JR四国の予土線は今年、宇和島~近永間で開業100周年を迎えた。予土線は清流四万十川沿いの路線として知られており、「しまんとグリーンライン」の愛称がある。四国の南西部を横断するルートで、正式な区間は高知県の若井駅から愛媛県の北宇和島駅まで。列車は両側とも1つ先の駅まで乗り入れ、土讃線窪川駅と予讃線宇和島駅との間で運転される。「伊予」と「土佐」を結ぶから「予土線」というわけだ。

「予土線3兄弟」公式サイト(JR四国)

予土線には、「しまんトロッコ」「海洋堂ホビートレイン」「鉄道ホビートレイン」というユニークな列車が活躍中だ。「しまんトロッコ」はディーゼルカーと貨車を改造したトロッコ車両の組み合わせで、水戸岡鋭治氏のデザインでリニューアルされた。「海洋堂ホビートレイン」はフィギュア制作で有名な海洋堂とのコラボレーション。「鉄道ホビートレイン」は東海道新幹線50周年を記念して、0系新幹線車両をモチーフとした外観になっている。

JR四国はこの3つの列車を、「予土線3兄弟」と名づけてPRしている。今月18日には予土線100周年記念列車として、「しまんトロッコ2号」のダイヤで3兄弟連結列車を走らせたという。

今回は予土線の列車ダイヤを作成し、「予土線3兄弟」の日常の運行を追跡してみよう。1日で3つの車両に出会いたいなら、日程作りの参考になるかもしれない。「しまんトロッコ」はすべて指定席。「海洋堂ホビートレイン」「鉄道ホビートレイン」は普通列車に使用され、乗車券のみで乗れる。

「予土線3兄弟運行イメージ」(JR四国)

JR四国は「予土線3兄弟」のサイトで、それぞれの列車の運行時刻を公開している。……あれ!? 「予土線3兄弟運行イメージ」として、ダイヤ図も掲載されているぞ。

でも、この図だけでは他の普通列車との絡みがわからないから、やっぱりダイヤを作ろう。市販の時刻表をもとに、列車ダイヤ描画ツール「Oudia」に入力し、JR四国が公開している車両のスケジュールを参考に色分けしてみた。運行本数の少ない路線のダイヤは寂しいけれど、入力の手間が少なくて助かる(笑)。

予土線列車ダイヤ(「Oudia」にて筆者作成)

青色が「鉄道ホビートレイン」、紫色が「海洋堂ホビートレイン」、橙色が「しまんトロッコ」だ。これはJR四国の図に合わせている。ただし、土休日と指定日に「鉄道ホビートレイン」として運行される列車は赤にした。普段はキハ32形の一般車両で運行しているという。ちなみに、「しまんトロッコ」も土休日の運行で、11月末まで設定されている。

ダイヤを作成してみると、詳しい運行状況がわかった。6時台の「鉄道ホビートレイン」と「海洋堂ホビートレイン」は、JR四国の図だと同時に江川崎駅を発車しているように見えるけれど、実際には時間差がある。11時台に「鉄道ホビートレイン」と「しまんトロッコ」がすれ違う駅は吉野生駅、20時台に「鉄道ホビートレイン」と「海洋堂ホビートレイン」がすれ違う駅は伊予宮野下駅になるようだ。江川崎駅はどの列車も停車時間が長め。記念撮影するならここがいいかも。

3列車すべてに乗車するコースを検討してみよう。JR四国の表を見ると、「しまんトロッコ」のトロッコ乗車区間で四万十川の景色を楽しむなら、14時14分発の下り「しまんトロッコ1号」が良い。そうすると、窪川駅出発なら10時4分発の「鉄道ホビートレイン」で江川崎駅まで乗り、折り返して「海洋堂ホビートレイン」で戻る日程が良さそう。宇和島駅出発なら9時39分発「海洋堂ホビートレイン」で窪川駅に向かい、折り返して「しまんトロッコ1号」に乗った後、近永駅から「鉄道ホビートレイン」で窪川駅へ向かう。

いや待てよ、せっかく予土線に乗るなら、「海洋堂ホビー館」(高知県四万十町)にも行ってみたい。日曜日に打井川駅と土佐大正駅からバスが出ているから、「予土線3兄弟」との組み合わせを考えてみようか……。