寝台特急「トワイライトエクスプレス」が、2015年春で運行を終了する。日本最長距離を走る旅客列車で、所要時間は下り列車が約22時間、上り列車は約23時間。基本的に隔日運行だけど、JR西日本が保有する3編成をフル稼働させれば毎日運転できる。長時間、長距離運行列車ならではの特徴として、毎日運行される時期、「トワイライトエクスプレス」同士のすれ違いが1日に2回発生する。それはどこか? 列車ダイヤで探してみよう。

今回の"列車ダイヤ探検"は、大阪~札幌間を走る寝台特急「トワイライトエクスプレス」

「トワイライトエクスプレス」のダイヤを追うとしても、この列車の走行距離は約1,500km。通過する路線は12線区もある。すべての路線のダイヤを作って眺めてみたいし、実際に乗車するときはぜひダイヤを携えて楽しみたい。しかし、すれ違い場所を確認するだけで12線区のダイヤ作りは大変だ。

そこで、すれ違う場所の大体の位置を知るために、まずは「トワイライトエクスプレス」だけの列車ダイヤを作ってみた。列車ダイヤというよりも、列車の編成のやりくりを知るための「運行表」に近いグラフだ。

市販の時刻表を元に、「トワイライトエクスプレス」の時刻を「Oudia」に入力してみた。しかし、描画機能がうまくいかない。0時をまたいで長距離を通過しているせいらしい。「トワイライトエクスプレス」は、時刻表上では新津~洞爺間をノンストップで走る。実際には機関車の交換などで停車しているけれど、旅客扱いをしないので通過マークが並んでいる。もう少し詳しい時刻表がほしい。

じつは、「トワイライトエクスプレス」公式サイトに各駅の通過予定時刻が紹介されている。車窓の目安にしてほしいという気遣いだ。時刻表上では通過する駅の時刻も掲載されているのでありがたい。これを参考に、同列車の運行をダイヤで表してみた。

「トワイライトエクスプレス」だけの列車ダイヤ

下り列車に乗った場合、京都付近で1回目のすれ違いがあり、深夜の秋田~大館間で2回目のすれ違いがあるようだ。隔日運行の場合はどちらか一方になるというわけだ。これですれ違い線区が絞り込めた。京都付近は「JR京都線」こと東海道本線、秋田付近は奥羽本線だ。該当区間、該当時間の列車ダイヤを作ってみよう。

下り列車からみて1回目のすれ違いポイント

ダイヤを作り、拡大表示。在来線の普通列車を黒、快速・新快速を青、特急列車を赤、「トワイライトエクスプレス」は車体の色にちなんで濃緑に設定した。京都付近でのすれ違いは、西大路~桂川間、時刻は12時21分頃と推定される。時刻表から推定されたダイヤであって、本物のダイヤではないから、誤差もあると思う。ブログなどの目撃談は京都~西大路間が多い。ちなみに筆者が下りの「トワイライトエクスプレス」に乗ったときは、事故の影響でダイヤが乱れていた。残念。

下り列車からみて2回目のすれ違いポイント

秋田駅付近のすれ違いポイントは、奥羽本線の羽後飯塚~井川さくら間と推定できた。奥羽本線のこのあたりは単線と複線が断続している。資料をあたってみたら、羽後飯塚~八郎潟間は複線区間だった。「トワイライトエクスプレス」が駅間ですれ違うと見て間違いない……と思ったら、乗車体験記のブログなどでは大久保駅ですれ違うとの報告が多数ある。むむ。残念。この予想もハズレだったようだ。

奥羽本線は秋田~追分間が複線、追分~大久保~羽後飯塚間が単線、羽後飯塚~八郎潟間は複線となっている。わざわざ単線の中間駅で、日本最長距離列車同士がすれ違うという現象も面白い。奥羽本線のダイヤ作成者は、複線、単線、すれ違い可能な駅など、施設を駆使して苦労されているんだなあ……。

ちなみに、「井川さくら」駅は萌えキャラみたいな名前の駅として知られている。駅名の由来は、「井川」が所在地の地名、「さくら」は付近に桜の名所があるからとのこと。でもまあ、狙ってるよね。きっと。

京都付近のダイヤにはもうひとつ、興味深いところがある。長岡京~山崎間で4本の列車が同時にすれ違うように見えている。ここは複々線区間なので、上り下りともに遅い列車を速い列車が走行中に追い越している。まるで列車同士のシンクロナイズドスイミングだ。本当にこんなことが起きるか、ぜひ現地で見てみたい。

「トワイライトエクスプレス」に話を戻すと、この列車は他の線区の途中の駅で、電車特急に追い越される場面も見られる。客車列車なので、ゆったりとしたダイヤが組まれているようだ。ダイヤを眺めていたら、ますます乗ってみたくなった。