基本的な玉子チャーハン、専門的な黒チャーハンをマスターしたら、次は変化球。「あんかけチャーハン」の登場だ。「あんかけチャーハンを簡単につくりたいです。もちろんおいしく」という担当編集のリクエストに応えていただいたのは、東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さん。深みのある味わいが簡単に出すことができる秘密兵器として、缶詰の焼き鳥と瓶詰めのなめ茸が登場する。

ベースとなるのは「後混ぜ法」でつくった玉子チャーハン。ここに、焼き鳥やなめ茸を加えたあんをかけている。同連載第1回をマスターした人なら、成功するはず!

「簡単! とろとろあんかけチャーハン」

材料(1人分)
ごはん 180g / 卵 1個 / アスパラガス 2本 / 椎茸 1個 / むきエビ 3尾 / 焼き鳥缶詰(タレ味95g入り) / 1/2缶 / なめ茸 大さじ2 / サラダ油 大さじ1(手順2の分)+小さじ2(手順3の分) / 塩 小さじ1/5 / 胡椒 少々 / 水 80cc / オイスターソース 小さじ1/3 / 砂糖 少々 / 水溶き片栗粉 大さじ1 / ゴマ油 小さじ1

つくり方

1.ごはんは、電子レンジで温めておく。
2.フライパンを火にかけ、サラダ油をひく。卵を溶き、一気に流し入れたら軽くかき混ぜつつまとめ、全体に火が通ったところで、1のごはんを加えて炒める。
3.中火で加熱しながら切るようにして、玉子とごはんをしっかり混ぜ合わせる。玉子は、できるだけ固まりにならないようにほぐしておこう。ごはんをテフロン面に押しつけるようにして、水分を飛ばしていく。塩・胡椒で調味し、パラリと仕上がったら皿に盛りつける。
4.3のフライパンに再びサラダ油をひき、刻んだアスパラガスと椎茸、むきエビを加えて炒める。
5.エビに火が通ったら、焼き鳥となめ茸、水を加える。全体を混ぜ合わせ、オイスターソースと砂糖で味を調整する。
6.一旦火を止め、水溶き片栗粉をまわし入れる。再び火をつけて加熱し、水溶き片栗粉を全体にいきわたるように混ぜ、とろみが出たら火を止める。ゴマ油をまわしかけ、かき混ぜないようにしながら3のごはんの上にかける。

玉子チャーハンに濃厚なあんがからんで、通常のチャーハンとはひと味違った味わいが楽しめる。あんかけチャーハンは、専門的には「福建チャーハン」と呼ばれる。本来ならばローストダックや干し貝柱を使った豪華な料理である。ローストダックを焼き鳥でアレンジ、干し貝柱の旨みと食感をなめ茸で演出している。焼き鳥となめ茸を使う点にも深い理由があったわけだ。

なめ茸は味が濃いので、だしやスープを使わずとも簡単に味が決まる。あんの味が濃いめなので、玉子チャーハンの味付けは控えめに。あんの具材にはアスパラガスも使用しているが、ここもポイントである。とろっとしたあんのなかで、シャキシャキとしたアスパラガスの食感は絶妙なアクセントを与えてくれるからだ。

また、急いでつくっていると、とろみ付けは失敗しがち。水溶き片栗粉を入れたとたん、わらびもちのように固まってしまったことがあるという苦い経験をしたことがある人も少なくないだろう。

加える際には、一度火を止めてからゆっくりと注ぎ入れるのがポイント。熱いところに一気に加えるとダマになってしまうが、火を止めて焦らずゆっくりまわし入れることで、全体にしっかりなじんでくれる。

仕上げに香り出しのゴマ油をかけるが、加えた後に全体をかき混ぜてしまうと片栗粉が分離してしまうので、できるだけかき混ぜないようにして玉子チャーハンにかけるよう。心配なら、あんを先にチャーハンにかけ、皿の上でゴマ油をかけてもよいだろう。

教えていただいた料理人

「Essence」オーナーシェフ・薮崎友宏さん

横浜中華街の老舗「菜香新館」にて修業を開始。26歳で立川店の料理長に抜擢される。その後、広東省で家庭料理を学び、北京の大学で薬膳の研修を受ける。中国政府認定の国際薬膳調理師の資格も有する。2007年3月に東京・青山「Essence」料理長、2008年に同店オーナーシェフに。同店では薬膳も取り入れ、広東料理をベースにした料理を提供。チャーハンは4種類を用意し、近隣へのデリバリーも行っている。

「Essence」
住所: 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F
TEL: 03-6805-3905
この連載では、家庭で再現しやすいよう、卓上コンロと一般家庭にあるテフロンフライパンを使って調理していただいています。


撮影: 中村浩二