【連載】

どうなる? 2016年のディスプレイ産業

2 2016年の中小型FPD市場はどうなる?

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中小型FPDに残されたフロンティア「自動車」

IHSシニアディレクターでディスプレイ部門中小型FPD市場担当アナリストの早瀬宏氏は、2015年の動向を総括し、「HD(高精細度)クラスのTFT-LCDが急速にコモディティ(日用品)化した。近年急速な成長を遂げる中国スマートフォンメーカーは、シェア拡大に向けた価格競争が激化し、年率3割を超える価格低下に陥っている。これに対して、スマートフォン各社は、従来機種との差別化を図るため、AMOLEDの採用を進めている。現在AMOLEDを独占供給しているSamsungも積極的に外販をはじめ、2015年のスマートフォンの需要の伸びをAMOLEDが支える結果となった。

IHSテクノロジー・シニアディレクター兼ディスプレイ部門中小FPD市場担当アナリストの早瀬宏氏

一方、高精細で出荷を拡大してきたLTPS-TFT LCDは大口需要であるAppleのiPhone向けの伸びが冴えず、2015年の出荷は期待を下回った。コモディティ化が進むHDクラスのLCDは依然として厳しい価格低下が続く。大口LTPS-TFT LCD客先がAMOLED採用検討を開始したと伝えられ、中小型LCDはLTPS-TFT LCD対AMOLEDの戦いの新たなステージに踏み出した。IHSは、将来的にはAMOLEDが中小型FPD市場をけん引する方向へ予測を見直した」と述べた。

また、「成長性という面では、車載用途が中小型FPDの残されたフロンティアとなる。安定した需要がみこまれる自動車市場において、CID(センター・インフォメ―ション・ディスプレイ)標準搭載化とクラスタ・ディスプレイのLCD化への移行は当面安定な成長が見込めるとともに、新たにバックモニターの需要が上乗せされる可能性が高まっている。一方、供給過剰へと向かうa-Si(アモルファス・シリコン) TFT LCDは、今後は整理・縮小の局面を迎えることが予想されることから、2016年は転換点の年になるだろう」と、市場の流れを予測した。

テレビはHDR化の時代が到来

IHSコンシューマーエレクトロニクス部門シニアディレクターでテレビ市場担当アナリストの鳥居寿一氏は2016年初めにラスベガスで開催されたCES2016を視察した感想から話を始めた。「4Kテレビは当たり前で、今後は4K+HDR(High Dynamic Range)の時代が開かれる。HDR化はOLEDには追い風になる。OLEDテレビは中国メーカー1社当たりの展示台数が増加した。しかし、OLEDテレビの最終形である真の壁掛けテレビは未だ登場していない。極薄型テレビを各社が競って展示していた」。同氏はCES2016で得たこれらの知見をもとにテレビの機能の今後を展望すると次のようになるとして下表を示した。

機能 生産量 製品寿命
HDR 中~大
OLED
8K
湾曲
極薄 小~中
量子ドット 中~小 中~小

コンシューマーエレクトロニクス部門シニアディレクター兼テレビ市場担当アナリストの鳥居寿一氏

また、肝心のテレビの需要については、2016年はさらに厳しさを増すとの見解を示し「為替が全面安のままで、これが特に新興国のテレビ需要を直撃し続けており、 IHSの予測を下回る厳しい状況が続いている。2016年の需要も日々厳しさを増しているが、そのような中で、4K LCDテレビだけは順調に推移している。2015年の4K LCDテレビの世界需要は3200万台と予測通りであった。2016年は欧米を中心に本格的に4K化が進み5400万台に達すると予測している。そして2017年にはコモディティ化するとの当初の見方は変えていない」と述べ、今後の期待は、HDRとOLEDテレビだと結論付けた。

デスクトップは「2次的な大画面」の需要に期待

ディレクター兼コンシューマーエレクトロニクス部門デスクトップ・ディスプレイ担当アナリストの氷室英利氏

IHSディレクター兼コンシューマエレクトロニクス部門デスクトップ・ディスプレイ担当アナリストの氷室英利氏は、デスクトップ・ディスプレイ市場について、「デスクトップからモバイルへの大きな流れの中で、出荷数は緩やかに減少傾向にあるが、高機能・高性能化によりセット価格は上昇傾向にあり、これにより金額ベースの市場規模は維持できるだろう。一方、足元では、2015年来のドル高の影響で、各地(特に新興国)のモニタセット販売価格が上昇傾向にあり、需要を冷やしかねないリスクとなっている」と述べた。また、「一方で、モニタは、PCの画面から脱皮して、スマートフォンやノ―トPCやタブレットの2次的な大画面の需要が期待できよう。モニタは、もともと外部から画像データを受けて、表示する装置である。より多くの種類の端末からデータを受けられる汎用性を有することで小型の端末単体ではできない、端末よりもメリットのある画面が表示することを訴求できれば、そこに市場が反転拡大のチャンスがあろう」と、新たな活用方法に活路を見出せる可能性があるとした。

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インデックス

連載目次
第3回 ディスプレイパネルビジネスはどこに向かうのか?
第2回 2016年の中小型FPD市場はどうなる?
第1回 今、世界のディスプレイ産業では何が起こっているのか?


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