「今後のビジネスにクラウドサービスが有効」と判断

ミスターマックス サプライ・チェーン・マネジメント本部情報システム部システム企画課 大賀絵美氏

日本におけるディスカウントストアの先駆けとして、1978年に1号店をオープンしたミスターマックス。「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」というコンセプトの下、創業以来一貫して快適に買い物ができる店づくりに取り組んでいる。

同社は、社内のコミュニケーションツールとして「Lotus Notes 6.5」を10年ほど使い続けてきた。ユーザー数は本社約250人と各店舗を合わせて約1,000人に上り、メールのほかカレンダーや掲示板、ワークフローなどを利用していた。

しかし2010年、同社は大きな問題に直面する。Lotus Notesの保守期間が切れることに加えて、ハードウェア自体の老朽化が目立ってきたのだ。問題解決のための選択肢として、Lotus Notesのバージョンアップ、もしくは完全に異なるシステムへの移行が考えられた。ミスターマックス サプライ・チェーン・マネジメント本部情報システム部システム企画課 大賀絵美氏は、「かなり作り込んでいた従来のNotes環境を切り捨てることに、少なからず抵抗がありました。しかし、Lotus Notesはイニシャルや運用コストが高いですし、ここで思い切ってクラウドタイプのサービスを選択することが、今後ビジネスを進めていくうえでより有効だと判断しました」と語る。

総合サービスとして提供されているGoogle Appsの魅力

リプレースの候補として挙がったのは、Lotus Notes由来の各機能をパブリッククラウド上で提供する「LotusLive」、クラウド対応が強化された「Exchange Server 2010」、そして「Google Apps」だった。

「リプレース候補3つのサービスはメールの機能に大きな差はないと判断し、Google AppsはGoogleドキュメントやGoogleサイトなどがオプションでなく、総合サービスとして提供されているところに着目しました。この時点で今後は他の社内システムも徐々にクラウドへ移行していく傾向が見えており、『初クラウド』として最適だとも感じました」と、大賀氏はGoogle Appsを選んだ理由について語ってくれた。

こうして同社は2010年夏に各クラウドサービスの選定を行い、9月頃よりGoogle Apps環境への移行に向けた取り組みを開始。11月には、早くも一部ユーザーによる正式稼働をスタートさせたのである。

なお、Notes環境からの移行に際しては、Google Appsの基本機能だけでカバーできない部分も出てくる。そこで同社は、掲示板をGoogleサイトで構築した社内ポータルに組み込んだり、ワークフローに関しては別のシステムへ統合したりといった工夫で対応。同氏は「その機能が本当に必要か否かについて、システムの取捨選択を行うのに良い機会でした」と語る。

社内の情報発信とシステムの入口を社内ポータルに集約

同社はスムーズな環境移行を図るべく、2010年11月から翌年2月にかけて、本社の社員向けにGoogle Appsのメールとカレンダーに関する講習会を実施。店舗については、3月に各店舗の代表者を集めて実施している。

また、問い合わせ窓口および社内ポータルサイト内に設置したQ&Aコーナーを通じて、PC操作に不慣れなユーザーに対し積極的なフォローを図ってきた。任意参加の定期的な講習会も開催しているという。

「慣れ親しんだインタフェースや機能から離れるので、システムを移行した直後は戸惑いの声も聞かれました。しかし、Google Apps自体が持つ使いやすさもあって、大半の社員がすぐに扱えるようになりました」と大賀氏。最近は社員たちの間から「Google Appsを使ってこのようなことをしたい」という前向きな意見が出ることも増えてきたそうだ。

Google Appsで特に好評だった機能としては、メールの検索が挙げられる。この点について同氏は、「今までソートが中心だったので、ここまで迅速かつ的確にメールを探し出せるようになるとは思いませんでした」とコメント。最初は違和感を覚えていたスレッド表示機能も、いざ使い始めるとメールを一括で見られるその利便性に多くの社員が気付いたという。

今後、同社は社内における情報発信およびシステムの入口を、すべてGoogleサイトで構築した社内ポータルに集約する予定だ。今までメールで送信していたお知らせを社内ポータルに掲載したり、出社後には必ず確認したりするといった社内ルールも順次整えていくという。

「システム環境をクラウド化することで、どこでも仕事ができる環境づくりを目指します。また、利便性と反比例しがちなセキュリティに関しても全面的な見直しを進めている最中です」と、同氏は今後のビジョンを語ってくれた。

Google Appsの導入から、活用フェーズへと移行を果たしたミスターマックス。同社の成長とともに、Google Appsが活用される幅も広がっていくことだろう。