前回に続きご紹介するのは、東京都江東区にある民間学童保育「キッズベースキャンプ豊洲・東雲」。東急グループが運営しており、施設内にはクライミングコースも設けているのも面白い。

掃除もゲーム感覚で

夕方5時過ぎ、「キッズベースキャンプ豊洲・東雲」の責任者・荒井なつみさんが全体に声をかける。「今から掃除をしまーす」。

「掃き掃除10人」「整理整頓10人」「流しの掃除は3人。ここは男女1人ずつ必ず入って」「最後は外回り5人」と担当分けの指示。「ただし今、隣に座っている人と同じところに行ってはいけません」「できるだけ同じ学校の人とも一緒にならないようにしてください。はい、スタート! 」。この合図で、子どもたちはキョロキョロしながら一斉に動き出した。

掃除の持ち場はじゃんけんやゲームで決める。楽しく生活習慣が身につくように工夫している。片付けのルールは子どもたちが考え、子どもたちがポスターに書く。自分たちのことは自分たちで。キッズベースキャンプが目指す保育の形だ

キッズベースキャンプでは、掃除にゲーム性を持たせ興味を引きつけるのが日常的。課題解決のため、子ども同士も密にコミュニケーションをとらなくてはならない。複雑なミッションでも子どもたちはひるむことなく試行錯誤を繰り返し、グループに分かれて持ち場へ散っていった。

同施設ではあいさつや礼儀、食事のマナーやお手伝いといった今までは家庭内で教えていたことも、日常のプログラムに組み込んでいる。掃除もその1つというわけだ。週末や長期休みには、提携農場へ出掛けて野菜収穫や田植え、稲刈りなども体験するという。多忙でなかなか遠出のできない家庭には好評だ。

責任者の荒井なつみさんと子どもたち。みんな親しみを込めて「なっつん」と呼ぶ

田植えイベントの一コマ。隔月の農業体験を通して自然と触れあう

入退室の確認メールが保護者に

内容充実の同施設だが、保護者はどう見ているのか。

子どもたちがいつも持参する連絡帳とICカード。入退出時に端末にタッチすると保護者へメールがいく。中抜けの時もタッチするので何時に習い事へ行ったかがわかる

小3の女の子を通わせるお母さんは、「もちろん多彩なプログラムも魅力的だが」と前置きしながら、「何より安心、安全なのがいい」と応えてくれた。「下校時、学校までコーチが迎えに来てくれるので事故の心配がないことと、ICカード管理で入退出時に自分の携帯に自動メールが送られてくるシステムがありがたいです。娘が途中で体調を崩した時はコーチが病院に連れていって付き添い、まめに連絡もくれたので安心してお任せできました」。

さらには、「一人っ子なので、異年齢の子と交流を持てるのも嬉しい」と話してくれた。今後、高学年になり塾などの選択肢が増えても、並行してキッズベースキャンプには通わせ続ける予定だという。

これから「保活」ならぬ「学活」をする保護者の中には、「民間学童もいいかも……」と考えている人もいるかもしれない。一般的な学童保育の申し込みは幼稚園・保育園で年長の10月頃からだが、人気のある民間学童はあっという間に定員になる。キッズベースキャンプでも、早い家庭では年少から「プレキッズクラブ」に入会し、小学校入学に向けて待機しているという。何事も早め早めの行動が鍵のようだ。