱心な企業とのコラボレーションや、全国の主要大学との産学連携などにも積極的に取り組んでいる企業だ。

シンクランド代表取締役社長 宮地邦男氏

「創業メンバーは全員、前職も同じ顔ぶれです。そのため、創業にあたってシステムを導入するときには前職で利用していたシステムとの比較になりました。前職でもGoogle Appsを使っていたのですが、創業にあたって、もしかしたら違うものも合うかもしれないと考えて一旦別のソリューションを導入したのです」と語るのは代表取締役社長である、宮地邦男氏だ。

導入したのは、クラウド型のグループウェアだった。外部との打ち合わせ等には別途クラウド型の会議システムを利用していたが、あまり好感触ではなかったという。

「メジャーな製品ばかりでしたが、使っていると遅いと感じることがよくありました。また、GUIがあまりよくなく、マニュアルもわかりづらいので不慣れなスタッフに教えるのが大変でした。サポートにも不満があったので、これは失敗したと思いました。そこで契約期限が切れるのを待ってGoogle Appsに戻った形です」と宮地氏は語る。

導入が容易で必要な機能がしっかり揃うのが魅力

前職で利用していただけに、導入決定に対するとまどいはなかった。実際の導入作業はKDDIを通して行われた。「GUIがよく、感覚的に利用できるのがいいですね。初期設定に少々手間取りましたが、KDDIがサポートしてくれたので特に問題なく導入できました」と宮地氏。

利用の中心はスケジュールとメールだ。現在従業員が5名と少ないため、標準的な機能でそれほど不自由は感じていないという。

「私ともう1人は外出が多いのですが、移動中にメールチェックを済ませられるのはとてもいいですね。非常に簡単に使えますから、ITの知識が少ない女性スタッフも全く問題なく利用できています」と宮地氏は語る。

チーフデザイナー 鈴木美奈子氏

実際、営業や技術開発を担当していない、チーフデザイナーの鈴木美奈子氏も「全く困らずに、快適に利用できています」とGoogle Appsの快適さを語った。

また、標準機能に加えて利用しているのは、KDDIを通してサテライトオフィスが提供する「KDDI サテライトオフィスツール」の中に含まれるワークフローと「サテライト・タイムカード&勤怠管理アプリ」だ。

「Google Appsベースで簡単に利用できるのが便利です。サテライトオフィスは疑問があったときに電話サポートを受けられるというのがいいですね。わかることならすぐに電話口で教えてくれますし、その場でわからないこともしっかりと調べてすぐに対応してくれるのがありがたいです」と宮地氏。

創業時に利用していたソリューションの大きな不満点であったわかりづらさと、サポートの不足が十分に解決された実感があるという。

外出先での仕事や他社との協業にスプレッドシート&ドキュメントを活用

今後利用を強化したいものとして挙げられたのが、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントといったアプリの活用だ。

「まずは社内にあるExcelのデータをすべてスプレッドシートに移行させたいですね。Excel用に作ったプログラムなどはカスタマイズが必要でしょうが、移行すれば外出中を含めてどこでもいつでも利用できるというのは魅力です。今後、拠点を増やすことなども考えているなかでとても重要なものになると考えています」と宮地氏は語った。

また、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントの利用を強化することには、別の目的もある。それは他社や大学と共同でビジネスを行ううえでの、協業用ツールとしての活用だ。

「協業時には相手先が何を使っているかということも大切なのですが、Google Appsの場合はすでに利用しているという方も多く、双方で使いやすいのがいいですね」と宮地氏。

シンクランドは光学系の技術を活かしたビジネスをベースに展開しているが、今後はさまざまな分野へとビジネスを拡大する予定だ。

「光学をベースに医療や環境、ITといった分野で社会に貢献することを基本としていて、現在は水濾過フィルタの目詰まり監視装置などが特に目立っています。しかし基本的には、自分のやりたいことをやれる会社、なんでもやれる会社でありたいと考えています。そのため今後は技術を持っている光学系だけでなく、医学系の開発も行いたいですし、B2Cの物販ビジネスなども考えています。いろいろなことをやりたいと考えているのでGoogle Appsは大きな武器になるはずです」と宮地氏は語った。

中小企業こそGoogle Appsを活用して本業に集中すべき

前職ですでに十分Google Appsを活用していたため、シンクランドでは導入にあたってのとまどいはほとんどなかった。「別のツールにしてみようとしたのは、気の迷いのようなものですね。今ではGoogle Apps以外のものは考えられません」と宮地氏は強く語る。

そして、十分にGoogle Appsを活用しているシンクランドの現状から、宮地氏は中小企業こそGoogle Appsを利用するべきだと指摘する。

「中小企業やスタートアップ段階の企業こそ、Google Appsを利用することをお勧めしたいですね。簡単に誰でも利用でき、ビジネスに必要な機能が揃っているGoogle Appsを利用することで本業に集中できるようになります」と社内でシステムの管理をする余裕がなく、他に注力したい分野がある企業には、Google Appsが効果的であることが語られた。