都市間の移動は新幹線が便利

ハンブルクでの仕事も終え、いよいよ移動の日がきました。筆者が次の目的地に決めたのは、メッセ(見本市)で有名なハノーファーです。

ドイツの中央よりやや北側にある大都市で、「緑の中の大都市」と呼ばれるこの街を選んだのは、観光地としてのハノーファーを楽しむのは勿論のこと、近隣の観光地に出かけるためのハブとしても有効な街だからです。ハンブルクからこの街への移動は、ドイツの新幹線・ICEを使いました。これなら1時間20分程度でハノーファーに到着します。

庭園などがあり緑が豊かなことから「緑の中の大都市」と呼ばれるハノーファー。見本市やサッカーなどイベントがない時は静かな駅前

地図の上方のハンブルクからハノーファーへ。ハノーファーを経由する路線がたくさんあるのがわかります

初回でも簡単に触れましたが、ICEはドイツ国内ではもちろん、ヨーロッパの各地にまで行くことができる新幹線で、大都市間の移動には欠かせない乗り物です。基本的にICEでの移動が、飛行機で移動するよりも早くて安価だと思われるのは、飛行機で4時間程度の移動の場合だと思います。従って、充分、ハンブルク~ハノーファー間はICEでの移動距離と言えるのです。ICEには3つの型の列車があり、それぞれ作られた順番にICE1型、ICE2型、ICE3型という名称で呼ばれており、ドイツ国内だけでなく、ヨーロッパ大陸を走っています。最近ではICE2型、3型が主流になっており、筆者もこの時は3型の先頭に乗ることが出来ました。

ICE3型の運転席。ガラスで仕切られているため、中に入ることはできないが、運転の一部始終を見ることができる。鉄道ファンならたまらない席と言えよう

ICE3型の先頭車両は運転席がガラス張りになっており、その後ろに乗車席があります。ここは前後に1等と2等の座席があり、運が良ければどのクラスに乗っても運転席の後ろに座れる可能性があります。また、多少ドイツ語か英語が堪能ならば、座席予約の時に交渉してみるのも良いでしょう。ただし、必ずしも3型に乗れるという保証はありませんが。

ハノーファーではサッカーの試合に要注意

市庁舎の展望台から見た風景。100mと極端に高くはないが、ハノーファーの街を一望できる絶好のポイント

ハノーファーの街は比較的新しい建物が多く、ドイツの中では近代的な都市というイメージがあります。1900年代当初に立てられた市庁舎は内部見学が可能な他、高さ100mの展望台もあり、ハノーファーの街を一望することが出来ます。また、ガーデニングに興味があるなら「ヘレンハウゼン王宮庭園」に足を伸ばしてみるのも良いでしょう。ハノーファー中央駅からUバーンで行くことが可能なほか、ハノーファーのバス、トラム、地下鉄等が乗り放題になるハノーファーカードを購入して入れば、庭園をはじめ、主な美術館などが割引で入場できます。ところでハノーファーでは1つだけ注意しておいた方が良いことがあります。それはサッカーです。

ハノーファーの市庁舎は1900年代初頭に立てられた建築物。ここの展望台からはハンーファの街が一望できる。ぜひ登ってみて欲しい

ハノーファー自体の治安は非常に良く、安心して観光を楽しむことができます。ところが、サッカーのある日は要注意。筆者は1度目の訪問の時に、ちょうどワールドカップのドイツ戦の日に到着したのですが、中央駅がファンに占拠され、閉鎖状態になっており、駅のホームで30分ほど待たされた経験があります。2度目の訪問では地元のサッカーの試合があったのですが、この時も街中にパトカーが走り回っていて、中央駅が閉鎖状態になるほど。

このように熱狂的なサッカーファンがいることから、サッカーのある日を調べて、避けるか、ある程度移動に時間がかかることを覚悟しておいた方が良いかもしれません。しかし、旅行者だから危険だということはありませんので、何回か遭遇すると、この状況を楽しめる余裕も出てくるのではないでしょうか。

日帰りで行ける観光地に足を運んでみよう

ハノーファーからはいくつかの観光地に行けると書きましたが、電車で1~2時間で行ける有名な観光地がいくつか点在します。中でもブレーメンは有名な観光地の一つと言えます。

