これまで紹介してきたサービスは、基本的に送信側がユーザー登録を行った上で利用するものだった。しかし、普段はクラウドサービスを利用しないけれど。今すぐファイルを取引先に送りたいということもあるだろう。また、外出先のPCを借りて利用する際、自身のパスワードなどを入力するのは抵抗があるという人も少なくないはずだ。

そういう時は、会員登録なし、個人情報入力なしでとにかく手軽に利用できるオンラインストレージを利用するのがお勧めだ。

こうしたサービスに共通する使い勝手は、ブラウザでサービスサイトにアクセスし、あらかじめ用意しておいたファイルをアップロードした後、ダウンロード用のURLを取得するというものだ。

大抵は一定期間が経過すると自動的にファイルが削除される。つまり、いろいろなファイルを置きっぱなしにして数人で使うというよりは、今すぐ見てもらうことを前提としたメールへの添付ファイルの延長的な使い方が適している。

ただし、URLでデータを共有するため、URLを知っている人ならば誰でもダウンロードできてしまうという問題もある。サービス上でダウンロードにパスワードをつけられる場合は利用し、そうでない場合は圧縮ファイルにパスワードをつけるなどの対策をしておきたいところだ。また、多くの場合、1ファイルごとの容量や合計の容量、ファイル数について制限が設けられている。送りたいファイルの内容に合わせて使い分けるのもよいだろう。

定番サービスの安心感「宅ふぁいる便」

最初に紹介するのは「宅ふぁいる便」だ。

「宅ふぁいる便」の公式サイト

サービス開始は1999年と、この手のサービスとしては日本でかなり古くから提供されてきたのが「宅ふぁいる便」だ。誕生当時は大阪ガスが運営していたが、元は社内向けのサービスだったという。現在は大阪ガスグループが100%出資しているオージス総研の運営だ。古くから存在すること、日本のインフラ会社からリリースされたサービスであることなどから、PCを古くから利用しているユーザーにとってもなじみのあるサービスと言えるだろう。

会員登録なしでの利用では合計10ファイル、300MBまでのファイルをアップロードし、ダウンロードURLを取得して利用する。ファイルの預かり期間は3日間で、パスワードなどはつけられない。無料登録できる「プレミアム会員」になると、暗号化機能が利用できるほか、サービス上にアドレス帳を保有してメール送信までを行えるようになる。

また月額500円(税別)の「ビジネスプラン会員」なら、送信可能な容量は最大50GBまで増え、預かり期間も10日と長くなり、パスワードもつけられるようになる。

大量画像やスクリーンショットの送信も快適な「firestorage」

次に紹介するのは、「firestorage」だ。

「firestorage」の公式サイト

デザイン系や画像ファイルを多く利用する業務などで利用されることが多いのが特徴だ。1ファイルの最大容量は250MBまでに制限されているが、複数ファイルをアップロードする時の合計容量は無制限だ。そして複数のファイルをまとめてダウンロードさせる方法もある。ファイル保存期間は標準で3日間となっているが、1時間から7日以上までユーザー自身が設定できる。また、ユーザー登録なしの利用でパスワードがつけられるのもよいところだ。

また、トップページに「ファイルをアップロード」、「写真をアップロード」、「スクリーンショット・画像をアップロード」というメニューがあるのはおもしろい。

「ファイルをアップロード」は中身が何であれ、ファイルという単位で扱う場合に利用する。大量の画像を送る時は「写真をアップロード」にチェックを入れると、1ファイル15MBまでの写真をバラバラとアップロードして150枚まで1つのロールとして保存してくれる上に、保存期間も30日と長い。

「スクリーンショット・画像をアップロード」にすると、画像ファイルを保存する手間すらなく、クリップボードにある画像を直接貼り付け、ブラウザ上でトリミングまでして送ることが可能だ。大量の画像を事前にまとめて圧縮する、ファイルを保存してトリミングするといった手間を軽減したい人にはかなり便利な機能と言えるだろう。

なお、無料会員登録を行うと、ファイルのグループ化や画像をアルバム的に公開することなども可能になる。有料会員プランではより高速な利用ができるようになるなど、付加価値がつくからヘビーに利用するなら登録してみるのもよさそうだ。