原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年ベイテックシステムズ(現サテライトオフィス)を設立し、社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、GoogleApps導入サポートを開始。導入実績は、ガリバー、ミサワホーム、三井倉庫などの大手企業から、中堅・中小企業まで、1,200社以上。「組織&グループカレンダー for Google Apps」など、多数のテンプレートを無償提供するなど、Google Appsの普及に尽力。Google Enterprise Day 2011ではパートナーアワードを3年連続で受賞した。

あらゆる規模の企業にメリットをもたらすクラウドサービス

以前は、セキュリティの観点などから企業利用が進まなかったクラウドサービスだが、東日本大震災を契機に、導入する企業が増えている。なかには、「クラウド」という言葉を知らなくても、Gmailをはじめとしたサービス自体は利用しているといったケースもある。

ノークリサーチが1月24日に発表した「2012年以降に向けた国内クラウド市場規模調査報告」によると、国内のクラウド市場規模は2011年の時点で686.9億円。2015年には1823.0億円に達する見込みだ。同社によれば、2010年時点での予測と比べてクラウドの普及・啓蒙に2~3年の遅れが出ているそうだが、それでも右肩上がりの着実な成長を記録している。

クラウドサービスの中でも、企業にとって一番使いやすくかつ業務効率化に貢献するものといえばグループウェアだろう。メールや掲示板に加えて、各種スケジュール管理、データライブラリなどの機能を備えたグループウェアは、大企業だけでなく中小規模の企業にも多大なメリットをもたらしてくれる。しかも最近は、国内市場の飽和や少子高齢化の影響などから、アジアを中心とした海外進出に目を向ける中小企業が増加。こうした企業を取り巻く環境の変化からも、オンプレミス環境よりもグローバルで使えるクラウドサービスが注目されている。

とはいえ、「うちは少人数だし、グループウェアやクラウドサービスなんて不要」という企業もあるだろ。こうした考え方は首都圏よりも地方に比較的多いようだが、外出先から社内のデータにアクセスしたり、PC・スマートフォン・携帯電話と異なる端末から同環境でメールを送受信できたりと、一度使ってみればその利便性に驚くはず。

また、「容易かつ短期で導入できる」「設備費がかからないためイニシャルコストを抑えられる」「インフラコストを従来の固定費ではなく変動費として扱える」といった点でも、クラウドサービスは中小企業の味方だ。さらに、東日本大震災のような大規模災害が発生しても、耐震構造を採用しているデータセンターならデータは守られており、事業復旧までの時間を大幅に短縮できる。このように、クラウドサービスは事業継続の観点からも大きなメリットがあるのだ。

自社に最適なクラウドサービスの選び方とは?

一口にクラウドサービスといっても、実に多彩なサービスが提供されている。特に市場競争が激化している近年はサービスの数が増えており、どれを選べば良いかわからない場合もあるだろう。そこで、クラウドサービスの基本的な選び方を見ていこう。

まず、最も重要なのは自社に必要な機能が備わっているかどうかだ。最初は必要最低限の機能で足りていても、将来的に事業規模の拡大や業態の変化などが生じる可能性は高い。そうした状況の変化に応じて、柔軟に拡張対応できる幅広い機能が求められる。

ただし、いくら多彩な機能を持っていても、拡張のたびに追加料金が発生するようなサービスは避けたいところ。拡張後も追加料金なしで、長く使い続けられるのがベストだ。

また、提供ベンダーの実績にも注目したい。クラウドサービスに参入するベンダーが増える一方だが、なかにはセキュリティ面で不安の残るサービスを提供するベンダー見られる。企業にとって生命線とも言える重要なデータを預けるだけに、クラウドサービスの提供においてある程度の実績を持つベンダーを選びたいところだ。

そのほか、「予算が負担にならないか」「評価用に無料版や試用期間が存在するか」といった点もポイントと言える。

こうした基準を踏まえたうえでオススメしたいのが、検索エンジンでおなじみのGoogleが提供する。Google Appsは多彩な機能を備えたクラウド形のオフィスツールで、企業のニーズに応じた柔軟な拡張性が魅力。低コストで導入できることに加え、無料版まで用意されている。

企業規模向けのガイドページが用意されている「Google Apps」のWebページ。無料試用も簡単にオンラインで手続きできる

それでは次回から、Google Appsが持つ特徴や具体的な機能などを紹介していこう。