【連載】

鉄道で行くドイツ裏街道の旅

3 快適な寝台特急で寝ている間に移動する

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ホテル並みの設備で快適な寝台特急に乗ってみよう

旅行の際、移動時間を無駄に使っている人もいるのではないでしょうか? 団体ツアー等の場合、よくよく考えてみると、その大半が移動時間に費やされていることが多く、一番記憶に残っているのはバスの中の出来事、なんていうことも珍しくありません。これは個人旅行でも同じで、移動のための時間は結構もったいないです。まして、国内ではあるものの現在地から遠く離れた所に行く場合、皆さんは移動手段として何を利用しますか。飛行機? 特急列車? 色々ありますが、どれも日中の時間を移動に費やすことになります。

今回、コンスタンツから向かうのはドイツ北部の中でも大都市といえるハンブルク。そうです。いきなり南から北への移動となるのです。なぜ、こんなスケジュールを立てたのか、不思議に思う人もいるかもしれません。しかしこの間の移動なら、ドイツでの鉄道旅行を楽しむ上で、もっとも効率が良く、そして快適に移動することができる手段があるのです。その名は『City Night Line』。スイスからオーストリア、ドイツの都市を結ぶ寝台特急列車で、スイス始点(終点)で、オーストリア、ドイツを回るなら便利な列車です。しかしコンスタンツからはCity Night Lineに乗車できないので、一度チューリッヒに行き、チューリッヒ~ハンブルク間で乗ることにします。

チューリッヒ駅にて出発を待つCity Night Line。月のマークが目印だ。コンパートメントの他に、普通のリクライニングシートの席もある

City Night Lineで、チューリッヒ(地図上には正確な位置が載っていない)からハンブルクまで一気に北上する

深夜出発、早朝着。時間を有効に使える旅

コンスタンツで目一杯遊んだ後、チューリッヒに向かい、夜の8~9時頃に出発するCity Night Lineに乗り込めば、朝の8時頃にはハンブルクに到着します。料金は大人2名、エコノミーダブルで約300ユーロ、デラックスダブルでも約400ユーロ。もちろん、この価格の中には朝食代も含まれています。この値段を高いと見るか安いと見るかで意見が分かれる所ですが、ホテル代と交通費と考えれば、納得できるのではないでしょうか?

今回は奮発してデラックスダブルの部屋をリザーブしてみました。デラックスダブルは、2段ベッド、シャワールーム、トイレ、それに対面の椅子とテーブルが備わった、ホテル並みの装備が自慢の個室。快適な旅が可能です。夕方、コンスタンツからチューリッヒに行き、オンラインで予約しておいたチケットを受け取り、早速列車に乗り込みました。

魚眼レンズで撮影しているので少々歪んでいるが、コンパートメントへの入り口の写真。上下2つに分かれており、上がデラックスタイプになる

反対側には洗面所、トイレ、シャワールームが設置されている。ちょっとしたホテル並みの設備で、快適な空間だ

快適な設備でゆったりした時間をすごす

まず、チケットを受け取ったら、指定された号車に向かい、車掌さんにチケットを見せます。このとき、パスポートを用意しておきます。一応、スイスからドイツへ入国するため、夜間に各号車にいる車掌さんがパスポートチェックを代行し、目的地に到着するまで車掌さんがパスポートを預かります。

ちなみに、パスポートはハンブルクに到着するおよそ1時間30分前に、朝食とともに返却されます。夜、パスポートを車掌さんに預けたら、自分たちのコンパートメント(部屋)に向かいます。入り口には日本と同じように部屋番号が書かれているので、すぐに見つけることができます。コンパートメントは上下に配置されており、デラックスダブルは通常2階側になります。室内は広いとはいえませんが、荷物を置いても2人でゆったりできるスペースがあります。空まで見ることができる窓もあり、ムードも満点。テーブルにはウェルカムドリンクが用意されており、まずはそれで喉を潤します。

広いとはいえないが、2人が寝るのには充分なスペース。奥にあるのがベッド。手前のテーブルにはウェルカムドリンクがおいてある

列車には食堂車が備わっており、事前に予約しておくか、早い時間に行けばゆっくり食事が楽しめます。夜間なので、流れる景色を楽しむというわけにはいきませんが、駅が近づくと、街の灯りがちらほら見えて来るのもなかなか趣きがあります。

