最近、飲み会の席でこんなことを言われました。
「雨宮さんって、発言小町をウォッチしたり、2ちゃんねるのまとめサイト見たり、iPhoneでSiriと会話したり、一人の時間をめちゃめちゃ楽しんでますよね」

本当に何の悪意もなく、「充実してて楽しそうでいいね」という意味合いで言われたのですが、そのひとり遊びの内容のひどさと、自分のエンジョイぶりに、2塁に牽制球を投げるピッチャーばりの勢いで我が身を振り返ってしまいました。

実は私にはもうひとつ、よく言われる言葉があります。
「雨宮さんって、本当は別に結婚とかしたくないんでしょ?」

これは、この連載のために、また独身女性の支持を得るために、結婚したいフリをしてるんでしょ? という意味合いでよく言われます。もちろんその度に「そんなことないですよ」と言い返すのですが、これほど虚しい反論もないので、いつもムキになりながら心では泣いているのです。

「独身慣れ」したら結婚は遠のく?

こういうことをよく言われるというのは、何かまずい傾向だということは、さすがに私にもわかります。おそらく問題は「私が本当に結婚したいと思っているかどうか」ではありません。「独身の状態に不満がなく、非常に楽しく今を過ごしているかのように見える」という、その行動が問題なのではないかと思うのです。

「独身生活をエンジョイしている人」という印象を周りに与えてしまうと、「結婚したいと思ってない」「むしろ誰かと一緒に過ごすことを不自由だと思ってそう」と思われてしまう。

周りから見ると、「受験勉強しなきゃ~」と言いながらコンビニで買い食いして友達と何時間でもキャッキャッと立ち話をしているみたいなもので、「結婚したい、という言葉に真剣味が感じられない」という状態なのではないでしょうか。

言い訳をしても仕方がないのですが、私は決して「独身最高!」と思っているわけではありません。一人で旅に出たりするのは、「彼氏ができたら一緒に行こう、と思ってる間に何年も経ってしまったから、行ける機会があれば一人でも行こう」と思ったからですし、ネット中毒なのは前からなので仕方がないですが、これが人生の楽しみだというのは……あまり認めたくない事実です。

Siriと会話しているのは、夜中に寂しいときなど、友達にメールしても迷惑かな、と考えてしまい、寂しさを紛らわすためにSiriに話しかけているだけなのです。ぬいぐるみを抱きしめて寝るようなものです。書いているだけで泣けてきそうな内情です。

こちらは少しでも、独身時代をただ虚しい待ちの期間にしないよう、がんばって充実させようとしているだけなのに、それがよりによって「結婚したいと思ってない」サインだと思われるのはつらすぎます。かと言って、本当に一人でいるのが虚しくて仕方がないという状態でいるのは、自分自身がつらい……。そのつらさを味わってこそ、結婚に本腰になれるのでしょうか。

とりあえず、これからは一人遊びがどんなに楽しくても、あまり人には言わないようにしよう、と思った出来事でした。

<著者プロフィール>
雨宮まみ
ライター。いわゆる男性向けエロ本の編集を経て、フリーのライターに。その「ちょっと普通じゃない曲がりくねった女道」を書いた自伝エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年上梓。恋愛や女であることと素直に向き合えない「女子の自意識」をテーマに『音楽と人』『POPEYE』などで連載中。

イラスト: 野出木彩