【連載】

Facebookで差をつけろ! 事例に学ぶマーケティングの極意

8 広く深いターゲティングで高いコンバージョン率を獲得した「GILT」

 

8/9

高級ブランドを中心とした会員制のショッピングサイトを展開するGILTは、カスタマー向けのFacebookページの運営と並行して、約3年前から新しい顧客の開拓にFacebook広告を利用している。

アクイジション(新規顧客獲得)を目標として定めたとき、メディアとしてのFacebookの魅力は何か。同社アクイジション&アドバタイジング シニアマネージャーの倉田 亜由美さんに話をうかがった。

一過性のメディアが多い中で、Facebookは安定した成果

GILTのオンラインマーケティングは、リテンション(既存顧客の囲い込み)とアクイジション(新規顧客獲得)を分けてとらえている。マーケティングの基本中の基本とも言えるが、ここを混同して考える企業も少なくないはずだ。

同社の公式Facebookページは、オーガニックの投稿を中心に、リテンションを主な目的として運営している。一方のアクイジションでも、検索から呼び込むリスティング広告と共にFacebook広告を重視しており、大きく予算を割り当てているという。これまでもさまざまなメディアを試してきたという同社だが、その結果として「今のところ一番効果が高く、安定したコンバージョンKPIをキープできているのがFacebook」なのだという。

「アクイジションでは、まだGILTを知らない人達にリーチして、そのうちどれだけの人が会員登録をしてくれるかだけではなく、登録してくれたユーザーがどのくらいGILTで買い物をするかというコンバージョンまでをトータルでみています。少し計算が複雑なのですが、KPIが2段階になっているんです」(倉田さん)

Facebookでは安定したユーザーの獲得に加えて、「高いコンバージョンレートも維持できている」という。

GILT アクイジション&アドバタイジング シニアマネージャー 倉田 亜由美さん

「GILTのサービスを知らない人達にリーチするという意味では、新しいメディアを開拓していくことは重要ですが、一度広告を打って一定のユーザーを取り込んでしまったら、それ以上は数字が伸びないメディアも多いのが現状です。そんな中にあってFacebookでは、もう3年以上も一定の成果が得られている。これはすごいこと」(倉田さん)

Facebook広告が他メディアのような一過性の成果だけで終わらないのはなぜか。

GILTでは、その理由を「的確なターゲティングで狙いたい層に確実にリーチできる一方で、リターゲティング(リタゲ)で再プッシュができること。さらに登録後もターゲットを絞って購買意欲を刺激できるなど、きめ細やかなターゲティングとリーチが可能な点」にあると分析している。

同社は性別や年代でターゲットをセグメントして広い層にリーチする一方、アクションを起こしつつもレジストレーションに至らなかったユーザーをリタゲして新規顧客の獲得率をアップ。顧客と属性の近いユーザーにターゲットを絞れるFacebook広告の機能「類似オーディエンス」を活用して、確実に買ってくれそうなユーザーへアプローチすると同時に、休眠ユーザーにはさらに細かく的を絞った広告表示でもう一押しすることで、コンバージョン率を高めることに成功している。つまり、広く当たりつつも、一方で深いターゲティング&アプローチが功を奏しているというわけだ。

Facebook広告はターゲットごとに広告表示を最適化でき、その精度がとても高く、うまく当たれば成果につながるとのことだが、社内で「ターゲットをどれほど絞れば効果につながるか」といったノウハウが、少しずつ蓄積されているそうだ。たとえば以前は、最初のターゲティングでもう少し趣味趣向なども考慮していたが、その方法ではターゲットの年代が偏ってしまうことがあった。

ターゲットを性別と年代で区切り、かつ「類似オーディエンス」でターゲティングした層と被らないよう工夫したところ、より広い層にリーチできるようになって効果が改善されたという。中でも最近、特に成果を上げているのが、レジストレーションサイトにアクセスしつつ離脱してしまったユーザーへのリタゲ。

「ユーザーの数は多くないですが獲得率が高く、非常にうまくいっています。Facebookではインプレッションがターゲットにリーチされた段階でオプティマイズされていて、コンバージョンしやすい人をどんどん探してくれる。そのクオリティを担保したまま、さらに新しい人にリーチできるのが魅力ですね」

9割のモバイルユーザーに向け、クリエイティブにも一工夫

アプリインストール広告。モバイルにフォーカスした広告運用を行っている

GILTではFacebookの広告運用を社内で行っているため、よりきめ細やかな対応ができるのも強味となっているようだ。特に成果を左右する広告のクリエイティブについては、ターゲットの反応を見ながら常に微調整するようにしているという。

「どんなクリエイティブがいいか、ターゲットによって反応がまったく違うので、セグメントごとに複数のイメージを回して、反応の良いものを選んでインプレッションを拡大するといったことをしています」としているが、そうした工夫の中でも一番最適化しているのがモバイルだ。

ターゲットの9割がモバイルのユーザーということもあり、クリエイティブも完全にモバイルがターゲットとなっている。モデル写真を使用する場合も、アイテムが小さくなりすぎないようにややアップにしたり、パッと見てわかるカラーを重視し、シーズンごとにあわせたワードを、キャッチコピーに盛り込むといった工夫もしているという。昨年からはモバイルで効果測定ができるツールも導入している。

「GILT公式アプリのリニューアルに合わせ、ツールを導入後にFacebook広告を積極的に展開したら、アプリのインストール数がぐっと伸びました。今後はもっとモバイルにシフトしていく流れになると思います」(倉田さん)

一方でクリエイティブの手法としては動画にも注目しているとのことで、「単純に認知を広げるために動画を活用するのは、コスト面で見合わないところもありますが、以前ある程度ターゲットやフリーケンシーを絞って動画配信を行ったところ、いいね!の数などエンゲージメント率も高く、最後まで見てくれた人も多かった。今後はもう少し増やしていいかなと思っています」としていた。

また、まだGILTを知らない新しいオーディエンスにリーチするため、インフルエンサーや他のSNSの活用にも挑戦したいとしており、LINEやインスタグラムへの出稿も始めた。

「規模はFacebookに比べるとまだまだ小さいですが、特にインスタグラムは若い女性が多いという点に期待しています。写真がメインのサービスだけにクリエイティブが勝負というところもあってなかなか難しいですが、これから勉強していきたいですね」

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インデックス

連載目次
第9回 きめ細やかなターゲティングで中華圏の爆買いを呼び込んだ「北の達人」
第8回 広く深いターゲティングで高いコンバージョン率を獲得した「GILT」
第7回 ふらっと立ち寄ったSNSで潜在ニーズを呼び起こす、Oisixの場合
第6回 テレビ広告との相乗効果でユーザー数を伸ばしたメルカリの場合
第5回 "インバウンド"の情報発信で60万人のファンを獲得、クラブツーリズムの場合
第4回 B2BとB2C、性格の違うどちらでも結果を残す「クービック」の場合
第3回 モバイルファーストは動画でも - アウディジャパンが目指す未来は
第2回 「I'll be back」 - 動画広告の活用で再び劇場へ、パラマウントの取り組み
第1回 "マジ価値マーケティング"を推進するクラウド会計ソフト「freee」の場合

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