「いったい、どうしたら結婚できるの?」。結婚したい独身女性なら、誰もが思うことでしょう。それなりに恋愛経験や、結婚のチャンスもなきにしもあらずだった人なら、なおさら「いいとこまで行ってたのに、今までなぜ結婚できなかったんだろう?」と思うことも多いのではないでしょうか。

私は、結婚している人に「なぜ結婚したのか」「どういう経緯で結婚したのか」ということを、聞ける機会があれば取材を兼ねて聞いてみているのですが、複数の女性から、同じ答えが返ってきたのです。

「結婚できる」じゃなく「する」という意志

「カレンダーに『この日』って決めて印をつけて、その日までに絶対結婚するって決めたんだよね」

「奥田民生が結婚したのと同じ、日付が7で並ぶ日に結婚したかったから、その日に絶対するって決めてたの」

そうなんです。「日にちを先に決めた」人は、結婚しているんです。確かに、言われてみればそれはそうなんですよね。資格を取りたいと思った場合、試験日までに勉強しなければいけないし、旅行に行こうと思ったら、それまでに準備しなければいけない。人は、期限の切られていないものごとは、ことごとく先延ばしにする性質があるような気がします。

私の仕事に例えると、締め切りがなくても書く文章というのもあるのはあります。でも、それを書くのは気分がノリにノッているとき。毎日いつもそんな気持ちなわけではありませんから、やっぱりそこは、締め切りをバシッと決められたほうが、「あ~、今日はちょっと疲れたから休もう」とか「なんか調子が悪くてのらないから今日はダメだ」とか、そんな言い訳で逃げることができなくなります。締め切りを決められると、退路を断たれ、ただ「やるしかない」という状態になるのです。

結婚に対しても、「できればしたい」「でも、できるかどうかわからない」「気分が盛り上がったらできるかもしれない」というような、あやふやな姿勢ではなく、「この日までに納品しなければ」という、仕事に臨むときのような責任感としっかりした意志で臨まなければ、なかなか重い腰が上がらず、ついつい現状維持というぬるま湯にドップリ浸かってしまうのではないでしょうか。

よく、ビジネス書なんかで「目標を紙に書け」と書いてありますが、「いつか叶ったらいいな~」ではなく「何歳までにこれを叶える!」と思ったほうが叶いそう……と思ってしまいます。

「いつまでに結婚する」と決めて、結婚のことを考えている人と、「結婚したいけど、なかなかできな~い」と女子会で楽しく飲んだくれている人では、クラウチングスタートの構えを取っている人と、普通に立って「いつ走ればいいんですかね~?」って感じでスタートの合図をうっかり聞き逃す勢いで待ってる人ぐらいの差がありそうです。

でも、自分のこととして「いつまでに結婚すると決めればいいかな」と考えると、これがなかなかはっきり決められないんです。「今年中には、結婚を考えられる相手を見つけたいな……」ぐらいで、「何年何月何日」と、シャキッと言えない。それ以前に、自分がウエディングドレスを着ている姿を、全然思い描けません。着たい気持ちは東京ドーム5杯分ぐらいあるのに、イメージが湧かないんです。

とりあえず、憧れの女優さんとか、すてきだなと思うカップルの結婚記念日を調べたりとかして、「この日にこんな結婚をしたい!」というイメージトレーニングをするところから始めたほうがいいのかもしれません。

<著者プロフィール>
雨宮まみ
ライター。いわゆる男性向けエロ本の編集を経て、フリーのライターに。その「ちょっと普通じゃない曲がりくねった女道」を書いた自伝エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年上梓。恋愛や女であることと素直に向き合えない「女子の自意識」をテーマに『音楽と人』『POPEYE』などで連載中。

イラスト: 野出木彩