今回は、行数や列数が多い「サイズの大きい表」を扱うときに覚えておくと便利な機能を紹介してみよう。初心者でも使える簡単な機能の一つであるが、意外と知られていないようなので、この機会に使い方を確認しておくとよいだろう。

「ウィンドウ枠の固定」で見出しセルを常に画面に表示

以下に示した表のように、1つの画面には収まりきらない表を扱う場合もあるだろう。このように「サイズの大きい表」は、画面をスクロールさせると“見出し”のセルも一緒にスクロールしてしまうため、「各列が何を示しているのか?」を分かりづらくなってしまう。

行数、列数が多い表

先ほどの表をスクロールさせた様子

このような場合に活用できるのが「ウィンドウ枠の固定」という機能だ。この機能を利用すると、“見出し”のセルを常に画面に表示させることが可能となる。具体的な例で解説していこう。

先ほど示した表において、“見出し”のセルを常に表示しておきたい場合は、A5セルを選択した状態で「表示」タブにある「ウィンドウ枠の固定」→「ウィンドウ枠の固定」を選択すればよい。

A5セルを選択

「ウィンドウ枠の固定」を有効にする操作

すると、ワークシートの1~4行目が画面に固定され、画面をスクロールしても常に“見出し”が表示されるようになる。

1~4行目が画面に固定された表

これで、「各列が何を示しているのか?」を一目で確認できるようになる。ちなみに、「ウィンドウ枠の固定」を解除するときは、「表示」タブを選択し、「ウィンドウ枠の固定」→「ウィンドウ枠固定の解除」を選択する。

「ウィンドウ枠の固定」を解除する操作

同様の手順で、横スクロールにも対応させることが可能だ。たとえば、D5セルを選択した状態で「ウィンドウ枠の固定」を有効にすると、A~C列目と1~4行目を画面に固定できる。

「ウィンドウ枠の固定」を有効にする操作

A~C列目と1~4行目が固定された表

つまり、「ウィンドウ枠の固定」は、選択したセルより「左にある列」と「上にある行」を画面に固定する機能となる。この仕組みを覚えておけば、「ウィンドウ枠の固定」を戸惑うことなく活用できるだろう。

参考までに、A1セルを選択した状態で「ウィンドウ枠の固定」を有効にしたときの動作も紹介しておこう。この場合は、画面(ウィンドウ)のほぼ中央で「ウィンドウ枠の固定」が行われるようになる。

A1セルを選択した状態で「ウィンドウ枠の固定」を有効にした場合

1行目やA列目を画面に固定するときに、間違ってA1セルを選択してしまうと、上記のような画面表示なってしまうので注意すること。この場合は、いちど「ウィンドウ枠の固定」を解除し、適切なセルを選択してから「ウィンドウ枠の固定」を再指定する必要がある。

表の途中にある行を画面に固定

「ウィンドウ枠の固定」を使用するときは、A1セルを画面に表示した状態で操作を行うのが基本だ。今度は、「入場者数」と「売上」をまとめた表を例に解説していこう。

入場者数と売上をまとめた表

たとえば、ワークシートを10行目までスクロールさせた状態でA11セルを選択し、「ウィンドウ枠の固定」を有効にすると、画面を下方向へスクロールさせても常に10行目が表示されるようになる。

画面をスクロールした状態で「ウィンドウ枠の固定」を有効

10行目が画面に固定された表

ここまでの動作は、先ほど解説した内容と同じである。問題となるのは、画面を上方向へスクロールしたときの動作だ。この場合、どんなに上方向へスクロールしても、ワークシートの1~9行目は表示されなくなってしまう。1~9行目を表示するには、「ウィンドウ枠の固定」を解除して通常の画面表示に戻す必要がある。

画面を最上部までスクロールした状態

つまり、「ウィンドウ枠の固定」を有効にしたときの画面表示がそのまま維持され、選択したセルより「上にある行」が画面に固定される仕組みになっている。これは列方向についても同じ。実際に操作を行う際に、このような状況に陥るケースは稀であるが、念のため覚えておく必要があるだろう。

なお、この仕組みを逆手にとって、データの比較を行いやすくする方法もある。たとえば、先ほど示した例は、「6/5のデータ」(10行目)と「他の日付のデータ」を比較する場合に便利に活用できる。

画面を下方向へスクロールさせると、「6/5のデータ」は常に画面に表示され、そのすぐ下の行はスクロール量に応じて、6/6、6/7、6/8、…と表示が変化していく。よって、離れた位置にある行を並べて表示できるようになり、数値を容易に比較できるようになる。

唯一の欠点は、“見出し”となるセルが画面に表示されないこと。このため、「各列が何を示しているのか?」を頭の中に記憶しておく必要がある。

画面分割の活用

同じ表内にあるデータを比較するときは、「分割」の画面表示も便利に活用できる。「表示」タブにある「分割」のコマンドをクリックすると、選択中のセルを起点に画面が4分割され、それぞれの領域を自由にスクロールできるようになる。

画面分割の指定

画面分割の位置を変更したいときは、各領域を区切る枠線を上下左右にドラッグすればよい。このとき、縦の枠線を左端(または右端)までドラッグすると、画面を縦方向に2分割した表示に変更できる。同様に、横の枠線を上端(または下端)までドラッグすると、画面を横方向に2分割した表示に変更できる。

縦の枠線を左端までドラッグ

上下2分割の画面表示になる

4分割のままでは少し表が見にくくなるので、通常は上下(または左右)に2分割した表示を活用するとよいだろう。これで離れた位置にあるデータを手軽に比較できるようになる。

ちなみに、画面表示を通常の状態に戻すときは、再度「分割」のコマンドをクリックすればよい。

今回、紹介した内容は、サイズが大きい表を閲覧したり、離れた位置にあるデータを比較したりするときに活用できるテクニックとなる。効率よく作業を進めるためにも、ぜひ使い方を確認しておくとよいだろう。