10月1日に東海道新幹線が開業50周年を迎えた。さまざまなメディアが記念の記事を掲載している中で、当連載としてはやはり開業当時のダイヤを紹介したい。JTB時刻表の2014年10月号が新幹線開業時の時刻表を掲載しているとのこと。これをもとにダイヤグラムを作成してみた。

左はJTB時刻表2014年10月号、右は50年前の新幹線開業時の時刻表……ではなく、当時の時刻表を再現した箱。中身は新幹線型のクッキーでした

時刻表を購入して新幹線開業ダイヤを探してみたものの、すぐには見つからなかった。付録の冊子にもなっていないし、巻頭カラーページにもない。JTB時刻表はときどき私鉄の時刻表をどーんと紹介してくれるから、目立つように載っているはずだけど……あ、あった。なんと、黄色い特集ページの見開き2ページ分で載っていた。列車の運行本数が少なかったから、「どーん」とはならなかったらしい。

早速、列車ダイヤ描画ソフト「OuDia」に時刻入力。運行本数が少ないと手間が少なくてありがたい。しかも、当時の新幹線はパターンダイヤだ。東京駅または新大阪駅発の毎時ちょうどが「ひかり」、毎時30分が「こだま」の発車時刻となっていた。「Oudia」は列車単位のコピー&ペーストができるから、それぞれ1本ずつ入力して、あとは運行本数の分だけコピペ。始発駅の時刻を変更すると、他の駅の時刻も連動して書き換わる。

東海道新幹線開業時の列車ダイヤ

こうしてダイヤグラムが完成した。なんと美しいダイヤだろう。相似形の菱形が整然と並んでいる。赤い線が「ひかり」、黒い線が「こだま」。どちらも1時間に1本ずつ。しかも下り10時発の「こだま」と上り12時発の「ひかり」はない。笑っちゃうほどスカスカだ。兵庫県と鳥取県を結ぶ第3セクターの智頭急行みたい。

参考までに智頭急行のダイヤ。あれ、こっちのほうが運行本数が多い!?

それはともかくとして、「ひかり」は当時、東京~新大阪間を4時間で結んだ。「こだま」は5時間かかった。「ひかり」が「こだま」を追い越す場所は、上り・下りともに浜松駅だった。東海道新幹線の所要時間で考えると、浜松駅は真ん中の駅となるようだ。

ではもう一度、新幹線開業時のダイヤを見て、今度は現在の東海道新幹線のダイヤと比較してみよう。

東海道新幹線開業時の列車ダイヤ(再掲)

2014年7月の東海道新幹線のダイヤ

現在の東海道新幹線の密度はすごい。画像を縮小したら、線の間が近すぎてつぶれてしまうほど。そしてスピードアップの積み重ねの結果、列車の線が急角度になっている。両者が同じ路線とは信じられないほどだ。開業時の東海道新幹線は、現在では考えられないほどのんびりした様子に見える。「夢の超特急」だったのに!

いや、ダイヤはスカスカだけど、まさにこれは「夢の超特急」。当時の東京~新大阪間4時間は驚異的だった。開業後、新幹線の利用客は増え続け、その需要に応えて運行本数を増やしていく。速度も当初の予定だった時速210kmになり、東京~新大阪間の所要時間は3時間10分に。その後もさらなるスピードアップが続き、現在のダイヤができあがった。

50年前と現在の列車ダイヤを比較したら、東海道新幹線の成功の様子がひと目でわかった。