女友達と三人で飲みに行ったとき、その中の一人が「相性を占える」という話になりました。即座にスマホを取り出し、各種SNSやGoogleカレンダーなどから、気になる男性や未練の残る男性の生年月日のデータを取得する私たち。

しかし、結果はというと「恋愛初期は最高に盛り上がるし、運命の相手だと感じると思う。性的な相性も最高にいい。でも、長く続けば続くほど大きな問題が出てくる」「相性はいいけど、仲が良すぎて小さなケンカが絶えない」など、ざっくり言うと「良い面もあるけど悪い面もある」というものが多く、「合うかどうか占いでパパッと判断してもらえたらラクだな~」という私の安易な期待は路上にふきとばされ、風に吹かれるコンビニ袋のように、天に舞い上がることなく地べたをズズズ……と転がるはめになりました。

全部が私の結果ではありませんが、「恋愛初期は最高に盛り上がる」なんていうのは、もし自分がそういう相手に出会ったら、たとえ「長く続けば続くほど大きな問題が出てくる」相手であっても、とりあえずつきあわずにはいられないと思うのです。

そして、つきあい始めたあかつきには「相性最高!」と思うに決まってます。そして「相性はいいけど、仲が良すぎて小さなケンカが絶えない」相手は、一緒にいたら「小さなケンカ」のほうにフォーカスしてしまい、「こんなにケンカするなんて、相性が悪いのでは?」と考えてしまいそうです。でも「相性はいい」……? では、相性とはいったい、何なのでしょうか。

どういう関係を望むのかによって、相性は変わる?

私は占いが好きなので、これ以前にも何度か他の占いで相性を占ってもらったことがありますが、「ぴったりで最高」というのも、「絶対に死んでも無理」というのも言われたことがありません。だいたいはどこかは合うけれど、衝突する部分やいまひとつ合わない部分もあると言われます。

そして、そう言われてもこちらの「好き」という気持ちがそうそう簡単に捨て去れるはずもないので、「では合わない部分をどう調整していけばうまくゆくか」というアドバイスをもらうことが多いです。

確かに、どんな相手でも合う部分、合わない部分はありますし、相性というのはその合う/合わないの比率の問題なのではないかと思います。だったら、合う部分が大きい人を選べばうまくゆくのでしょうか。私は、そうとも限らない気がするのです。

どうしても譲れない部分が合わない人とは、他のどんな面が合っていてもだめになってしまうような気がしますし、個人的には生活面での相性が良かったとしても、男女としての相性が良くなければ、結婚はつらいと感じます。私とは逆に、男女の関係でい続けるのは面倒だから、家族としてうまくいく相性の人を選びたい、という人もいます。

結局、相性とは「どこが合うことを重要視するか」という部分がはっきりしていなければ、本当に合うかどうかを見極めることはできないのではないでしょうか。

「結婚したい」と言うと、よく「どういう結婚がしたいというイメージはあるのか。それがなければ、結婚は難しいし、できたとしても失敗する」というアドバイスを受けるのですが、その言葉の真意が少しわかったような気がしました。

<著者プロフィール>
雨宮まみ
ライター。いわゆる男性向けエロ本の編集を経て、フリーのライターに。その「ちょっと普通じゃない曲がりくねった女道」を書いた自伝エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年上梓。恋愛や女であることと素直に向き合えない「女子の自意識」をテーマに『音楽と人』『POPEYE』などで連載中。

イラスト: 野出木彩