メルヘン街道終着の地点でもあり、また、グリム童話『ブレーメンの音楽隊』でも有名なこの街は、ハノーファーからICEに乗り、1時間ほどで行くことができます。ちょうど東京から鎌倉等の観光地に行く感覚と言えるでしょう。

ブレーメンで最も有名なオブジェ。しかし、意外と地味な場所にあるため、見過ごしてしまうこともあるので注意しよう

ブレーメンでは風車を見つつ、公園でランチを楽しむこともできる。非常にのどかな街でゆっくり滞在したくなる

ブレーメン自体はさほど大きな街ではありませんので、日帰りの観光で充分見て回ることができます。街のあちらこちらには、音楽隊をイメージさせるオフジェがおいてあり、散歩するだけでも数多くのオブジェに遭遇することが出来ます。そしてもう一カ所、ハノーファーを拠点にしたなら必ず行っておきたい場所があります。こちらもグリム童話『ハーメルンの笛吹き男』で有名なハーメルンです。

ハーメルンへはハノーファーからSバーンに乗り、50分程度で行くことが出来ます。ここでの観光はとても簡単。歩道に書かれたネズミの絵と随所に立てられた案内表示を見て回るだけで、観光名所を迷うことなく歩いて回ることができます。ゆっくり回っても3時間あれば全てを観光する事ができますので、是非とも行ってみて欲しい所です。

ハーメルンでは、路上に書かれたネズミのマークを頼りにこの案内表示を回るだけで、一通りの観光が楽しめる

このネズミのマークが観光の目印。これがいくつもつながって導線となっている

ちなみに日本では"ハーメルンの笛吹き男"と呼ばれていますが、ドイツ語では"ねずみ取り男"と言われており、そのため、歩道のマークがネズミの形をしています。また、食べることは出来ませんが、パンで作ったネズミの人形があちらこちらで売られています。

現地で行われている観光ツアーでは、実際にネズミ取り男の格好をしたガイドさんが引率してくれる。ただしドイツ語での案内のみ

その他、ブロッケン山の麓の街、ゴズラーや、カメラファンなら一度は行ってみたい、二眼レフカメラで有名なローライ社の工場があるブラウンシュヴァイクなど、ハノーファーを起点に日帰りで行ける観光地はたくさん存在します。

ハノーファーを起点にするために知っておきたいこと

冒頭にも書きましたが、ハノーファーはメッセ(見本市)の街として知られており、事実、毎月、何らかのイベントが行われています。実は、このことを事前に調べて計画を立てておかないととんでもない目に遭います。まず、メッセ期間中はどこのホテルも満員に近く、市内のホテルはもちろん、近郊のホテルも予約でいっぱいになっています。

本文中では特に触れなかったが、ハノーファーの蚤の市は非常に有名。とにかく規模が大きいので掘り出し物に出会う確率も高い

また、運良くホテルが予約できても、その料金に驚かされることでしょう。これはハノーファーに限ったことではありませんが、メッセや大きなイベントがあるときは、ホテルの料金が2~4倍の価格になります。従って、これらの有無を事前に調べて計画を立てておかないと、宿泊できなかったり、思わぬ散財をしてしまうこともしばしば。

逆に休日や何もない時は割引プランで安く泊まれることもあります。従って、上手に活用すれば、通常よりも安く宿泊できます。また、近隣の観光地に行く時は、必ず帰りの電車を調べておくことも重要です。場所によっては、1本電車を逃すと、次の電車まで1時間も待ってしまったり、遠回りをして帰らなくてはならなかったりすることもあるからです。

電車の時刻は、Die Bhanなら駅のインフォメーションで、SバーンやUバーンなら駅の時刻表で確かめておきましょう。なお、ドイツの鉄道の時刻表は、単に時間が書かれているだけでなく、停車駅等も書かれていますので、非常にわかりやすいので安心してください。

さて次回は、そろそろ大都市に飽きてきた私が向かうのは、旧東ドイツの小さな街・ヴェルニゲローデです。何故田舎町に? と、お思いの人もいるかもしれませんが、そこにはある楽しいプランが待っているのです。どんなプランかは次回まで秘密です。お楽しみに。