前回に続き、東京・中野区の「新渡戸文化アフタースクール」をご紹介。新渡戸文化小学校に併設された「新渡戸文化アフタースクール」は同小学校に通う児童が対象で、各界の一流講師陣によるアートやスポーツなどのプログラムも充実している。

小中学校の先生が宿題をサポート!

アフタースクールで「やってみたいこと」を子ども達が紙に書いて箱に入れる「リクエストボックス」

通常プログラムのほかに、月に数回「スペシャルプログラム」が開催される。建築家や公認会計士といったゲスト講師を招いて、本格的なベンチ作りをしたり、お金の仕組みについて学ぶのだ。また、同施設には子ども達がアフタースクールでやってみたいことを書いて投函できる「リクエストボックス」という箱が設置されていて、スペシャルプログラムはこの中のリクエストに応えることもある。

例えば、これまでには「お母さんになりたい」という声を受けて、併設の子ども園で赤ちゃんのお世話体験を実現。「アフタースクールにお泊まりがしたい」という願いから、"夜ふかし企画"を実施、子ども達が作った夕食を保護者と一緒に食べて、普段より遅い時間まで過ごしたそうだ。

スペシャルプログラム「建築」の一コマ。学園内で実際に使用するベンチを棟梁とともに作る

「これほど放課後が楽しいと、宿題をやる時間がないのでは? 」といった心配は無用だ。子ども達は入室すると、まず3階の教室へ向かう。ここでは、小中学校の教員が交代制で宿題をサポートしている。教科書音読の宿題のみ、保護者の学習面での接点として必要と考え、あえてやっていないというこだわりだ。宿題の後はおやつを食べてから、その日のプログラムに参加するのが1日の流れ。プログラム参加がない日の子は、そのまま自宅から持参したドリルや塾の宿題をしたり、室内や屋上で遊んだりできる。

学校から帰ると最初に入るアフタースクール室。ランドセルなどの荷物を置いて、すぐ宿題の教室へ向かう習慣になっている

プログラム参加の前には、宿題をするのがお約束。毎日16時30分まで先生が教室にいて質問に答えてくれるので、学習環境が整っている

満足度の高い小学校給食をアフタースクールでも

調理施設で手作りの白玉ポンチやベイクドポテトなどのおやつは子ども達が大好きで、いつも完食

同小学校の給食は、なんと満足度95%以上(平成26年度保護者アンケートより)と高評価で、直接雇用によるスタッフが毎日手作りしている。日々のおやつもその調理施設スタッフによる手作りで、長期休暇中はお弁当か給食の希望が選べるそうだ。食材はほぼ国産、アレルギー対応もしてくれるというので、夏休みは安心して毎日給食にしてしまいそう。

週5日で利用している小学校2年生の女の子のママに伺った。「学校内にあるので、親にとって安心ということだけでなく、子どもにとっても、移動や学校以外での友達関係などのストレスがないのが一番良いです。特に1年生の時は、学校に行くだけで疲れているので、精神的に落ち着いて通うことができました」とのこと。このアフタースクールの存在が、小学校入学の決め手になったそうだ。ちなみに、急な病気やケガの際も、看護師常駐の保健室で初期対応を行ってくれる。

小嶋校長は、「今の女性に、一番手を差し伸べていきたい分野が"子育て"だと感じます。新渡戸のアフタースクールを参考にしていただき、各地でそういった学童が増えていくとうれしいですね」と最後に語ってくれた。子どもを取り巻く環境が変化する中、学童保育も急スピードで変革をしている。子どもの放課後時間について、本連載でさらに取材を進めていきたい。