外科医でありながら、「オペ室より愛をこめて」などを執筆して漫画家としても活躍するさーたりさんによる連載「メディクショナリー」。言葉の意味は「medical」+「dictionary」ということで、さーたりさんが時にコミカルに、時に鋭く医療用語・略語を解説します。今回紹介するのは「Rp」です。

Rp(処方)


薬を処方する。


使用例: 「Rp: ●●(薬の名称) 2T2×7Td」「Rp: do」

ドクターさーたりの解説

Rpとは英語の「Repeat=繰り返し」ではなく、「Recipe=処方」という意味です。もともとは、ラテン語の「recipio=受け取る」の命令語「recipe」という言葉に、医師から薬剤師に向けての「薬を処方せよ」という意味が派生したとか。

さらにそこから手順書などの意味が派生し、それが料理の「レシピ」という言葉の語源になったようです。調剤も料理も「薬や調味料を混ぜていく」というイメージでは似ているような気もします。

さて、使用例の「2T2×7Td」というのは錠剤(T=英語の「Tablet」)を1日で2錠、2回に分けて内服する分を7日分(Td=ドイツ語の「Tage dosen」)という意味です。2錠が1回分なのではなく、1日量です。ああややこしい。

さらにややこしいことに、もう一つの使用例「do」は「繰り返し」、つまり前回と同じ処方をするという意味なのですが、英語の「do」ではなくラテン語の「ditto=コピーする」の略語なのです。

私、十数年医者やって何百回と「Rp: do」と書いてきたのに、ずっと「英語のdo」だと思っていました……! 医者も知らない医学用語の常識、まだまだありそうです……。

筆者プロフィール: さーたり

某大学病院勤務の消化器外科医。2児の母の生活、外科医の日常、漫画・アニメへの溢れる愛を描き散らしたブログ「腐女医が行く!!~外科医でママで、こっそりオタク~」を絶賛随時更新中。2016年5月にコミックエッセイ「腐女医の医者道! 」をKADOKAWAより上梓。また、Twitterもしており、アカウントは「@gogofujoy」。