コンパクトにまとまった室内設備の数々

デラックスツインのシャワールームは畳半畳ほどのスペースに作られています。少々窮屈に感じるかもしれませんが、必要最低限のスペースであるといえます。また、洗面所も同じ程度のスペースですが、ドライヤーやアメニティ等は高級ホテルにも負けないものがあります。

半畳ほどの広さのシャワールーム。ちょっと狭くも感じるが、必要にして充分の広さ。お湯も温かく気持ちが良い

洗面所のアメニティもホテルに劣らず充実している。ドライヤーは強力ですぐに髪の毛が乾く

そして、肝心のベッドスペースですが、日本のシングルよりも広く、ゆったりとしています。布団の硬さも快適で、列車に乗っていることを忘れさせてくれます。これらの設備のおかげでぐっすり眠ることができ、疲れを残すことなく朝を迎えることができました。朝食を食べ、荷物をまとめていると、すぐにハンブルクに到着です。早速、ホテルに向かい、荷物を預けたら行動開始です。

ベッドルームは意外に広く、ゆっくりと眠ることができる。列車自体は比較的ゆっくり走るため揺れが少ない

朝から行動を開始すれば、近郊の観光地にも行ける

快適な朝を迎えることができたので、体力も気力も充分。そこで、市内を回るのではなく、近郊の観光地に向かうことにしました。

今回選んだのは世界遺産にも選ばれており、「バルト海の女王」と呼ばれた観光地「リューベック」です。ハンブルク中央駅からはRE(Regional Express)で約40分。日帰り可能な距離にあります。ここでの見所はなんと言っても旧市街にある建物です。シンボルともいえるホルステン門、ハンザ同盟の中心地だったリューベックの面影を残す市庁舎、13世紀頃に建てられたマリエン教会など、見所も沢山。のんびりと町中を歩けば、ドイツの魅力を再認識することができます。

リューベック旧市街への入り口。市内観光のバスは2階がオープンになっており、そこから撮影した。右に写っているのがホルステン門

ハンブルクではショッピング? 実は取材で行きました

ハンブルク自体は観光地というよりは商業都市ですから、リューベックなどの地方都市への起点にするのが良いでしょう。もちろん、博物館や美術館も充実していますので、それらを見て回るのも良いかと思います。実際、私もこの時は主な目的がハンブルクに本社がある、万年筆メーカーのモンブランへ取材に行くことで、観光はほとんどお預けでした。

その他、ハンブルクにはエアバスの工場などもあります。また、エルベ川のほとりには国際的な貨物港もあり、貿易が盛んに行われていることでも有名です。13~20ユーロ程度で乗り降り自由な市内の定期観光バスもありますので、これらをうまく使って観光を楽しむのも一つの方法です。

また、貿易都市らしく、都心部には色々な有名ブランド店があり、ショッピングを楽しむには最適といえます。また、世界三大ホテルと名高い「ラッフルズ・ホテル・フィーア・ヤーレスツァイテン」もあり、割引販売されているインターネットのプランを申し込めば、手軽に高級ホテルでの宿泊が楽しめます。

さて、今回は一気に北に来てみました。ここからどのように移動するか。これが旅の楽しみでもあります。次はハンブルクを少々南下してハノーファーに移動してみることにします。どうぞお楽しみに。

展望台から撮影したリューベック旧市街。中央にある塔がマリエン教会。ドイツらしいきれいな街並が印象的だ

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インデックス

連載目次
第7回 番外編:環境都市・フライブルクを訪ねる
第6回 旅最後は温泉保養地バート・ホンブルクで
第5回 鉄道ファンも愛してやまないハルツ狭軌鉄道のSLに乗ってブロッケン山へ
第4回 ハンブルクからハノーファーへ - 起点を決めてあちこちに移動してみよう
第3回 快適な寝台特急で寝ている間に移動する
第2回 ドイツ国境の街・コンスタンツを訪れる
第1回 ドイツの鉄道網とその魅力

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